北海道で、140匹の犬を牧場跡地で放し飼いにしている女性がいて、行政と対立している、と言うニュースがあった。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn/20070725/20070725-00000054-jnn-soci.html
狂犬病予防注射をしていない、一部の犬は柵の外に出ていると言うことで、問題性があるようだが、飼い主は、捨てられた犬を育てているし、『犬をめぐる行政』に、しっかりした意見を持っているようで、報道も非難めいた感じはあまり無かった。
しばらく前、フィリッピンで犬にかまれて狂犬病になった人が、亡くなった事件があった。国内では36年ぶり。
日本国内では、人で、53年、動物で、50年発症例が無い。
厚生労働省の最新の発表によると、
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html
諸外国では、まだ撲滅には至らず、死亡者が多くでている。日本は、数少ない狂犬病清浄地域の一つ。
冒頭のニュースの件で出てきた女性が、TVで、「狂犬病は狂犬病ウイルスの感染により発症、現在日本でウイルスは発見されていない、天然痘のように撲滅されているので、外部から持ち込まない限り発症は無く、今のような予防接種をする必要がない」と、言っていた。する必要がないと断言したかどうか、私の記憶が曖昧だけど、言われてみるとそうかも。狂犬病というと、犬そのものに内在する、犬が発狂する病気と言うイメージがあった。子どもの頃に植えつけられた怖い犬の体験も合わさって、狂犬病が、得体の知れない怖いものにいつの間にかなっている。しかし、外部からウイルスが侵入すること無しでは発症しない。国内が清浄地域である現在は、税関、港湾での水際で阻止できれば問題ない。そして半世紀問題は無い。
つづけて、厚生労働省の資料を読むと。
日本の飼い犬の数は・・・・・・。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html
登録している犬は、17年度で647万匹。
このうち、狂犬病の予防接種をしているのは7割の500万匹弱。
予防接種の相場は一回約3000円。500万×3000円は、150億。毎年150億円のお金が動く。50年以上狂犬病の発症は無いが、150億円の市場を、動物病院、製薬会社、役所は、容易にいじることは出来ない。ここにも既得権益を守ろうとする行動パターンが見て取れる。(こっちのほうが、ウイルスにやられてるっぽい。狂金病ウイルスとでも呼ぶか)
さらに、野良犬の殺処分(保健所に捕獲され3日間。引き取り手の無い犬を・・・)する頭数は、
http://www.alive-net.net/companion-animal/hikitori/gyousei_enquete/zenkoku2003.htm
2003年で17万頭。(最近では、行政が減らすための努力を結構している)
日本に野生犬は、いないし、犬を飼っていない人が、野良犬を生むことは出来ないので、当然、野良犬は、犬を大事に飼っている、他でもない飼い主自身が発生させている。最近では、『犬の養殖家』なんて商売も存在するし、消費者の気を引くため、無理な交配で珍しい犬を創り出したり、そのせいで奇形の子犬や免疫力の低い犬がたくさん生まれている。ここにも、お金の流れが、人として疑問を感じる行動パターンを生んでいる。
「犬は古来、人類と共に助け合って生きてきた」と言うのは、犬に関する番組では必ず使われるフレーズ。犬を飼ったこと無い私でも、犬の居る暮らしに憧れるし、災害で瓦礫の下敷きにもぐりこんで人を助ける犬、一生を盲目の人にささげ、自分は道具となる盲導犬には頭が下がる思いがする。しかし、共生というより、食い物にしているような最近の犬と人間の距離が悲しい。
北海道の事件がどういう風に発展するか分からない。今の法律では、飼い主の女性は罰せられるかもしれないけど、法律以前の犬と人間の関係から見直そうという機運が出てくれば、違う見方が生まれてくるかもしれない。心強い味方も。少なくともTVに映った犬たちは幸せそうな顔をしていた。