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白雪姫を 収めた棺が
七人の男達の 小屋の前に置かれ
厳かに 葬儀が行なわれました
「 灰は 灰に 塵は 塵に 、、、、、 」
男たちは 手に手に 花を持ち 棺の中に入れます
「 あぁ 俺達の 白雪が 死んでしまった ~ 」
「 かわいそうな 白雪 ~ 」
「 君のことは 忘れないよ ~ 」
「 ヒィ ヒィ 悲しいよ ~ 」
「 りんごを 食べたばかりに 死んでしまった ~ 」
「 まさか 毒が入っていたなんて ~ 」
「 わ~ん わ~ん ! 」
男たちは 大声で 森に響くように 泣き叫びました
林檎売りに扮していた 王妃配下の 老女が
その様子を 森に潜んで 密かに見ていました
「 しめしめ みごとに毒殺は 成功したようだねぇ
後は 埋葬がすんだら 夜中にでも墓を暴いて
白雪姫の心臓を取り出さねば
王妃様はサディストだから お喜びになるだろうが
でも あたしゃぁ 気持ち悪くて
やりたかぁないねぇ 」
そこに お供の者を引き連れた
馬に乗った人物が 通りかかりました
「 おやぁ ? あれは誰だろう ? 」
老婆は いぶかしく思いました
「 これこれ 君たち 何をしているのだ~い ? 」
彼は 大きな声で尋ねました
「 あなた様は どなたですか ~? 」
「 私は 隣の国の王子で~すっ
狩りの途中で あなた方の声が聞こえたので
何事かと思い 見に来たのだぁ~よ 」
「 そうですか 今 葬式をしていま~す 」
「 僕たちの 大切な仲間の 白雪が
毒りんごを食べて 死んでしまいました ~ 」
「 お~い おいおいお~い ! 」
「 あぁ なんと美しい娘さんだろう ~
白く透き通るような肌だ ~
こんな森の中で 埋葬するのは かわいそうだ ~
一人ぼっちで 冷たい土の中 眠るなんて ~
我が国の お城の近くの教会の墓地に
葬ってやりたいのだが どうだろう ~ ? 」
王子を名乗った人物は 大声で言いました
「 それは 光栄なことです ~ こんな寂しい所より
立派な墓地で眠ったほうが ~ どれだけ幸せでしょうか ~
きっと 彼女も 草葉の陰で 喜ぶ事でしょう ~ 」
「 それがいい ~ 」
「 それがいい ~ 」
「 以下同文 ~ 」
「 では 棺は 私が国に持ち帰ることにしよう ~ 」
「 よろしくお願いしま~す 」
「 手厚く 埋葬するので 安心し給え ~ 」
彼は お供の荷馬車に棺を乗せて 去っていきました
「 さ よ う な ら ~ 」
「 さ よ な ら ~ 」
「 さよなら ~ 」
「 またね ~ 」
「 キスしちゃ ダメだよ ~! 」
「 お い ! 」
男たちは 荷馬車が見えなくなるまで
ずっと 大げさに 手を振り 見送りました
「 ほぉ~ ちょうど 隣国の王子が
通りかかるとはねぇ 」
王妃の配下の老婆は これ幸いと思いました
「 まぁ これで 墓を暴かなくてもすんだね
王妃様も 隣国の墓地まで行けとは言わないだろう
他国の墓を暴いて もし見つかったら
国際問題に なりかねないしね
白雪姫も 静かに 永遠の眠りにつけるだろうて 」
老婆は 嫌な仕事しなくてすみ 安堵しました
「 よし さっそく この事を報告をしなくては
さぁ こんな辺鄙な所とは さっさとオサラバ
早く城下にもどって 行きつけのレストランで
白雪姫を偲んで アップルパイでも食べようかねぇ
うふふふっ 楽しみだわ
よっこらしょ どっこいしょ 」
一連の様子を見た老婆は
隠しておいたロバにまたがり
王妃のもとに 急ぎました
続 く