終の棲家と介護事業 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

ソニー生命保険のコマーシャルで、担当の営業員が、お客さんに、デジカメで取った写真を見せるシーンがある。断崖に立つ、海が一望できる老人ホームの写真。出張の途中で見つけて、高齢の親御さんにどうですか?というCM。生命保険だけでなくいろんな相談が出来る営業員が、あなたをサポートするというメッセージだと思う。


海が一望できるリゾート地のような老人ホーム。仕事で疲れきっている世代には夢のような場所。しかし、同じ場所でも、高齢者の方にとって、幸せなのだろうか?


介護施設は、どこへ行っても、広い、敷居が無い、ドアも引き戸のバリアフリー。しかし、学校の校舎のようなリノリウム張りの廊下はどこか寂しい。夜は特に。

ほんの少し前の日本の老人はどこで過ごしていたのだろう。

入り口は、土間。1段高くなった部屋。土間に炊事場があれば、家事のたびに上がったり下がったり。


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車椅子生活なんてとても無理。古い民家ほどではないにしても、高度経済成長期以降の日本の住宅もバリアだらけ。

それに比べたら、今の介護施設は、介護する側も、される側も非常に便利。


しかし、逆に、バリアだらけの家に住んでいると、足腰は弱くならないかも。不便であることは逆に人間の運動量が増える。どうしても加齢と共に衰えはするものの、介護施設には入るのと比べると、足腰が弱まるまで時間がかかるはず。


仕事で行っていた介護施設の職員の方に、この感想を言うと、そのとおりだという。むしろ施設に入ることで足腰の弱まるのが早まると。本当は、昔ながらの住み慣れた家で、人生の最後の時間を遅れたらいいんだけどねえ、と。ここの家庭で介護というのは無理なので、だったら、学校の校舎のような建物じゃなくて、昔ながらの民家のような施設があってもいいんじゃないかとも思った。(介護保険が出来て、どこも同じような建築物が出来ているのは、これも、公共工事を一手に引き受けてきた大手ゼネコンが学校校舎建築のノウハウをつかっただけのこと)


今朝、TVで、愛知県高浜市の介護施設の紹介をしていた。

http://www.takahama-anryusou.com/

施設の建物内に昭和の古い町並みを再現したという内容。目的は、回想療(昔のことを思い出すことで認知症や、共同体意識を芽生えさす療法)のためという。


今、コムスンをきっかけに介護の問題がクローズアップされているが、7兆円という市場には、コムスン以外にも、建物を建てる建築業界。書類仕事の塊といっていい介護サービスを狙ったコンピュータシステム業界。コムスンを買収することで、一気に市場に参入しようとする商社。みな、この7兆円のパイの分け前に預かろうとしているところばかり。この市場に山っ気をもって参入する企業がいけないというわけではなく。現実に現場で介護をする人、そして一番には介護される高齢者のことを考えているか、という視点が欠けているかも。


まだまだ試行錯誤の介護。愛知の施設のように、新しいことに挑戦することろもたくさんでてきていると思う。マスコミの方、事件ばかり報道せずに、そういった施設、どんどん取り上げていって欲しいな。