「イシヅヤシン」に浸る | 池袋フィールドのブログ

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ライブハウス 池袋フィールドです。
アーティストとしても活動中の店長・山石敬之が
日々の出会いやエピソードを語っていきます。

池袋フィールドは、私仕様のライブハウスだ。

つまりピアノの弾き語りに向いている。

ところがどういう訳か、ギター陣が男女共に多い。

そんな中ピアノ弾き語りの「 イシヅヤシン  」が登場した。

しかも骨太でありながらも、繊細で深い音楽性。

よく言う「世界観」をしっかり持ったアーティストだ。

彼を表現する上で、池袋フィールドは

音響的にも、照明的にも適している。

こういう人の為に作ったライブハウスなので。

 

出会いは「87年組」というイベントだった。

1987年生まれのアーティストで構成されたイベントで、

東京と関西のアーティストがそれぞれの土地に呼び合い、

展開するイベントで、今も続いている。

皆優秀で、お互いを高め合う仲だ。

しかも時には厳しく批判もし合う姿は、

ここから素晴らしいアーティストが出て来る予感がする。

そんな中でも「 イシヅヤシン  」は頭一つ抜けていた。

初めて聴いた時、いきなり「ドップリ」と

彼の歌世界に引きずり込まれた。

人を「別世界」へと連れ去るのが優れた音楽だ。

彼はまさにそれを体現しているのだ。

 

「 イシヅヤシン  」は。ストーリー・テラーだ。

それはファンタジーと言っても良い。

独特のタッチは「劇画風」で、どこか絵空事だが、

ふと気付くと聴く者の脳裏には、

自分自身の人生のワンシーンが蘇る。

それは、大切な「記憶の箱」の蓋を開けられた感覚だ。

胸さわぎがし、心が動くのが分かる。

もうその段階で彼の術中にハマっている。

彼の音楽の前では、誰もが「記憶の旅人」になる。

人を愛する不安も、孤独のイラつきも、

果たせなかった約束も、そして忘れかけた夢も、

鮮やかに追体験出来る、そんな音楽だ。

 

そして彼は出会ってからも、止まる事なく「前」へと進んでいる。

着実にファンを増やし、活動の幅も広げている。

ライブハウスで観たい音楽とは、

まさに彼のような音楽だ。世界だ。

着実な演奏力と、説得力のある歌唱。

何故かピアノを「斜め」にセッティングするこだわりも、

独特の雰囲気を作り出す。

一度観れば、間違いなく印象に残り、

二度観れば、虜になるだろう。

 

そんな「イシヅヤシン」だが、

本来はもっとブレイクしていてもおかしくない。

だが、まだそこまで行っていないのには、二つ理由がある。

まず、作品世界は素晴らしいし、演奏力は問題無いのだが、

ピアノに関しては、「おぉ!」という程ではない。

彼と同等の実力を持ったアーティストがいたとして、

ピアノだけでも人を惹きつける表現力をもし持っていたら、

人はそちらを選ぶだろう。

弾き語りアーティストは、「唄」プラス「楽器」の二本立てだ。

この両方が抜きん出ていなくては、トップには立てない。

そこの部分の突き詰め方が、まだまだ甘いのだ。

そしてもう一つは「運」だ。

こればかりは仕方ない、と思うだろうが、

実際には、活動にパワーがみなぎっていれば、

運も自ずと訪れるものだ。

勝手に引き寄せられて来るものだ。

それが訪れないのは、どこかで現状に甘んじている部分があり、

「攻めて行く姿勢」がまだ足りないのかもしれない。

楽曲のバラエティーさや、ライブ毎の新鮮な驚きがもっと欲しい。

もっと更に上を目指して、貪欲に戦って欲しい。

 

イシヅヤシンの主戦場は、ライブハウスだ。

日本各地でも展開し、今後はその幅をもっと広げるだろう。

だが、こと彼に関してだけは、

その本領を知りたければ、池袋フィールドで観る事を勧める。

本当の彼の世界に触れられる。浸れる。

音楽の持つ不思議な力を体験する事が出来るだろう。

彼には、質の高いピアノと音響、照明が似合う。

彼を表現する為に、我々は努力を惜しまない。

それだけ期待しているし、

彼のようなアーティストの後押しをする為に、

池袋フィールドは存在するのだ。

 

さあ、この秋はぜひ「イシヅヤシン」に浸ろう。

きっと音楽そのものを、また好きになるはずだ。