作品展望 №12(解説~鹿内美奈子) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

結社【原始林】その二

 

あきはやき北の畑のそばの花みゆる限りは白き充実  竹内いく子

 

商いを退きて得たりし自在ならば二人して見る川の流れなり  明 美智子

 

炎昼のかげろふ揺るる道駆ればデジャブのように脳の騒だつ  鷲巣純子

 

青き光ひらりと落ちてニホントカゲはや岩の間に隠れてしまふ  有田詢子

 

若き日に義母に送りしレース編みつくづくと見つ時間のかたまり  福浦佳子

 

敗戦後われらふた冬過ごしたる大連にかさぬウクライナの凍れ  足立幸恵

 

幼き歯食いちぎりたる荒磯の大きあわびの忘れがたしも  今村明信

 

地下鉄の上の地下鉄その上の地上へ出づる蟻の気分で  鈴木紀子