竜の子学園の聾唖教育理念と日本の教育 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

ニュース23で、聾唖者のフリースクール竜の子学園の取り組みを特集していた。


http://www.bbed.org/index.html


フリースクールは、簡単に言うと、学校教育法に拠らない学校のこと。フリーというと、法律に縛られない自由なイメージがあるが、逆に法で得られる恩恵とは無縁の学校ということでもある。(違っていたら誰かご指摘ください) 


普通、聾唖の子どもを持つ親は、公立の●●県立聾唖学校とかに入学させる。しかし、今の公立の聾唖学校では、しゃべれる人の口の動きを見て、何を言っているかを理解し、声がでなくても、話すように訓練させる口話法というのを、何十年もやってきている。基本的に手話をつかったコミュニケーションは否定しているようだ。


知らなかった。


竜の子学園は、逆に、手話をどんどん使おうという教育法を採用している学校。公立の聾唖学校での、普通にしゃべれるようにしていこう考えは、裏をかえせば、聾唖であることを否定している。竜の子学園では、手話を使う聾唖者であることを、むしろ肯定的に捉えている。公立の聾唖学校で、うまく、なじめなった女の子が竜の子学園に移って、生き生きとしている様子が画面にほほえましく映っていた。


公立の聾唖学校が採用している口話法を基にした教育も、いずれ、社会に出る聾唖者にとっては、一般の人になじめるようにするという意味で、否定されるべきものではなく、番組の中で、竜の子学園の先生も、同じように有用性をおっしゃっていた。ただ、子どもたちの目の輝きを見れば、竜の子学園の聾唖教育への理念は、間違っていないことは確かなようだ。


しかし、この手話を積極的に使う教育法は、国家、日本の考えにはそぐわないようで、竜の子学園は、これまで何十年も、法人申請してきたが認められず、フリースクールのままだった。それがこのほど、構造改革特区申請が受理され、晴れて学校となる。後は設立に必要な4500万円が集めるハードルが残っているが。


また、手話で会話している子どもが、国語で、日本語や漢字を学ぶときは、全く違う言語を学ぶのと同じ、ということも紹介された。手話でコミュニケーションをすることに慣れた子どもたちにとって国語の勉強は少し大変そうだった。しかし、学校のスタッフ、保護者が集まって授業や学校の進め方について、協同で色々話し合う場面は、新鮮な驚きで、こういう試行錯誤を繰り返しながら、新しい聾唖教育を作り出している姿に、すごくエナジャイズ(元GE会長のジャックウェルチの言うところの)された。


今回、自分がこういうことを全然知らなかったことが恥ずかしい。自分とは関係ない世界、身体障害者に限らず、まだまだたくさんあるんだろうなあ。日本は、こういった世界が分断されていることが良くある。らい病に関しても完全な隔離政策だったし。日本の国家政府の体質かな。


今の日本教育は大混乱。各国の子どもを対象にした基礎学力テストで、日本は何番に落ちたとかで右往左往している。ゆとり教育は、そういった点数で表される学力が低下するのは、ある程度分かっていたはず。ただ点数で表れない何かを明確に示すことが出来なかったために、もう一度「勉強漬け教育」を復活しちゃおうという声が大きくなっている。


例えば、手話は、聾唖者のものではなく、普通の健常者こそが学ぶべきものとして、毎週1時間手話の時間とか設けるのはどうだろう。

「日本の子どもの基礎学力テストが、前回よりも下がりました。けど、手話ができる子どもは90%以上になりました。」なんてことが胸を張って言える教育は目指せないのかな。


将来「国際共通手話を日本人が発明しました!」とか、そんなニュースも聞きたいなあ。