ラマダ・ホテル - 027 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 さて、トテナム・コート・ロードで降りるか、オックスフォード・サーカスで降りるか、どちらの駅で降りても、これだけの手荷物を持っていては、駅からタクシーを使わざるを得ない。
 イギリスは左側通行だからオックスフォード・サーカスまで行ってタクシーに乗った方がいいと考えた。重いトランクを引っ張っていると、こんなつまらないことを理詰めで考えてしまう。駅を降り自動改札口を抜けて地上へ出た。今日は土曜日で、おまけにお昼が近い。押し合いへし合いは少々オーバーだが、オックスフォード通りはかなりの人々で賑わっている。18年振りのロンドン市街はにぎやかだ。
 オックスフォード・サーカスの交差点の角にあるトップマンの前で黒塗りのタクシーを拾う。トランクを助手席に入れて後部の客席に収まった。
「近いのだが、バーナーズ通りのラマダ・ホテルまで」
「ああ、いいですよ」
年配の痩せて少し猫背の運転手がハンドルを握ったまま白髪混じりの頭をくるりと回して振り返った。歩いても10分とかからない距離なのだが、「ああ、任しておきな」とでも言いたげに、親切そうに微笑んだ。

ヴィオさんの旅行ブログ-ラマダ  ラマダ・ホテル・ロンドン。バーナーズ通り10番地。イーストキャスル通りとの交差点の角にある。230室ほどの中規模のホテルで三つ星クラスである。アメリカ系のホテルだが、このあたりではアメリカ式の近代ホテルという訳にはいかない。開業は1909年、エドワード7世の頃で、以前はバーナーズ・ホテルと呼ばれていた。外観は古くてこじんまりした感じで、230室あるホテルには見えない。しかし、1980年に改装されたので、一歩足を踏み入れると、外からは想像もできないほどの美しい空間が広がる。ロビーは天井が高く、見上げると天井には明るく華麗なフレスコ画が一面に広がっている。ロビーの左手は広いラウンジになっていて、椅子、テーブルなどの調度品はピンク、クリーム、スカイブルーで統一され、エドワード朝様式の優雅さが漂っている。ロビーの右手は茶色の木調の壁と扉で仕切られ、その奥はレストランになっている。隣接してバーナーズ通り側にはバーもある。フロントは正面の細い通路の左側にあった。ここだけは大変
質素なつくりだ。

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