偽作 白雪姫 6 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


                             Meno Istorija




  王妃の密命を帯びた 配下の老婆が 

  毒入り林檎を抱え 白雪姫の住む森にやって来ました

  なぜ 老婆なのでしょう ?

  それは なまじ屈強な男だと 目立ち警戒され 

  7人の男たちに発見されると

  何をされるか分からないからです

  妙齢な女性も 違う意味で危ないかも知れません


「 ごめんくださいまっし ~ 」

  白雪姫は ドアチェーンをかけて 

  玄関の扉の隙間から 訪問者をのぞきます

  チェーンは 一人留守番する彼女のため

  男たちが心配して 取り付けた物でした


「 どなたですか ? 」

「 産地直送の美味しい りんごは いっかがでしょう ~? 」

「 けっこうです お引き取りください 」


  白雪姫は 見知らぬ人を

  小屋に招いてはいけないと

  男たちに きつく言われていました 


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 いいかい 俺達のこと 

  人に知られてはいけないんだよ 」

「 国税の徴収の役人とかは 特にね 」

「 俺たち 税金 払ってないからね えへへ 」

「 秘密の鉱山の 非合法の採掘を知られると

  とっても まずいんだよ 」

「 重税を課され 過去にさかのぼって

  追徴課税も免れないだろうなぁ 

  想像を絶するルーズさ、って自分で言っちゃう

  どっかの国の 芸人みたいにさ 」 

「 それだけじゃない

  国に 鉱山を取り上げられてしまうかも 」

「 ただで取り上げられて 

  また 失業の憂き目は困るよ 」

「 牢獄に つながれるのもゴメンだ 」


  この頃 鉱山や 白雪姫の暮らす 

  小屋の辺りを うろついていた不審者が

  交代で 見張り番をしていた男たちに 発見され

  背後から忍び寄られ 危険なプロレス技で 

  撃退されてしまいました


「 チョークスリーパー! 」

「 コブラツイスト ! 」

「 腕ひしぎ十字固め ! 」

「 アキレス腱固め ! 」

「 へそで投げる バックドロップ ! 」

「 とどめの ツームストン・パイルドライバー ! 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


  老婆は白雪姫に りんごを 勧めます

「 まぁ そういわず 味見用に 

  おひとつ いかがですか? 無料ですよ 」

「 では 置いて行ってくださいな 」

「 糖度が高く ジューシー ひとかじりで

  天国にも登る 心持ちですよ うふふふ ♪ 」

「 はい はい 」

「 今 お食べになってくださいなぁ 」

「 いえ 後で家の者たちと 一緒に頂きます

  私の独断で 買うわけにはいかないのです 」

「 そうですか では 後で 召し上がれ 」

  白雪姫は 林檎を 受け取りました

「 試食して お気に召したら 大量に箱ごと

  お買い上げくださいましね また伺いますよ 」


  老女は 去って行きました 

  あまり強引に 勧めると

  逆効果だと 考えたからでした


「 可哀想だが 一口でも食べた途端

  悶え苦しんで あの世行き

  あとで 様子を見に来ようかぁねぇ 」

  老婆は 焦らず結果を待つつもりです 

「 でも 王妃様も 小娘一人に 必死だねぇ

  放っておいた方が 良いと思うけどねぇ 

  なんて無慈悲なことを やらせるのやら

  まぁ 金で雇われた あたしが言う事でもないがねぇ 

  うふふふっ ♪ 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。





  白雪姫は 真っ赤に色づいた林檎を

  うっとりと 眺めました


「 なんて 美味しそうなのかしら 

  今すぐ いただいてしまおうかしら 

  でも 一人で食べては悪いし 」


  白雪姫は 林檎を手にすると 匂いを嗅ぎました 

「 あぁ 私の大好物の りんご 久しぶり 」

  じっくりと林檎を眺めました 

「 なんて 美味しそうなのかしら 」

  林檎は きらきらと 真っ赤に輝いていました

  甘い香りが 魅惑的です

  逡巡を重ねました


「 一口だけなら いいかしら 」

  前にも そんな事があったわ と思いつつ

  白雪姫は 林檎を 口元に 近づけました

 
  林檎は 赤々と 怪しげに光り

  誘惑するかのようでした

  エデンの園で アダムとイブを 魅了したように


「 いっただきま~す ♪ 」

     続 く



$藤花のブログ 詩と