抗体 | すざかシート 「職人の覚悟」  Suzaka Seat Blog

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室内装飾に携わって30年余り。仕事のありかたに正面から向き合って、経験に基づいた知識、ノウハウも織り込んで・・・・・・・・

すざかシート

 どんよりとした一日である。昼を過ぎてから風も強くなり午前中に出かけたような半袖で夕方の打ち合わせに向かうのは難しそうだキョロキョロ。天気も下り坂で日付が変わった頃から降り始め、その後大雨になると言う。気温もぐっと低く15度らしいのでまた着るものに悩みそうである。そして週後半には早くも発生した台風1号が金曜までに日本の海上を北上するとかで湿った空気に不快感を覚えるのだろうショボーン。確か沖縄はすでに梅雨入りしたはずで この大気の流れが九州から本州にかけて僕の大っ嫌いな梅雨を呼んでくるのだろうかショボーン

 

 ただ、今度の雨で4月から関わり続けてきた雨漏りに結果が得られるだろう。自分で対応しているからいいものを、これが人頼みとなると「結果が出るまでどうなるのかわからないから何分お願いします」なんて悠長なことを言ってられない。僕にしてみたってすでに4度ばかり屋上に上がり、ここだろうか?あそこだろうか?と処置を施しても次から次へと違う箇所からの雨漏りなのでどうしたらいいのか迷うほどであるえーん。ただ、前回の雨(小雨程度)ではどこからも雨が漏った形跡は見られず、次の雨で判断しましょうとしているので明日の連絡を待つのみである。まさに人事を尽くして天命を待つの心持で明日に備えようニヤリ

 

 珍しく先週は現場が続いた。合わせて役員改選の手続きを行ったりしてたので時計をいつも気にすると言った具合である。水曜から入ったとある施設の改修工事では当初、壁紙だと思ってばかりいた(防炎クロスのシールが貼ってあったので)部屋が寒冷紗クロス(非防火)だったのには手を焼いたえーん。多分だが設計士の意向から選ばれたものだろうが、プロがあれだけの大きな施設で寒冷紗クロスを選択し そこに防炎ラベル(準不燃ではなく不燃のラベルだった)を貼らせるんだから如何なものかと思うプンプン

 

 ラベルに関しては2000年頃だったか、法改定があってラベルを貼らなければならない義務はなくなってはいるがいるが施設開業時はギリ貼ってなければならなかったはずである。まぁ、こんなんが日常茶飯事で行われていたんだから 壁装組合でも防炎協会でもラベルの取得にうるさくなっても不思議ではないキョロキョロ

 

 おっとっと、また話が逸れた。今日は寒冷紗クロスで手を焼いた話である。網目状になってるこの商品は通常のクロスのように糊を用いて壁に貼り、その上でお好みの色になるよう塗料を塗布し仕上げる。まだ小僧時代に一度だけお梃子で出かけた記憶があるが当時は手付けで糊を塗る。網目状のものに糊を塗布するのだから靴下はもちろんの事 あちこちが糊だらけになって大変だった。貼るときはどうでも剥がすときはもっと大変である。単純に言えば包帯とかを糊でびっちり貼り付けてその上に塗装をするんだからめっちゃ固まってしまうガーン。しかも剥がすとなるとビリビリと破くような感じになり凝り固まった塗料がバリバリバリっと落ちてくる。防炎ラベルを見つけた事で寒冷紗だとは見抜けずに手を付けてしまったこちらが悪いので観念しつつ、スクレッパーで少しづつ取り除いた。半分ほど行ったところで今度はモルタル下地となってまた災難であるえーん

 

 でも待てよ、モルタル出てきたってことは半分はプライマー掛けなきゃいかんのじゃ~と気付き あきらめて担当者のところにTEL。ボード面は寒冷紗だって見抜けなかったこちらの不備だから仕方ないにしろモルタルはまずいでしょ。それにテーブルとか座布団とか置いてあったボード面に結構な大きさの穴開いてるし~

 

 結局、責任者の方にも見てもらい増工扱いとなった。やれやれこれで落ち着いてケレンできるわと全面ケレン(刃が着いたもので突起物を削り取る作業)掛けのプライマー。総パテで(どうせだからボード面もそっくりと)下地を仕上げ新しいクロスを貼った。

 

 剥がし始めた時から体に違和感を覚える。休憩をはさむとやる気がなくなるので一気に剥がして全面ケレンをかけた後、いやに痒さを感じるので腕を見れば赤く爛れてるところに発疹が。うわ~、久しぶりに出たわ~。多分額も首元も痒いので同様の症状だろうとこの日はもうあきらめムード。我慢して掃除までして室内を綺麗にした夕方にその日は辞した。

 

 まだ県住に居た頃だから独立してから何年もたってなかった頃だと思う。滅茶苦茶に仕事をしていて休む事も忘れ仕事ばかりの毎日だった当時、原因不明の発疹が出て肌が爛れた。1週間ばかり様子を見ていたが治る気配もなく長野市の大きな病院の皮膚科を訪れた。花粉症だのアレルギーだのと盛んに言われ始めていた頃で散々待たされた挙句 診療室での会話。

 

「どうされました?」 発疹がひどく赤く爛れてしまって・・・

「アレルギーでしょうね。パッチテストは今の段階ではいつ行えるかわかりませんよ。大体原因はわかってらっしゃるんじゃないですか」 多分仕事で使う糊とかパテとかで・・・

「それなら仕事変えられたら?」

 

 ひどい話である。ある程度原因が特定できてるのならその原因となってるであろう仕事を変われと言うのである。まだ若かった頃の僕である。ふざけんな!ムキーと辞してきた事は言うまでもない。当時なんかホルムアルデヒドこそ悪者とされていたが他にも様々な体に害のあるような物質が含まれていた時代である。素人目で見てもそういったものが悪影響を及ぼして、いつの間にか体内に抗体が出来てることくらいは簡単に想像ができる。だからと言って天職とまで感じてる仕事を変われとはどんな神経してるんだと病院の受付でも一言二言苦言を呈してきたプンプン

 

 結局、当時から付き合いのあった矢沢化学(現ウォールボンド工業)さんの方と相談してパテは一番酸性の弱いものを、糊は今愛用しているウォールボンド100N(揮発性物質0%)の従来型が流通過程に対応できる(自然素材である布糊に近いものは食品と同じで日持ちがしない)糊が出来たからと届けてもらい、それを使い始め徐々に発疹が収まるようにもなり今まで通りに仕事が出来るようになったニコニコ。仕事が出来るようになったのは良かったが今度は応援には行けない体になってしまった。一般的に使われている水で希釈するタイプ(糊箱に記載はされてはいないが多分ではあるが多ければ20%ほどか、少なくとも10%は石油系の揮発性物質が含まれてるのでは?キョロキョロ)では体が反応するのである。応援に行けば副資材は当然そっち持ち。階段なんかやってれば空気よりも比重の高い揮発性物質は下に溜まり目がチカチカしてきて、そうこうすると体が痒くなるのである。

 

 どんどんと当店のお得意先が増えていった頃なので幸いにして応援に行くこともなく過ごせ、逆に応援に来てくれた若い衆に色々と糊の話やパテの話などもしてみたりして 自身の体験を振り返り感じたエンドユーザーのこれからの生活(揮発性物質=有害=アレルギー体質の方には健康を害する要因になる)なんかも考えれば糊などの副資材にもう少し配慮があっていいんじゃないかと解いたりもしてみた。結局、彼らの言い分ではそんな費用はないのでで終わってしまう現実があるのだが、久しぶりにこうした、あって然るべきものなのかもわからないようなクロスと向き合うとその思いが蘇るキョロキョロ

 

 どんどんと建設業界の商品、資材、施工費、人工が上昇している。先日も取り寄せたブラインドは配送費(昔なんか取られなかった)も合わせれば昨年よりも4割くらいは跳ね上がっている。そんな中でこんなことを言うのは道理が違うかもしれないが体質などで問題を抱えていらっしゃる方がこの後、住まいを検討されるのであるなら本物を知っている本当のプロに相談をされるべきだろうと思うキョロキョロ