函館抒情 日置正博
外は雪花瓶に咲いたさくら枝ひと足早い春はほのかに
眼下には満開誇るさくら花浮き立つごとし五稜の星は
臥牛山すそ野歩めばきらきらと木立の中を光が遊ぶ
浜風に一羽のゴメがホバリング思わずカイトを引くリアクション
間近にて輝きいたる漁火も今はまばらに沖に灯れり
カメオと湖 樋口智子
窓を開ける 誰かの夜とつながって水飴みたい 窓をあけてねむる
うす闇は家のどこかに隠されて 否、そこかしこにあるゆえに 家
誰も誰も訪うことできぬ湖の深みの街に沈めたき鍵
託されたカメオのブローチ陽に透かす うすくてもろくて、そのあたたかさ
針葉樹の実それのみだつた昼の星 気後れしないでわたしもれぷりか
金物店の奥の暗がり鈍食の釘の角先向き向きに照る



