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「 お前たち なんとしても この牢獄から 逃げ出すんだよ ! 」
「 どうしたら良いかしら ? 」
「 メガ豚パンチで 壁に穴をあけてみな ! 」
<< ドッカン ! >> << ドッカン ! >>
<< ガラガラ ! >> << ドサドサ ! >>
「 だめだわ ~ レンガは砕けても
ぶ厚い鉄板で 補強してあるわよ 」
「 じゃぁ 鉄格子を クニャリと曲げてみな
普段バカ食いしてるんだから 馬鹿力を出すんだよ ! 」
「 う~ん ! うりぃやぁああ ~ ! 」
「 うおぉぉおお ! どぅりゃぁぁあああ ~ ! 」
「 ぜぃぜぃ ぜぃ ~
ここの鉄格子は そこいらの留置場とは作りが違うわ
普通の鋳鉄じゃなくて 特別製の鍛鉄の高炭素鋼みたい 」
「 普通のなら 簡単に曲げられるのに駄目だわ
お母様 やってみてよ ~ 」
「 お前たちで曲げられないなら 誰がやっても同じだろうさ 」
「 じゃぁ どうすればいいのかしら ? はぁ はぁ 」
「 そうだ 看守を色仕掛けでたぶらかしてしまいな
お前たちの得意技だろう いっちょう やってみな ! 」
「 うっふ~ん ♡ ちょいと そこの色男さん~ ♪ 」
「 ねぇ~ 素敵な 制服制帽の看守さ~ん ♡
あそびましょうよぅ ~ ♡ ♪ 」
「 けけけっ その調子 スケベな男ならイチコロさ
ここから出たら 何としても
あのガキと バカ王子の結婚式を妨害して
メチャクチャのギタギタにしてやるよ !
てめえだけ幸せになるなんて
世間が許しても あたしが許さないよ ~!
不幸のズンドコに 叩き込んでやる ~!
そうそう 国際犯罪捜査機構の
あの捜査官たちも 忘れちゃいけないよねぇ
みっちりと復襲してやる
倍返しだ いや 百倍返しだ ~!
首を洗って待っていろよ うひうひうひぃ ♪ 」
「 そこの極悪人たち 私語は謹みなさい !
ここを どこだと思っているのですか !
そして そのグロテスクな邪気を放つ媚態は
私には通じませんよ 」
「 えぇぇ ? 細マッチョのハンサムさん
そんな堅いこと 言わないでさぁ ♪ 」
「 真面目なのね おにいさん~♪
あたしぃ~ 堅い男の人 好きよ ♡ ♪ 」
「 御期待には 沿えません!
私は これでも 女ですから ! 」
「 えぇぇ~ ? 」
「 えぇぇ~ ? 」
「 えぇぇ~ ? 」
「 いったい どこに目を付けているんだか
失礼な連中 ムカつく 、、
しばらく飯抜きにしてやるわよ 」
「 ひぇ~ それだけは ごかんべん~ 」
「 一日 5食は食べないと ~ 」
「 やせ細っちゃうわ ~ 」
「 三人とも 一年ぐらい食べなくても
大丈夫そうだけどねぇ あはははっ ♪ 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「 えぇ ? 冬の賞与が 満額出ないんですか ~? 」
「 すまんなぁ 国際犯罪捜査機構も
国際的通貨危機や 各国の財政悪化の煽りを受けて
超緊縮財政なもので 勘弁してくれ 」
「 私たち 賞与を当てにして
念願の 結婚式を挙げようと思っていたのにぃ 」
「 そうですよ あの極悪母娘を やっと逮捕して
心置きなく 式を挙げる予定だったんですよ !
「 安月給で 蓄えも乏しいのに
くやしい 、、、、 」
「 どうしてくれるんですか !
捜査では 持ち出しも多いのに 」
「 まぁ そう言うなって
それに 他にも話があってなぁ ~ 」
「 なんですか ~?
まさか 給料遅配じゃぁないでしょうね ! 」
「 困ります 死活問題です ! 」
「 実はね 、、、 」
「 なんでしょう ? これ以上悪いことが ? 」
「 とある王室から 君たちに 金一封が出ている 」
「 ええっ !? 」 「 ほんとに !? 」
「 王子様と お妃候補の御結婚が決まり
その謝意と言うことだ
休暇届けは早めに頼むよ 君たちの式の招待状もな 」
「 わぁぃ ♪ じゃぁ 結婚式が挙げられる ~♪♪♪ 」
「 たっぷり ご祝儀はずんでください お願いしますよ 」
「 あぁ 、、、それは ちょっと無理かも
上司とはいえ わしも安月給で家のローンもあるしぃ
飲み屋のツケも たまってるしぃ
女房も ギャアギャア うるさいんでね 」
「 それじゃぁ まぁ しかたないですなぁ 」
「 しかし 君たちは恐ろしいくらいに
あの母娘の逮捕に 熱心だったなぁ
何か 執念めいたものが感じられたが 」
「 おい 君の身の上話を聞いてもらいな 」
「 えぇ 実は 私 、、、 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
< ぺた ぺた ぺた >
「 あ~ら お母様 何なさっているの ~? 」
「 シ ~!
塩分の強いスープを 鉄格子に塗りつけているのさ 」
「 それで どうなるの ? 」
「 少しずつ 錆びさせて脆くする
そこを お前らが引きちぎるのさ 」
「 まだ あきらめてないの ~? 」
「 しっこい性格ねぇ ここでも三食
食えるからいいんじゃないの ~? 」
「 バカか お前たち !
やがて あたしらには 極刑の判決が下るんだよ ! 」
「 あらぁ ~ それは困るわ ~ 」
「 それって 御飯食べられなくなるってことなの ~? 」
「 うるさい !
黙って よく聞きな !
この話は 美人が幸せな良い目に遭う
そんな凡庸な夢物語の お伽話じゃぁないんだよ ~!
あたしらの クライム・ストーリー なのさ !
悪は滅びず また赤々と燃え盛るのさ !
古今東西 悪は栄える
正直者はバカを見る バカが見る豚のケツ
ってね それが世の習い !
そんな事は 誰だって薄々感づいてるだろうよ
今は このお話 ほとんど読む人もいないから
あたしらの犯罪を 知る人は少ないけど
ここまでは前振り いつか世の中を騒然とさせてやる ~!
『 1人 コロせば 犯罪者
10人 コロせば 大悪人
100万人 コロせば 大英雄 』
なんだよ ~! コロコロコロ
自分には関係ないと思っている連中 !
いつまでも 枕を高くして寝ていられると思うなよ !
平和な日々なんて 砂上の楼閣に過ぎないんだ !
人生一寸先は闇 底なしの暗闇が待ってるんだよぉぉお !
ぎゃぁ~っはっはっははっはははっはははは ~~~! 」
「 じゃぁ 早く逃げ出さないとね 」
「 憎い捜査官たちにも 復讐しなくちゃ 」
「 そうそう あの捜査官の女
どこかで見たことがあると思っていたんだが
今 思い出したよ 」
「 誰だったかしらぁ ? 」
「 覚えがないわぁ ? 」
「 お前たち まだガキだったから憶えてないかもしれないが
ずいぶん昔 他の国で後妻に入った時の
亭主になった男の 一人娘だったよ 」
「 そうだったの ? 」
「 あちこちで 同じ事したもんね 覚えてられないわぁ 」
「 亭主を毒薬で亡き者にしたあと
しばらくこき使って財産を売り払い
とんずらする時に邪魔で始末しようとしたら
あたしの眼を盗んで 逃げ出しやがったんだ
あの時は まだまだ ほんのガキだったんだが
今は ずいぶん大人になっていて気付かなかったよ
だが面影は残っていた 気の強いガキだったね
あの 『 シンシア 』 と良く似ているよ
まさか 国際犯罪捜査機構の捜査官になっていたとはね 」
「 まぁ あたしたちに恨みが あったのかしらぁ ? 」
「 いやぁねぇ しつっこい人嫌いよぉ ~ 」
「 蛇みたいに 執念深い女よねぇ ~ 」
「 ストーカーみたい 粘着質って気持ち悪いわぁ ~ 」
「 いいか お前たち よ~く覚えておきな !
あいつの 名は
「 『 シ ン デ レ ラ 』 だよ ! 」
完