新春TVショー 6 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




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「 かんぱ~い ! 」

      「 かんぱ~い ! 」

「 いやぁ 一時は どうなるかと思ったが

  新政府の人気取りの恩赦で 命拾いしたなぁ 」

「 思想犯とかもな 

  でも もともと おいらたちは冤罪だからなぁ 」

「 年明けから だいぶ ヒドイ年になったなぁ

  さる年 だから 悪夢のような政治体制は

  さる となってもらいたいものだなぁ ~ 」

「 そういえば 昔 幼児誘拐殺人の冤罪で 

  二十年以上も 捕まってた人がいたなぁ 」

「 そうだなぁ そんな事件があったっけなぁ

  昔の不確実な DNA鑑定で有罪になったんだったっけ

  あとで 無罪になったんだなぁ 」

「 他にも 類似事件が何件もあったが

  未解決 なんだってなぁ

  ずさんな捜査で 恐ろしいなぁ 」

「 最近も ずさんなDNA鑑定で

  懲役になっていた若者がいたよなぁ 」

「 昔 電力会社OL殺人事件で

  外国人が犯人にされたこともあったなぁ

  見込み捜査だけで 犯人でっち上げて 

  十何年もたって 無罪にはなったが 」  

「 本当の罪人を まんまと逃して 

  警察は 一人の無罪者を捕まえて 満足

  それで殺人犯は のうのうと逃げ切ったんだ 」

「 警察にとって 真犯人かどうかは

  全然 問題じゃぁないんだな

  誰か それらしい奴が いればいいんだ 」

「 犯人は 警察 検察 司法によって

  作られることもあるってこった

  過去にも 数えられないほど 

  冤罪は あったんだろうなぁ 」

「 おそらく 無実の罪で死刑になった人もいたんだ 」

「 結局 誰一人 連中は責任とらないからなぁ 」

「 賠償金は 国費で払われるし

  誰も首にも ならない 

  給料も 退職金も 年金ももらえる 

  権力の傘に守られて 

♪ 気楽な稼業ときたもんだ ~♪

  すいすい す~だららったぁぁあ ~♪ 」

「 C調気分で やられちゃぁ

  被疑者は たまったもんじゃないなぁ 」

「 特定秘密法の該当案件にでもされたら

  闇から 闇だなぁ 」

「 特定秘密法は いつの間にか

  民間人まで範囲を拡大されたからなぁ

  国のやることは ほとんど秘密になっちまっていたもの

  だから グラジュエーター・ショーもできたんだろうな 」

「 でも グラジュエーター・ショーの優勝賞金は惜しかったかも 」

「 おいおい 熊さんよ 本気で勝つ気だったのかい ?

  人を あやめて お金もらってもなんだかなぁ~ 」

「 まぁ お金は 邪魔にならないからなあ えへへ 」

「 表向きは 釈放された後 別人の ID 身分証明をもらって

  左うちわで 暮らせるという話は 

  俺が聞いたところだと 実は真っ赤な噓

  賞金どころか 結局 国防軍に入れられて

  最前線に送られるようだ 戦士としてちょうどいいからな

  負けたものは 解体されて 

  臓器を オークションで売買されちゃうそうだぜ 」

「 八っあん それじゃぁ 踏んだり蹴ったりじゃぁないかよ 」

「 罪人に 大金を払うのが惜しかったらしいぜ

  役人の天下り医療オークション会社が 仕切ってるそうだ

  サバイバル・ショーで 負けた人間の臓器を

  タダで仕入れて売れば ボロ儲けだよ

  本当のところ ショーの裏には そんな目的が 

  あったんじゃないかと思うんだ

  所詮 お上の庶民に対する扱いなんてぇのは

  そんなもんさ ~ 」

「 くわばら くわばら 」

「 売れない肉片は

  ハンバーガーにしてたとか言う噂もあるんだ

  ほら 横丁にもある あの有名ハンバーガーチェーンでさ

  昔から 怪しい肉を使ってると噂があったよな 」

「 おいら しょっちゅう食べてたぞぉぉお

  おえぇぇええええ ~~~! 」

「 まぁ いいさ もう 俺達には関係ない

  今夜は 思いっきり 飲もうぜ 」

「 おぉ 生きて帰れた お祝いだ~~♪

  ぎゃははははっ

  お~い おねえさ~ん 

  お酒 じゃんじゃん あるだけ持ってきて~♪ 」

「 かんぱ~い ♪ 」 

    「 かんぱ~~い ♪ 」

         「 うはははっ ♪ 」

              「 ぎゃっははは ♪ 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



「 おゃぁ ? ここは どこだ ?

  おい 八っあんよ ! 」


「 おぅ 熊さん 声がでかいよぅ~  

  ううっ ぁぁ あたまが痛いぃぃ 二日酔いだぁぁ~ 」


「 おい ! お前達 酔いは醒めたか ! 」

「 うい~っ なんだか 見覚えのある所ような 」

「 あっ この間 俺たちを捕まえた おまわり ! 」

「 ここは おなじみの留置所だ ! 

  まったく お前達は

  政権が変わっても やることはかわらないな

  もっとも いくら政権が代わろうと 

  この国を差配するのは政治家じゃない 官僚なのさ

  もう新政府の連中は 御立派な高級官僚様に懐柔されて

  あっという間に 骨抜きにされてしまっているのさ

  元の木阿弥 何度 政権が代わろうと 

  誰がやろうと 同じ事の繰り返しさ 

  権力の座についた為政者は誰だろうと

  血なまぐさいことが したくなるものなのさ

  おまえら下等国民に人権など 与えるものか

  俺達 上級国民様の公務員 国家権力をなめんなよ !

  またTVショーに送り込んでやるか

  それとも国防軍にぶち込んで

  国外で紛争地域の最前線で傭兵活動させてやろうか 

  どっちも同じようなものだしな

  テレビゲームじゃない リアルな殺戮は楽しそうだな

  ぐわっはははははっははは ♪  」






   こんな未来が来ませんように


       おしまい