パキスタンの元首相、ブット女史が暗殺された。
年明けの総選挙の遊説中、車のサンルーフから乗り出し、支持者に応えていた女史に、バイクで近づいたテロリストの銃撃され、搬送された病院で亡くなった。
ブット女史は、1988年に首相に就き、1993年に再選される。現首相ムシャラフ氏がクーデターによる軍政を敷いているため、民主化勢力の筆頭と目されていたが、単純に、アメリカや西側が喜ぶ首相ではなく、その分しぶとく政治手腕の高い所を見せてくれるはずだった。
父親は、パキスタン独立運動の指導者の一人で、隣国の、インドのガンジー・ネルー一族、ミャンマーのアウンサンスーチー女史と共に、独立の英雄のイメージをそのまま背負い、民衆の指導者として政治の道に入った。
1988年前後には、このほかにも、バングラディッシュのカレダ・ジア首相、アイルランドのメアリー・ロビンソン大統領、フィリピンのコラソン・アキノ大統領、そしていわずと知れた大政治家イギリスのサッチャー首相など、女性の国家元首が多く誕生した時期であった。ソ連のゴルバチョフ書記長の改革により世界中で民主化が加速した時期でもあり、ソ連の横槍が無いという幸運も手伝い、混乱はあるものの世界が新しい時期に来たという印象があった。大学で政治の勉強をして居た私も、冷戦終結後の民主化パワーと共に、女性の政治パワーが、世界を変える予感がした。スーチー女史は相変わらずの状態、ブット女史暗殺は、あの頃抱いた期待感があるだけに、なんとも寂しい。
日本も、同じ頃、土井たか子首相率いる社会党(当時の政党名)が躍進したが、バブル後の不況と、政党の分解、結成で、何が何やらわかからない状態になった。
その後、女性の政治家というのは、あまりパットしない。もちろん男性政治家も相変わらずだけど。元々日本女性は政治に関心が薄いのか、政治なんてくだらないと、全てを達観している境地に居るのか、この世界に人材がなかなかでない。
地方議会の女性議員も相変わらず少なく。女性の政治参加に限ると旧共産圏のほうが遥かに進んでいる。
中央官庁出身の女性知事も何人か出たが、みな自民党のあやつり人形状態、と言うより、男性議員も含めて官僚のいいなり。
数日前、爆笑問題が出る番組で、女性議員10名くらいに、常識クイズと言うのをやっていた。回答者には、ちょっとは骨のありそうな、片山さつき議員と佐藤ゆかり議員が居た。
Q1 「中国の現在の首相は誰か?」
Q2 「イラクの位置を地図上で示しなさい」
と言う問題。
片山さつき議員と佐藤ゆかり議員を含めほとんどの議員が、「温家宝首相」を、答えられなかった。
イラクの位置も、シリアや、イスラエル、果てはサウジアラビアを示す議員まで出る始末。
以前同じ番組で、甘利明議員、山本一太議員もイラクの位置がわからず大恥をかいた問題。爆笑問題のバラエティに出るなら予習ぐらいしとかなきゃ。
世界には命を張って政治に身を投じている女性が多く居る。そういう政治家の登場を日本では望めないのだろうか?
ブット女史、心より、ご冥福を祈ります。