「 何ということだ~! クラチットは どこだ~! 」
スクルージは 叫びました。
しかしスクルージの店に クラチットはいません。
あわてて彼の家に行っても
クラチットはいませんでした。
彼は 病気の息子のために
薄給のスクルージの仕事を辞め、より高給を求め
大英帝国下の植民地に出稼ぎに行ったのです。
しかし時すでに遅く
貧しいクラチット家の息子のティムは、
医師に頻繁にかかることも出来ず、
薬も満足に買えず、
母の看護も虚しく 亡くなってしまいました。
教会の墓地に ティムの名の
小さな墓標が建てられていました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20191217/19/ff22302370/94/f3/j/o0640064014680497763.jpg?caw=800)
「 あぁぁ まだ
あんなに小さな子どもなのに 、、、 」
幼い日の 自分の姿を重ねあわせ
スクルージは さめざめと ひとしきり泣きました。
「 ところで ワシの墓は
どこに建てられるのだろう ? 」
「 自分の墓が 見たいのか ? うひょひょ ♪ 」
未来の精霊が 言いました。
「 もちろんじゃ 」
「 ならば 自分の眼で確かめるがよい、
お前の人生の結末に ふさわしい墓だ
うぉっほほほほ ♪ 」
「 ワシの業績に相応しく
さぞやスタイリッシュで 立派な墓だろうからな 」
ところが 身寄りの無かったスクルージは
死後、財産を全て国に没収され、
個人の墓を 建てられる事もなく、
彼の遺体は、無縁者の共同墓地に、
生ごみでも捨てるように、
粗雑にポイと埋葬されていました。
「 何ということだ ~!
財産が山ほどあるのに
一文無しの行き倒れの者と 同じ末路だとは ~!
例え、守銭奴と人に嫌われようと
死に物狂いで、人生の全てをかけて
働いて来たのに ~ 」
良く見ると 立て看板がありました。
「 なんじゃ ? どれどれ ?
近頃 老眼で乱視も入って 、、、 」
そこには
『 ざまぁみろ 守銭奴スクルージ いい気味だ
二度と 地獄から戻ってくるんじゃねぇぞ ! 』
と 殴り書きしてありました。
「 あぁぁああ ! なんという事じゃ !
死んでからも罵倒され、辱められるとは !
ワシの人生とは
ただの自己満足の徒労じゃったのか ?
お金とは、金儲けとは
いったい何だったのじゃ ~!? 」
哀れで、悲惨な未来を見せつけられて、
スクルージは精霊の黒い衣服に とりすがりました。
「 この忌まわしい未来は
絶対に変わらないものなのかぁああ ? 」
「 さぁ どうだろう ?
運命は たぶん 変わらないんじゃぁないかぁ、
泣き言っても お前の寿命は変わらないぞぉ
強欲な人生が お前の持ち味だろぅ ?
長年の生き方は いまさら
変えられないのではないのかなぁ ?
生きている時も
死んでからも 人々に侮蔑される人生
悪い意味で 一本 筋が通ってる、
だから このままでも いいんじゃね ?
うぉっほほほほほ ♪ 」
「 なんじゃと !
何が クリスマスの精霊じゃ !
コメディアンのコントみたいなカッコしやがって !
あぁ かってにするさ !
わしの思うがままにな !
どうせ死ぬんじゃ !
こんな世の中に 復讐してやるぅぅううう ! 」
スクルージは 精霊の胸ぐらを掴みました。
続 く