作品展望 №10(解説~鹿内美奈子)  | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

結社【釧路歌人会誌】

 

双方の言い分きいて頷くもファスナー布に噛んだままなり  石森邑子

 

霧の花ふるえるように咲く朝は冬の終わりの風の音する  一戸陽子

 

秋蝶の薄翅ひろげて辿りゆく忘れていた事あるやもしれぬ  伊藤郁子

 

弓なりに大きく波紋を描くフェリー日本海へと舵をきる夏  橋本秀子

 

過去からの雪ふりくれば古りし家音もひかりもあはあはとどく  三上糸志

 

 

 

結社【坐】

 

プレゼントに平和が欲しいとウクライナの子らの言葉に心が痛む  太田喜代子

 

夜半目覚め暴風雨にたたかるる花穂伸びたるルピナス想う  新井陽子

 

ガードマン赤銅色の笑顔むけ注意うながす炎天の工事  竹下直子

 

ゆく夏の海辺に立てば北斎の版画のごとき波が砕けむ  松島佐知子

 

バイオリンの奏ずる詩魂糸を引き空に留まる目には見えねど  大家 勤