「 この生き物は 何だろうか ?
お前たちの見解が聞きたい 」
学者たちは しきりに首をひねって
ガリバ~の体を調べていましたが、
みんな、適当なことを言うのでした。
「 生物学的には オスです 」
「 短い足ですが 二足歩行の生物ですな 」
「 これは 自然の正しい法則から
生れたものでは ないようですなぁ 」
「 足が短くて 胴が長く
人としての デザインが狂ってます 」
「 小さくても愛らしくなく とってもブサイクです 」
「 なにやら薄汚れているし
昨日今日 生まれたわけでは無さそうです、
どうやって 今まで生きていたのやら ? 」
「 こんな身体では 木によじ登ることも、
地面に穴を掘ることもできないから、
食料確保には さぞ困るだろうし
ウロウロしていたら
ネズミや 野良猫に食われてしまうでしょう 」
「 そうか オイラ 海岸で速攻でひろわれて、
その後 オヤジに鳥かごに住まわされたから
ネズミやネコに 襲われることもなかったんだなぁ 」
ガリバ~は 巨人国の危険性を思い ぞっとしました。
彼等は ガリバ~の歯をよく調べました。
「 これは肉食動物のようですなぁ 」
「 おそらく かたつむりか
こん虫でも食べていたのでしょうな 」
「 オイラ そんなものは食べないよ ~!
かたつむりを食べるのは おフレンチ料理だよ
オイラは エゲレス人だから プディングや
フィッシュアンドチップスを 好んで食べるのさ
他所の国の人はエゲレス料理は
とっても まずいって言うけどね 」
「 何んだか ぶつくさ言う
ブサイクな人型の小動物ですなぁ 」
「 もしかすると、これは
まだ産れる前の 胎児なのかも 」
「 いいや これには 汚い無精ヒゲが生えている、
まるで コントの泥棒の顔のようだ、
これは 数年間は 生きて来たものにちがいない 」
学者たちは、結局 良くわからず
こんなことを言いました。
「 これは つまり、自然が
いたずらして作り出したものでしょう 」
「 言うならば 『 自然の 戯れ 』 ですかなぁ 」
「 出来損ないと 言い換えることもできますね 」
「 なにぃぃい ~!
オイラが 『 自然の 戯れ 』 だって !?
出来損ない だってっぇぇええ ~!! 」
ガリバ~は むっとしました、
人として とっても尊厳を傷つけられた気がしました。
「 まぁ なんだかわからないということで
みなの意見が 一致しました
今後の研究課題としましょう
でも あんまり興味わかないですがね 」
学者たちは 頭をひねりながら帰って行きました。
「 王様 オイラの話を聞いてください。
オイラは こう見えても故国に帰りさえすれば、
オイラと同じサイズの人間が 何百万人といるのですよ。
そこでは 動物も 樹木も 家も 食卓も 食器も
トイレの 便器も
みんなオイラの身体と 同じ割合で小さくなっています。
だから、オイラ 故国でなら、
自分で自分の身を 守ることもできるし、
ちゃんと立派に生きてられるんですよ ~ 」
「 なるほど 我々とは縮尺が違うわけだな
すると 数の数え方も違うのかな ?
端折って 数えたりするのかな ?
我が国は1から10で桁が繰り上がる 10進法じゃが 」
「 エゲレスは 12進法ですよ 」
( 1971年まで )
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220627/20/ff22302370/14/3c/j/o0612053415139161267.jpg?caw=800)
「 なんと 12進法とは !
何やら 面倒くさそうじゃのう
計算が煩雑になりそうじゃ
買い物をして 釣り銭はごまかされんかのう
世界には 色々な国 色々な人間がいるわけだ
うははっは 」
「 王様 ガリバーは お気に召しましたか
お~ほっほほほほ ♪ 」
「 妃よ ガリバ~を 良く面倒みるようにな
生ゴミと間違えて 捨てないようにな
捨てるなよ すてるなよぉぉ ~ 」
「 王様 ~ それって
前フリじゃないでしょうね ? 」
「 おゃ おやくそくのオチが わかっておるのか
ほれ このとおり
ゴミ箱を 用意しておったんじゃがのう
うははははははは ♪ 」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200624/14/ff22302370/93/ef/j/o0189026714778995232.jpg?caw=800)
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