ドラマ『ライフ』:ITが、いじめを高度化させる | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

土曜日の夜11時。見る人居るのだろうか?という時間帯にやっていた『ライフ』というドラマ。

原作はベストセラーのマンガで、”いじめ”をテーマにしたもの。


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主演は、北乃きいさんと、いじめ役で福田沙紀さん。2人とも笑顔の可愛い女優さんなんだけど、ドラマの中のいじめのシーンは、壮絶、凄惨。


中村雅俊や山下真司、初期の金八先生世代の私にとっては、次から次に起きる、いじめ、放火、レイプ未遂、さらに、いじめている人間が、いじめられる側に入れ替わる展開に、驚きながら、毎回見てしまった。

「先読めるよ!」と、若い人には言われそうだが、しっかり、テレビ局の術数にはまって、最終回まで見てしまった。


いじめは、昔も多分あった。金八先生、スクールウォーズのころも。あの当時は、校内暴力とか、むしろ単純な暴力が、問題になっていた。最近は、どうも違う。いじめが巧妙になってきているようだ。

先日、神戸で自殺した生徒。事件発生1ヵ月後に、いじめがあったとして、同級生が逮捕。携帯電話で執拗に現金を強要していたようだ。(どちら側も当たり前のように携帯電話を持っている。)また、いじめられた生徒の裸の写真もネットに流していたという。学校は、自殺した生徒、いじめた側、共に仲良しグループと、みていて、わからなかった、とニュースは言っていた。それが学校の落ち度のようなコメントをTVはしているけど、実際、携帯のメール、ネットの学校裏サイトでは、いじめを把握するのが困難。TVCMで流れる、綺麗なデザインの携帯電話、実は人の命をも奪う凶器のCMなのかもしれない。

ドラマ『ライフ』でも、携帯電話が、いじめの小道具として巧妙に使われている。メールで、いじめのターゲットを本人に知られないで確認しあう。弱みを握る現場を写真で撮影する。直接、本人に脅迫する。こんなに携帯電話の負の部分をドラマに盛り込むと、携帯電話会社から、クレームが来るのでは?と思っていると、スポンサーは、N○○○○○。自分たちの社会的な責任に真正面から取り組んでいるのか、あるいは、単に無頓着なのか、良く分からない。


イギリスでも、いじめは、重大な社会問題になっている。今春、法律が改正になって、学校が、携帯電話を没収することができたり、学校裏サイトのようなHPを、プロバイダーに削除、閉鎖命令が出せることになった。

日本では、何度いじめで悲惨な事件が起きても、そういう話は出てこない。憲法で保障された”表現の自由”が重要らしい。さらに、10代が、携帯電話を使った悪徳商法、暴力団や詐欺集団の餌食になる件数を増大中らしい。それでも、携帯電話会社、IT産業の企業活動に水を差すようなことはしてはいけないらしい。


結局、お金をたくさん稼いでいるところに、遠慮している社会。お金があるところ、力のあるところが、そうでない者を虐げる。まさしく、いじめの構造なのだ。富者と貧者、先進国と途上国、いじめの構造は世界中いたるところにある。(ドラマ『ライフ』も、親たちの社会的上下関係が子どもたちに直結していた)

つまり、いじめを無くすことは出来ないと思う。この世に人間が居る限り、存在し続けるはず。さらにITが進めば、もっと、もっと高度に、巧妙になると思う。となると、私たちは子どもに何を教えればいいのだろう。いじめを無くすのではなく、打ち克つ人間になること、逃げないこと、見ない振りをしないこと、と言うことになる。


でも、それも、昔から言われてきていること。社会的にいじめに対するノウハウは、蓄積できても、生まれて、10数年の子どもには、十分な経験を積み上げられないから、加害者、被害者に知らずになってしまう。地道に、これまで言われてきたことを、先生、親が、手助けしてやらなくちゃいけないのだろう。


それにしても、ITの高度化で、いじめが、より巧妙に、そして発見すること自体困難になっている状況。やっぱり、なにか対策を講じたほうがいいのではないだろうか。