令和5年度会員自選作品集(90) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

       ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

春待つ泥濘 福原美知子

 

柔らかき春告げ鳥の声を聴く混沌として終はらぬ夜を

 

ウクライナ歴史に翻弄されゐるか逃げ惑ふ足待つ泥濘

 

訳もなく好きでなかつた矢車草無欲に揺れる意地も揺れをり

 

夏至近き緑地帯を揺らす風血液検査の結果待つ窓

 

街路樹の見違へる程生ひ育ち落ち葉のたつる音おとなめく

 

 

 

 

流 氷  藤林正則

 

もうだれも住まぬ生家の雪下ろし終へて見つめる流氷の海

 

また一戸離農の村の丘の上に馬頭観音と家畜碑の立つ

 

ふるさとの駅が消えても店の名は「駅前食堂」カレーが旨い

 

卒業の記念に植ゑし桜木の花吹雪浴ぶ廃校に来て

 

昨日はバラ今日はヒマハリ明日はユリ施設の母は塗り絵の画伯