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アリスは 下へ、下へ、下へと まだまだ落ちています。
「 いままで もう何キロメートルくらい 落下したんだろう ? 」
と アリスは声に出して言いました。
暇なので 髪を手櫛ですいたりしましたが
風圧で乱れてしまいます。
「 ガーリーな ゆるふわにしたいのに
オールバックになっちゃうわ
途中に 美容室ないかしら 」
まだまだ落ちて行きます。
「 こんなに長く落ちてれば
そろそろ 地球のまん中くらいに来たはず。
え~っと、概算で 6000キロメートルくらい
落ちたことになるぅ ~ のかな ?
でも それだと緯度や経度はどこらへんだろう ? 」
しばらく考えてアリスは また しゃべりはじめました、
とかく女の子は口から先に生まれたと
揶揄されるほど おしゃべりなのです。
「 このまま地球を ズドンッ ! とつきぬけて落ちちゃうかも ~ !
地球の裏側で 地球にぶら下がって歩く人たちの中に出たら、
すっごく 変な光景でしょうねぇ
そこって どこ ? 地球の裏側って どこ ? 」
まだまだ アリスは落ちていきます。
「 でも、GPS付きスマホ持ってないから
国の名前は 誰かに聞かないといけないわ、
『 あのぉ 奥さま、ここってニュージーランドでしょうか ?
オーストラリアでしょうか ? 』
なんてぇ事を 聞いたりしたら
そしたら その方、
『 まぁ そんなことを聞くなんて、
近頃の若い娘は 常識も無いのかしら ?
きっと地理の成績が悪いんだわ
ゆとり教育のせいかしら ? 落ちこぼれなのかしら ?
いやねぇ 関わるとバカが移るかも お~ほっほほほほ ♪ 』
なんてぇ あたし きっと
すごくバカでマヌケな女の子だと思われちゃうわ !
だめだめ、そんなこと聞いちゃ、
あたしの 気高いプライドが ゆるさないわ。
どうせ どっかに 道路案内図かなんかあるわ 」
下へ、下へ、もっと下へ アリスは落下していきます。
暇なので、アリスは また しゃべりだしました。
「 今夜、ダイナは あたしがいなくて さびしがるでしょうねぇ
ちなみに ダイナは 猫よ、
平成▽ルトラマンの仲間じゃないのよ。
ティータイムに ダイナにミルクを あげるのを
忘れないでくれるといいけど、
そうじゃないと きっと いじけちゃうわ。
『 基本的な 飼い猫の生存権を侵害するニャ ~!
許せニャイニャ~! 』 てね。
あぁあ 一人で落下しているのは ヒマだわ、
ダイナ ここに おまえが いたらいいのにぃ !
この空間には ネズミは いないみたいだけれど、
コウモリが つかまるかもしれないわ、
コウモリって すごく ネズミみたいなんだから。
古代ローマの博物学者のプリニウスは、コウモリのことを
『 翼持つネズミ 』 と呼び、鳥類に分類していたのよ。
近代分類学では 哺乳類に分類されていたけど、
近年 コウモリ目は 食肉目( ネコ目 )
鯨偶蹄目、奇蹄目( ウマ目 )
有鱗目( センザンコウ目 )などと共に、
ローラシア獣上目の系統に属するらしいのよ
でも猫って コウモリ食べるのかな ? 」
アリスは つぶやき続けました。
「 猫って コウモリ食べる ?
猫って コウモリ食べるのお ? 」
アリスは 誰に聞いているのでしょう ?
もちろん 誰もいませんから誰も答えてくれません。
アリスは うつらうつらしてきて、
ダイナといる夢を見はじめました。
「 さぁ ダイナ、正直におっしゃい !
あんた、コウモリ食べたことあるの ? 」
と夢の中で 猫に詰問しました。
「 愚問だニャァ
そんなもの食べたことニャイニャ~
アタイ グルメだニャァ~
ネズミやコウモリより カリカリや
猫缶のほうが 美味しいニャァ~ 」
夢の中のダイナが 面倒くさそうに答えました。
「 あんた タダ飯食らってばかりいないで
ネズミくらい 獲りなさいよ ! 」
「 アタイは 平和主義だニャア
残虐な行為は 嫌だニャア 」
続 く
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