巨人国編 偽作ガリバ~旅行記 4 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

  三人の生物学者が 王様に呼ばれました。
 

「 この生き物は 何だろうか ?

  お前たちの見解が聞きたい 」


  学者たちは しきりに首をひねって

  ガリバ~の体を調べていましたが、

  みんな、適当なことを言うのでした。


「 生物学的には オスです 」

「 短い足ですが 二足歩行の生物ですな 」

「 これは 自然の正しい法則から 

  生れたものでは ないようですなぁ 」

「 足が短くて 胴が長く

  人としての デザインが狂ってます 」

「 小さくても愛らしくなく とってもブサイクです 」

「 なにやら薄汚れているし

  昨日今日 生まれたわけでは無さそうです、

  どうやって 今まで生きていたのやら ? 」

「 こんな身体では 木によじ登ることも、

  地面に穴を掘ることもできないから、

  食料確保には さぞ困るだろうし 

  ウロウロしていたら 

   ネズミや 野良猫に食われてしまうでしょう 」 

「 そうか オイラ 海岸で速攻でひろわれて、

  その後 オヤジに鳥かごに住まわされたから

  ネズミやネコに 襲われることもなかったんだなぁ 」

  ガリバ~は 巨人国の危険性を思い ぞっとしました。 


  彼等は ガリバ~の歯をよく調べました。


「 これは肉食動物のようですなぁ 」
 
「 おそらく かたつむりか 

  こん虫でも食べていたのでしょうな 」


「 オイラ そんなものは食べないよ ~!

  かたつむりを食べるのは おフレンチ料理だよ

  オイラは エゲレス人だから プディングや 

  フィッシュアンドチップスを 好んで食べるのさ

  他所の国の人はエゲレス料理は

  とっても まずいって言うけどね 」



「 何んだか ぶつくさ言う

  ブサイクな人型の小動物ですなぁ 」 

「 もしかすると、これは 

  まだ産れる前の 胎児なのかも 」

「 いいや これには 汚い無精ヒゲが生えている、

  まるで コントの泥棒の顔のようだ、

  これは 数年間は 生きて来たものにちがいない 」

  学者たちは、結局 良くわからず

  こんなことを言いました。


「 これは つまり、自然が

  いたずらして作り出したものでしょう 」

 「 言うならば 『 自然の 戯れ 』 ですかなぁ 」

「 出来損ないと 言い換えることもできますね 」


「 なにぃぃい ~!

  オイラが 『 自然の 戯れ 』 だって !? 

  出来損ない だってっぇぇええ ~!! 」

  ガリバ~は むっとしました、

  人として とっても尊厳を傷つけられた気がしました。


「 まぁ なんだかわからないということで

  みなの意見が 一致しました 

  今後の研究課題としましょう

  でも あんまり興味わかないですがね 」

  学者たちは 頭をひねりながら帰って行きました。


「 王様 オイラの話を聞いてください。

  オイラは こう見えても故国に帰りさえすれば、

  オイラと同じサイズの人間が 何百万人といるのですよ。

  そこでは 動物も 樹木も 家も 食卓も 食器も

  トイレの 便器も 

  みんなオイラの身体と 同じ割合で小さくなっています。

  だから、オイラ 故国でなら、

  自分で自分の身を 守ることもできるし、

  ちゃんと立派に生きてられるんですよ ~ 」


「 なるほど 我々とは縮尺が違うわけだな 

  すると 数の数え方も違うのかな ?

  端折って 数えたりするのかな ?

  我が国は1から10で桁が繰り上がる 10進法じゃが 」


「 エゲレスは 12進法ですよ 」

( 1971年まで )





「 なんと 12進法とは !

  何やら 面倒くさそうじゃのう

  計算が煩雑になりそうじゃ 

  買い物をして 釣り銭はごまかされんかのう 

  世界には 色々な国 色々な人間がいるわけだ

  うははっは 」


「 王様 ガリバーは お気に召しましたか

  お~ほっほほほほ ♪ 」


「 妃よ ガリバ~を 良く面倒みるようにな

  生ゴミと間違えて 捨てないようにな

  捨てるなよ すてるなよぉぉ ~ 」


「 王様 ~ それって 

  前フリじゃないでしょうね ? 」


「 おゃ おやくそくのオチが わかっておるのか 

  ほれ このとおり 

  ゴミ箱を 用意しておったんじゃがのう

  うははははははは ♪ 」





      続 く