クィーンズ・ロード散歩 - 022 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 今朝も早く目が覚めた。時差ボケが治っていない。シャワーを浴びた。ノッコは隣の客を起こさないようにシャワーは静かにと言う。隣の部屋の泊り客は恰幅のいい大きな身体をした気のよさそうな30歳くらいの男性である。廊下ですれちがいざまに見せた笑顔には愛嬌があった。今日はロンドン市内のホテルへ移動する予定である。9時頃にチャールスがホテルに来て、バックハースト・ヒルの駅まで車で送ってくれることになっていた。

ヴィオさんの旅行ブログ-Queen's Rd  6時半になった。今朝も散歩に行くことに決めた。ホテル横手の昨夜の道をおりて行った。今日も涼しく心地よい朝である。通りの一番低い所で右に折れてみた。ここから再び上り坂となる。勘だけを頼りに歩いているのだが、石塀の形や家の様子に見覚えがあった。昨日の朝迷子になって、道を聞いた通りだった。正面に赤い看板のある雑貨屋に向かって小路を抜ければクィーンズ・ロードに出る。この景色は夢でよく見た静かな町並であった。早朝の大都会の街のように疲れ切った気怠さはなく、一日の始まりを待受けている明るさがあった。
 クィーンズ・ロードはここから上は歩いたことがないので、上をまわってホテルに帰ることにした。このあたりはクィーンズ・ロードの山の手というか、気が利いていて、洒落た小綺麗な店が多い。緑の縞子の窓枠のガラスの中に可愛らしいショーツやシュミーズがさり気なく飾られている女性の下着専門店、小さな白い窓枠の飾り棚の上に焼物のピーター・ラビットや小さなオルゴールなどぎっしり並べられた間口が2間ほどの飾り物店、ピンクの壁に大きな白い窓枠の奥に新しい感覚の椅子や大きな鏡が並ぶ美容院。
 古い石造りの建物をそのまま使っているヨーロッパの街では各々の家や店が自己主張するのに様々な工夫を凝らす。形と色。日本と違って形は容易に変えられないので、多彩な色の使い方に工夫が見える。特に北部ヨーロッパが素晴らしい。北欧や東欧などもそうらしいが、イギリス国民は色彩の魔術師の観がある。意外に派手な色を大胆に使うが、不思議とケバケバしていない。ピンク、グリーン、スカイブルー、サルファーイエロー。ヨーロッパの国々ならどこでも使う色だが、イギリスの特徴は民家やアパートにまで盛んに使われていることだ。特にピンクの使い方は魅力的だがとても真似ができない。

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