ケム川の西側に建つセント・ジョンズ・カレッジの校舎の前にでる。広大な広場の芝生は残念ながら一面褐色に変わっている。何という夏だろう。セント・ジョンズ橋からはケム川に架かる有名な「ため息の
橋」が見える。セント・ジョンズ・カレッジは16世紀初めの創設で、このカレッジには詩人のワーズワースがいたという。校舎の裏へ抜けてみた。
ケム川の流れがつづき、川のたもとに大きな柳の木が水面にとどかんばかりに、枝葉をたわわになびかせている。柳と川。日本の専売特許ではない。ウィロー・ツリー。イギリスでは結構昔から悲恋の詩歌に歌われている。また、籠や椅子等の材料として古くから使われ珍重されてきた。
ケム川の流れは至極ゆったりとして、川上か川下かの判断がつかないほどである。水源からケンブリッジまで20キロほど、更に北のウォッシュ湾に注ぐまで65キロほど。川としては大きくないが、水量が豊かで、このゆったりとした流れは日本の川ではとうてい考えられない。
イギリスには丘陵地帯が多く地平線がゆったりと広がっているから、日本のように急流にならない。イギリスで一番高い山はスコットランドのベン・ネビス山で1,469メートルしかない。同じ島国でも、火山国の日本とは自然の様子がまるで違う。
セント・ジョン通りへ出て、南に少し歩き、右に折れてトリニティ・カレッジへ入った。一瞬視界が開けた。広い中庭である。大学の中庭としては世界的にも類を見ないほど立派で美しいといわれているそうで、とにかく素晴らしい。天候異変で芝生の緑が失われているのが何とも残念である。どうゆう訳かボストンのハーバード大学のキャンパスを思出させる。それもそのはず、ケンブリッジ大学の出身者が1636年にボストン郊外のチャールズ川畔に大学を創設し、その地名もイギリスのケンブリッジに因んで付けられた。ニュー・イングランド風とはいえ、カレッジ校舎の上の小さな尖塔がなんとなくイメージ的に似ている。72年にボストンのケンブリッジを訪れたときの思い出がよみがえってくる。
ミネソタの遠い日々
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