今朝の『朝ズバッ!』みのもんたさんが夏休みだったので、元TBSのアナウンサー下村健一さん(結構、骨のある人)が、代理キャスターで、『養子縁組の現状』について、レポートだった。
3ヶ月前、熊本の病院で、赤ちゃんポストが、開設された。「赤ちゃんを物のように扱うなんて」「日本の伝統的家族制度が・・・・」「何より命が大切だから」と、しばらく論争になったが、今は報道されない。その後、イタリアや、ドイツでは同じ制度が以前からあり、一定の成果を上げていることを後で知り、今頃、論争になる日本では遅すぎたことを知った。失わないですんだ命も多かったはず。
下村さんは、”養子縁組” 助かった命のその後について、この番組で、採り上げている。養子縁組の斡旋の仕事をしている
ママス&パパスhttp://www.geocities.jp/mamas5papas/
という団体の取り組みを通して、いくつかのケース、日米の違いを紹介した。(子どもを世話している女性の後ろで、じっと哲学者のような顔で見守っている高齢の母親らしき人の表情が印象的だった)
この団体は、妊娠したけど、自分では育てられないと言う女性の相談から仕事が始まり、いろんな解決策を考える。そして最終的に、中絶でなく、出産、育児はしないと結論に達した子どもについて、養子に出すことにしている。赤ちゃんポストとは違うのは、「相談」から始まること。(熊本の病院の院長さんもまずは相談って言っていたなあ、とにかく話しあう相手が居なくちゃいけない) 養子に出すことに決めた親、ずいぶん身勝手かもしれないけど、全て”生まれた命”にとっての最良の選択は何か、という立場で、判断しているようで、養子縁組が見つかるまで、新生児を預かって育てる活動もしている。
ただし、育ての親になる人の基準については、厳しい審査があり、将来、子どもに病気が出ても、責任を持って育てられますか、といった質問もあった。
番組内では、心臓に病気があり、出生後手術を受けた女の子、サクラちゃんが紹介されていた。養子縁組は、2組が、断念。海外にも里親を求めたところ、アメリカ人の夫婦が、名乗りを上げて、縁組が成立した。子供が病気を持って生まれてくる事に関して、日本と、アメリカとでは違う(人間の資質と言うより、社会での扱われ方が違うと言うニュアンスだった)様で、日本では、まだまだ抵抗があるらしい。
番組では、養子1年後のサクラちゃんを訪ね、その元気な姿が映っていた。
里親に、「病気があることを、知っていましたか?」とたずねると
「ええ、最初に見たときにわかりました。しかし、彼女を見たときに運命を感じました」といった。
「運命」と言う言葉は、こういうときにこそ使う言葉なんだと知った。自ら腹を痛めて生んだのではなく、NOと言えることも出来るのに、重い病気を抱えて、自分の目の前に現れた幼児を、これから、自分たちが育てることを当たり前のように受け入れる。「運命」と言う言葉の本当の意味を知った気がした。かっこいい男性、綺麗な女性にあったときに使ってたら言葉が、泣くな。
番組では、カルフォリニア州の捨て子法(だったかな)の紹介もされていた。
ネットで調べると、Safely Surrendered Baby Law、BABY ABANDONMENT LAW 、BabySafeHaven・・・呼び名はいろいろあるけれど、ニュージャージー、テキサスいろんな州で、同じような新生児の保護法がある。イギリス、ドイツも含めたこの手の法律の評価記事があったので紹介します。http://www.bastards.org/alert/babydump-quotes.htm
カルフォリニア州の捨て子法は、出産後、3日以内に、↓このマークのある消防署、警察署、病院に新生児を託しても罰せられないという法律。
現代がどんなに豊かになっても、望まれない赤ちゃんは、たくさん生まれてくる。豊かな時代、豊かな国に居ても。では、生まれてきた命をどうする?たとえ重い病気を持っていても。
生まれてきた事情、実の親が育てられない事情、健康上の事情。いろんな事情(伝統的だとか、社会通念とか)について、日本では社会があれこれレッテルを貼り、偏見を与えるので、生き辛くさせる。親も子も。生まれてきた命に、余計な事情を全部取り除いて一個の命としてみたとき、あのサクラちゃんの里親のような、気持ちに成れれば・・・。
赤ちゃんポスト、今は誰も取り上げなくなったけど、下村さんのように再度問題を提起してくれる人が増えると、また違った社会になっていくかも知れない。まずは日本人の心の土壌改良からスタート。