新華僑:鄧小平の子どもたち | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

TVのクローズアップ現代で、中国の『新華僑』が採り上げられていた。


従来の華僑と比べて、新華僑は、1980年代以降に、海外に進出した人たち。最初は縁故を頼って、単純労働等を目的とし、アメリカや、東南アジアに渡り、やがて、商売で成功を収めていった行ったのと違い、ある程度、学歴がある人たちが、留学先から、現地の会社に就職したり、新しくビジネスを立ち上げて成功した人たちが、『新華僑』と呼ばれているらしい。


番組では、1978年以降の鄧小平国家主席の改革開放路線の一環として、ドイツ、日本、アメリカに公費で留学させた『海外公費留学生制度』の第一世代が、今の『新華僑』を代表しているとして2例紹介されていた。

一人は、投資コンサルティング会社の社長。もう一人は、医薬品の治験代行会社のような会社をやっている人。正式な仕事名は憶えていないれど、自分のネットワークに中国の大病院があるので、医薬品メーカーの治験(新しい医薬品の効果がどのくらいあるか、実際の病気の人に投与して効果を見ること)を、期間を半分、費用を3分の一で出来るという。人口が多いので、考えてみれば、当たり前、しかし、ビジネスにしているところがすごい。


投資コンサルティング会社の社長は、『海外公費留学生制度』で、日本に留学していた。当時、中国全土から優秀な大学生を集めて、たった半年間、勉強させて、受験可能な日本語レベルにしたという。講師として招かれていた日本語教師は、遠からず日本は中国に凌駕されると、相当衝撃を受けたみたいだ。


以前、『ウルルン滞在記』で、中国の雲南省の山奥、橋が無く、激流に渡したロープにワイヤーと滑車を体に固定して渡っている家族が取り上げられていた。町の小学校に通うため親元を離れた女の子が、朝、6時から夜8時まで、授業があると放送されていた。両親は文字の読み書きが出来ない識字率の数字を構成しないほうの人たち。その親を楽させたいという少女の勉強時間を聞いたとき、中国のすごさを感じた。


中国共産党第17回全国代表大会が開催された。新しい政治局員として選出された李克強氏は日本に留学経験がある。52歳なので『海外公費留学生制度』の、第一号世代かもしれない。鄧小平国家主席が、蒔いた種が、大きく結実している。


今、マスコミは、ミッキーマウス、ケンタッキーの偽物探しや、中国産の食物や、おもちゃは危ない!と、中国プチ・バッシングばかりしているけれど、昨日今日のバブル的な経済発展でなく、30年以上も前の鄧小平さんの頃よりの、遠大な構想、たゆまぬ努力が底流をなしているとは、いえないだろうか?


今年4月に実施した全国学力学習状況調査の結果が公表された。77億円かけたこの調査、今ひとつ目的、利用法がわからない。雲南省の少女を思い出すと、単なる学力テストに喧々諤々の日本は何か寂しい。日本の政治家に鄧小平さんのような人はいるのか?全国学力学習状況調査が、遠大な目的があればいいのだけど。