ケンブリッジ - 012 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 ホウィトルスフォードからケンブリッジに向かって同じ道を引き返した。途中、ケンブリッジの手前のトラン ピントン通りに1軒の画廊が建っている。
ヴィオさんの旅行ブログ-画廊 白壁に茅葺の小さな民家なのだが、古いのか新しいのか定かでない。古びた茅の色と白壁のコントラストが青い空と木々の緑に鮮やかに映えている。
 店の中では30代の若い画廊主がハンバーガーを頬張ながらパソコンをたたいている。そばに黒い大きな犬が寝そべっていた。やや乱雑に陳列してある絵は全てオリジナルで、水彩、エッチング、リトグラフ、パステルが多く、部屋の装飾品としての需要を見込んで値段もほどほどであった。チャールスがロンドンの日本の商事会社を辞めて、自宅で仕事を始めたのだが、オフィス向けの絵画の取引もその一つであった。だから彼には興味があったのだ。
 ケンブリッジもオックスフォードも夏休みで学生はいないのだが、観光客が車でおしかけて来るので、駐車場さがしが大変だとチャールスが言う。少し離れているが、トランピントン・ロードのブルック・サイドに車をとめた。ここからトランピントンを渡って、フェン・コーズ通りを歩き、エンジニアリング・ラボの横からコー・フェンに入る。グランタ川を渡りシープス・グリーンの湿地を進んだ。
ヴィオさんの旅行ブログ-舟遊び  川面に年配のカップルが2組、大学の教授と奥様だろうか。教授は黒い服に蝶ネクタイ、奥様は長いドレスに日傘。ぎこちない漕ぎっぷりだが、楽しそうに船遊びに興じている。このゆとりと優雅さが絵になる。まるでティソかルノワールの絵の世界だ。
 雑草の先に古い城壁があり、その奥にピーターズハウス・チャペルが見えてきた。川沿いを歩いて、橋を渡りヒル・レーン通りに出た。若い男女がボート乗りに興じている。ワイワイヤーヤーと大声が響く。若者逹は元気がいい。どこの国も同じだ。今日も朝から晴天で温度は急上昇。こちらも水に飛込みたいくらいであった。


 ミネソタの遠い日々 1970年の夫婦子供連れでのミネソタ大学留学記へもどうぞ