※ 掲載は一人5首にさせていただきます
実 家 平山公一
仏壇に父母の在せば無人なるも年に二回は帰省してゐき
実家処分に仏壇の父母の声聞こゆ「甲斐性無し!」とも「仕様が無い(しょんなかたい)」とも
長押しから見つめてゐたる父母の遺影庭に瞬時に灰となりゆく
仏壇に父と母笑む小さき遺影これは私がいただいて帰る
父母の御霊は迷ひゐるならむ実家を処分し始めての盆
真白き回廊 福浦佳子
LEDとなりて華やぐイルミネーション大木の眠りを妨げながら
迷ひなき黒と白とのコントラスト巨き百合樹に濡れ雪貼りつく
雪壁の高きがつづく幹線道あゆむ歩道は真白き回廊
汚れたる雪壁のこし乾く道過ぎゆく車に春のいきほひ
日の当たる街の歩道に広がりて動かむとせず二月の鳩ら