令和5年度会員自選作品集(89) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

       ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

実 家  平山公一

 

仏壇に父母の在せば無人なるも年に二回は帰省してゐき

 

実家処分に仏壇の父母の声聞こゆ「甲斐性無し!」とも「仕様が無い(しょんなかたい)」とも

 

長押しから見つめてゐたる父母の遺影庭に瞬時に灰となりゆく

 

仏壇に父と母笑む小さき遺影これは私がいただいて帰る

 

父母の御霊は迷ひゐるならむ実家を処分し始めての盆

 

 

 

 

真白き回廊 福浦佳子

 

LEDとなりて華やぐイルミネーション大木の眠りを妨げながら

 

迷ひなき黒と白とのコントラスト巨き百合樹に濡れ雪貼りつく

 

雪壁の高きがつづく幹線道あゆむ歩道は真白き回廊

 

汚れたる雪壁のこし乾く道過ぎゆく車に春のいきほひ

 

日の当たる街の歩道に広がりて動かむとせず二月の鳩ら