今さら亀田家について書いても誰も読まないかもしれないけど。ちょっとだけ。
TBSに『ZONE』という、スポーツドキュメンタリー番組があった。文芸春秋が出しているスポーツ雑誌『ナンバー』のように、スポーツ選手の舞台裏、試合には表れないエピソード、人間ドラマがあり、面白かった。今は、『バースデイ』という名前に変わって、ナレーターは、東山紀之さんのまま続いている。
この『ZONE』に、定期的に採り上げられていたのが、亀田3兄弟。親父が、自宅の部屋で、次々に卓球の玉を投げつけ、それを俊敏な動きで避ける、あどけない3兄弟に驚嘆したのはついこの間。今回、渦中の人となった次男大毅くんは、消去的で、気弱な感じがして、泣いてるシーン、悩んでるシーンもかなりあった気がする。
宮里藍、福原愛、横峯さくら、イチロー・・・・、自分の子どもに夢を託し、一流のスポーツ選手にしている、『巨人の星』の星一徹を地で行く親の例は、枚挙に暇が無い。タイガー・ウッズもシャラポアも熱心な父親があってこそ。スポーツに限らず、有名な音楽家なんかも同じ。亀田兄弟の父も、自分の人生を賭けて、子どもを一流のボクサーにしようという、子どもにとってはありがた迷惑な、しかし、日本中にかなり生息している『困った親父』の一人。
結果的に、子どもが、一流のスポーツ選手になるのは、ほんの一握り。有名になる前から、TVに追いかけられ、しょっちゅうTVに出ていた亀田兄弟。父親には相当のプレッシャーがかかっていただろう。また、子どもを犠牲にしているような生き方を理解されず、多くの批判も受けてきただろうから、常に被害者意識を持つ、『自分たち親子以外はみんな敵』のような、ハリネズミのような性格になったのかも知れない。
長男興毅は、その後順調に活躍し、プロになって行ったが、ヘヤースタイルが奇抜になり、言動が横柄になり、不必要に相手を挑発、そこまでは良いにしても、相手を侮蔑したり、負けた相手にも嘲弄するような態度を取り、それがパフォーマンスという名の下に世の中に認められていった過程は、昔の『ZONE』を見た者には奇異に映った。長男興毅は、以前、TVのインタビューで、「人気の無いスポーツやからな、盛り上げなあかんのや」と、ぽろっと言っていたが、どこからどこまでが演出なのか今となっては分からない。視聴率が取れ、お金が集まる亀田一家は、いわば、TBSが作った作品。子どもの頃から追いかけているので、TBSだけが独占できる”大金を稼ぐおもちゃ”と言ってもいい。長男に続き、次男大毅も、歌を唄ったり、弁慶のかっこをしたり、しかし相変わらず、対戦相手や、世間をあざける言動をさせたのは、”ヒール(悪役)”ではあっても、話題性を呼び、視聴率を稼ぐための、TBS、協栄ジム、亀田一家が合意に達したシナリオだったのかもしれない。
人間を、”作品”、”おもちゃ”と呼ぶのはおかしいかもしれないけど、ことに、芸能、スポーツといったショービジネスにおいては、タレント、選手を”商品”と見立てて、慎重に育てていくのは大事なこと。当然CM出演で、お金を稼ぐことも念頭に入れているので、企業や、視聴者の機嫌を損なうような言動はさせない。着る物、行きつけの店、趣味なんかも影響が出るので、慎重に行動させる。しかし、その配慮が、TBS、協栄ジム、亀田父には欠けていたのだろう。
また、TVという、特殊な世界も、亀田騒動をややこしくしている。自動車や家電メーカーだったら、一つの会社がヒット商品を出したら、対抗する洗濯機、スポーツカーを作れば良いけど、TVの世界はそうは行かない。TBS以外のTV局が”亀田一家”を妬む番組を作るのは、トヨタが三菱のリコールを非難したり、東芝が日立の商品の欠点をあげつらうようなもの。他の業界ではありえない。亀田一家の言動は不快に感じる私でも、今の執拗な亀田攻撃には、うんざり。弱い立場になった人間を責めるのはいじめだよ。亀田と聞くとチャンネルを変える人も多いのでは。
さて、今後、亀田一家はどうするべきか?
私の案は、
① 父親は、一切子どものマネージメントから手を引く。子離れする。
② 3兄弟は、協栄ジムで選手続行。(もともとボクシングをしたがらなかった大毅くんには、他の選択肢を考えるチャンスを与える)
③ 3兄弟のキャラを変える。(元の言動には戻せないし、素直な亀田兄弟では、痛々しい。私が考えるのは、”ひたすら無口”な亀田兄弟。「俺が話をするのは、拳だけや!話す相手も拳だけや」と、不言実行、頂点めざし、今まで、良くも悪くも振り回してきたマスコミを見返してやる)
④ TBSから離れる。
しばらく辛い時期だと思うが、亀田親子、がんばって欲しい。あれッ!いつの間にか応援しているのか、俺!