作品展望 №13(解説~鹿内美奈子) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

結社【原始林】その三

 

三十度超ゆる日射しを天蓋の如く遮る樽の大樹は  渡辺民江

 

夏つばき細ぼそ白き芽を吹きぬ開花を思ふ落下を思ふ  上澤孝二

 

曙いろの花びら密に息づきてゆたかなりけり朝の牡丹花  (故)尚乃戸妙子

 

マンションの窓から見ゆる交差点あなたではない人ら通り過ぐ  滝野正子

 

しとしとと「平和の像」に雨降りて空指す指のゆがみて見ゆる  丹羽アヤ子

 

片えくぼ娘へ孫へと継がれおりマスクの中の小さな秘密  今井明美

 

咲ききれぬ蕾ほろほろ掌に零る凍れる椿の寂しさ零るる  千葉悦子

 

志願して前線へ行く少女兵トランクいっぱいのチョコレート菓子  磯石万里