偽作 白雪姫 7 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい





  白雪姫を 収めた棺が 

  七人の男達の 小屋の前に置かれ 

  厳かに 葬儀が行なわれました
 
「 灰は 灰に 塵は 塵に 、、、、、 」

  男たちは 手に手に 花を持ち 棺の中に入れます

  
「 あぁ 俺達の 白雪が 死んでしまった ~ 」

「 かわいそうな 白雪 ~ 」

「 君のことは 忘れないよ ~ 」

「 ヒィ ヒィ 悲しいよ ~ 」

「 りんごを 食べたばかりに 死んでしまった ~ 」

「 まさか 毒が入っていたなんて ~ 」

「 わ~ん わ~ん ! 」


  男たちは 大声で 森に響くように 泣き叫びました

  林檎売りに扮していた 王妃配下の 老女が

  その様子を 森に潜んで 密かに見ていました

 
「 しめしめ みごとに毒殺は 成功したようだねぇ 

  後は 埋葬がすんだら 夜中にでも墓を暴いて

  白雪姫の心臓を取り出さねば

  王妃様はサディストだから お喜びになるだろうが 

  でも あたしゃぁ 気持ち悪くて

  やりたかぁないねぇ 」


  そこに お供の者を引き連れた 

  馬に乗った人物が 通りかかりました


「 おやぁ ? あれは誰だろう ? 」

  老婆は いぶかしく思いました


「 これこれ 君たち 何をしているのだ~い ? 」

  彼は 大きな声で尋ねました 

「 あなた様は どなたですか ~? 」

「 私は 隣の国の王子で~すっ 

  狩りの途中で あなた方の声が聞こえたので

  何事かと思い 見に来たのだぁ~よ 」

「 そうですか 今 葬式をしていま~す 」

「 僕たちの 大切な仲間の 白雪が 

  毒りんごを食べて 死んでしまいました ~ 」

「 お~い おいおいお~い ! 」

「 あぁ なんと美しい娘さんだろう ~ 

  白く透き通るような肌だ ~ 

  こんな森の中で 埋葬するのは かわいそうだ ~

  一人ぼっちで 冷たい土の中 眠るなんて ~

  我が国の お城の近くの教会の墓地に

  葬ってやりたいのだが どうだろう ~ ? 」

  王子を名乗った人物は 大声で言いました

「 それは 光栄なことです ~ こんな寂しい所より 

  立派な墓地で眠ったほうが ~ どれだけ幸せでしょうか ~ 

  きっと 彼女も 草葉の陰で 喜ぶ事でしょう ~ 」

「 それがいい ~ 」

「 それがいい ~ 」

「 以下同文 ~ 」

「 では 棺は 私が国に持ち帰ることにしよう ~ 」

「 よろしくお願いしま~す 」

「 手厚く 埋葬するので 安心し給え ~ 」

  彼は お供の荷馬車に棺を乗せて 去っていきました


「 さ よ う な ら ~ 」

「 さ よ な ら ~ 」

「 さよなら ~ 」

「 またね ~ 」

「 キスしちゃ ダメだよ ~! 」

「 お い ! 」

  男たちは 荷馬車が見えなくなるまで

  ずっと 大げさに 手を振り 見送りました


「 ほぉ~ ちょうど 隣国の王子が

  通りかかるとはねぇ 」

  王妃の配下の老婆は これ幸いと思いました


「 まぁ これで 墓を暴かなくてもすんだね

  王妃様も 隣国の墓地まで行けとは言わないだろう

  他国の墓を暴いて もし見つかったら

  国際問題に なりかねないしね

  白雪姫も 静かに 永遠の眠りにつけるだろうて 」

  老婆は 嫌な仕事しなくてすみ 安堵しました


「 よし さっそく この事を報告をしなくては 

  さぁ こんな辺鄙な所とは さっさとオサラバ 

  早く城下にもどって 行きつけのレストランで 

  白雪姫を偲んで アップルパイでも食べようかねぇ

  うふふふっ 楽しみだわ

  よっこらしょ どっこいしょ 」


  一連の様子を見た老婆は 

  隠しておいたロバにまたがり

  王妃のもとに 急ぎました
 
  
       続 く