偽作クリスマスキャロル 7 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


  はっとして、我に返ると 

  スクルージは 自分がベッドの

  シーツを掴んでいることに気づきました、

  あたりを見渡し自分の部屋にいることを知りました、

  すでに 夜は明けていました。

「 おぉぉぉ ワシは まだ生きているぞぉぉぉお !
  
  朝だ~! 朝だ~よ ! 

  朝日が昇る ~♪ ズンタカタッタ ♪ 」

  スクルージは 歌い踊りました。

「 いや まてよ、いつの朝だ ? 

  もう、クリスマスは終わったのか ? 」

  窓枠へ飛びつき、窓を開け、

  下を歩く子どもに話しかけました。

「 おい そこの小汚い小僧 今日は いつだ ? 」

「 けっけっけ ♪

  くたばり損ないの 欲ボケのスクルージジイさん、

  本当にボケたのかい ? 

  今日はクリスマスだよ~ ♪ 」

  スクルージは今日がクリスマス当日だと知りました。
 
「 今日がクリスマスだって ! よし !

  小僧 そこの肉屋にでっかい七面鳥があるじゃろう、

「 あるさ、今日は クリスマスだもの 」

「 すぐ肉屋の人を呼んできてくれたら、

  お駄賃を あげないでもないのだが

  どうする ? 」

「 呼んでくるに決まってんだろ、

  約束は守れよな スクルーじじい ! 」


  こどもは 駆け出しました。





「 でも あの爺さん ケチんぼなのに 変だなぁ 

  この世が 滅びる予兆じゃぁないよね ?

  マヤ暦の終りは まだ100年以上先だし 

  変な疫病が 流行らなきゃいいけど 」

  子供は 半信半疑で走り出しました、

  それを見ながらスクルージは言いました。


「 クラチット家に贈りつけてやるんじゃ、

  ティムの体より大きい 七面鳥をな !

  どうせ貧乏で七面鳥など食べたことなどないじゃろ、

  腹が張り裂けるくらい たべさせてやるんじゃ

  そして ティムを医者に診させるんじゃ !

  まだまだ 生きて この世で苦労すればいい、

  そう簡単に 天国になど行かせんぞ !

  そうだ ワトソン先生なら暇そうだから

  すぐ 診察してくれるだろう、

  今なら まだ間に合うはずじゃ ! 」


  スクルージにとって、生まれて初めての

  新鮮な気持ちの クリスマスが訪れました。


「 どうせ金は 生きている時にしか使えないんじゃ、

  単語のスペル間違えるようなバカな政治家が

  身内を太らせるような 施策ばかりして

  税金を中抜きしたり 

  統計資料を改竄したり 粉飾決算みたいな 

  テキトーな政治をする

  国民が飢えていても知らんぷりで

  武器を買い漁って 軍国主義をすすめるような

  この国に没収されるくらいなら

  ワシが好きなように使うさ !

  見てろよ ワシを罵る世間の奴らども ! 」



  スクルージは 貧しくて 

  満足に食事にありつけない人々のために、

  クリスマスシーズンの炊き出しをしました。

  養護施設に寄付をし 基金を作り、

  貧しい者のための 奨学金制度を創設し

  担保のない人にも 超低金利で お金を貸しました。

  今までとは真逆な行為をするスクルージに 

  人々は驚きました。


「 強欲じいさん

  いったい どうしちまったんだ ? 」

「 西から昇ったお日様が

  東に沈むんじゃないだろうな ? 」

「 何か たくらんでいるんじゃぁないのかぁ ? 」

「 政界進出とか 政商をめざすんじゃねぇの ?

  税金の中抜きとか 儲かりそう 」

「 新興宗教を始めるとか ? 

  お布施で懐をこやして 贅沢三昧の

  牧師や 僧侶の話を聞くぞ 」

「 案外 変な薬やってるんじゃねぇ~の ? 」


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「 スクルージさん、

  街の人達がいろいろ噂していますよ

  あの慈善行為は もっと儲けるための

  偽善行為じゃないかとか 」

  クラチットが 言いました


「 言わせておけ ワシは好きなようにする、

  どうせ地獄に 金を持っていけるわけでもなし、

  残り少ない人生じゃ、

  これがワシの 世間の評価への復讐、

  いや、自分自身の過去への

  復 讐 じ ゃ !

  この世の中に 一石を投じるのだ、 

  悲しい思い 悔しい思い

  病気で苦しむ者 ひもじい思いをする人間を

  生み出さないようにするためにな、

  きっと マーレィも 喜んでくれるだろう、

  こうなることを望んで 亡霊になって 

  ワシの夢枕に立ったのだから 」


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  いつしか 善意の輪は 人々に広がり 

  慈しみの心を持つ者が 増えました。

  やがて人々は この街が少しずつ

  変わっていくのを 感じました。

  今まで暗く淀んでいた町に 少しずつ光が射し

  新しい風が 吹いてくるようでした。

  人々は あのクリスマスの日から

  奇跡が 起きたのだと思いました。


  スクルージは こう言われるようになりました。


「 クリスマスの本当の祝い方だって ?

  それなら スクルージさんに 聞いてみなさい、

  それを 一番良く知っているのは

  あの人だからね ! 」


  スクルージは 忘れません、

  小さなティムが言った言葉を。

  そして、祈りました。


「 神様、ワシたちを 祝福して下され、

  こんな世の中で嘆き 苦しむ人達に救いを

  そして 世界中の すべての人に 祝福を、」


       続 く