日本の男女サッカーの活躍、誤審や八百長の話題もさることながら、開会式の聖火台が印象に残っている。

開会式では、放射状に広がった204本の棒の先に聖火を灯し、それらが立ち上がりながら中央に集約され、最後は、炎の束となり、一つの巨大な聖火となる。そしてそれが、このオリンピックの期間中、灯される聖火台そのものであることがわかる。

この、無数の金属管と炎を見たとき、福島原発を思い出した人も多いだろう。
原子炉の炉心内にあるウラン(ペレット)が入っている燃料棒、核分裂による熱は2400度。その燃料棒の集合体が原子炉の心臓部分になる。
聖火台に使った棒、204本は、今回参加した国と地域の数と同じだそうだ。
「燃え盛る聖火台は、原子力の使い方を誤った人類全てを焼尽す地獄の業火なのか!」
なんて言う、メッセージがこの聖火台にあるとは、どのTV局も言っていない。
今回のオリンピックも、政治的なメッセージよりも、今回も、IOCと、広告代理店とTV局とスポーツマフィアのお金山分け合戦くらいの意味しか無いのだろう。
後1週間もすれば、聖火台は無くなる。しかし、福島の劫火がもたらす苦しみは無くならない。
ブラックユーモアが代名詞の映画監督、ダニーボイルの演出による開会式。聖火台にそんな影のメッセージがあった。そう信じないと人類の本当の進歩はないだろうな。