結社【原始林】その二
あきはやき北の畑のそばの花みゆる限りは白き充実 竹内いく子
商いを退きて得たりし自在ならば二人して見る川の流れなり 明 美智子
炎昼のかげろふ揺るる道駆ればデジャブのように脳の騒だつ 鷲巣純子
青き光ひらりと落ちてニホントカゲはや岩の間に隠れてしまふ 有田詢子
若き日に義母に送りしレース編みつくづくと見つ時間のかたまり 福浦佳子
敗戦後われらふた冬過ごしたる大連にかさぬウクライナの凍れ 足立幸恵
幼き歯食いちぎりたる荒磯の大きあわびの忘れがたしも 今村明信
地下鉄の上の地下鉄その上の地上へ出づる蟻の気分で 鈴木紀子