偽作シンデレラ 13 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

 

 


  「 ブィーン ! 」


  「 ブォーン ! 」


   パンチは空気を切り裂きます


  「 オラオラオラオラ ! 」


  「 オラオラオラオラオラオラオラオラ ~! 」


    
   破壊力抜群の 熊かゴリラを思わせるような 重量級パンチが 

   力任せのフルスイングで 娘の 華奢な顔面を 襲いました
 














  < ひょい > < ひらり >


  しかし義姉たちの 渾身のパンチも 

  娘は 蝶が舞うように 軽やかに 
 
  サイドステップやスエーバックで 紙一重でかわしました


「 避けるとは 卑怯なり ~! 」


「 ちょろちょろと コマネズミみたいに ~! 」


  「 ブィーン ! 」

  「 ブォーン ! 」


  しかし 虚しくパンチは空振りして 

  二人は たたらを踏むようにバランスを崩し

  フラフラ よろけました


  そこを 娘が 軽くモップの先で

  義姉たちの太い足に 足払いをかけました


 < ずどん ! > < ぐしゃ ! >


 「 ぎゃぁあ~! 」 「 うひゃぁあ~! 」


  義姉たちは もんどりうって

  重なり合い 転び ひっくり返りました


「 義姉様たちも 同じ目に合わせますよ 

  私が 日々 鍛えた技を 

  そのカボチャ頭で 味わいたいですか ? 」


「 なんだとうぅぅ ! カボチャ頭とは何だ ! 」

「 ふざけんなぁぁ ! ハロウィンは終わったぞ ! 」

  義姉たちは カエルのような 無様な格好のまま 怒鳴りました


「 私は 日頃の掃除や水汲みや 薪割りや力仕事で
 
  否応もなく 筋力が鍛えられました

  日頃 グータラして脂肪ばかり蓄積している  

  あなた方が 私のスピードに敵うかしら ? 」


「 このぉ がきゃぁぁあ! 付け上がりやがってぇぇええ ~! 」


「 てめぇ~! 何様のつもりだ ~! 息の根を止めてやる ! 」



  二人は体制を整え 再び攻撃をしようとしましたが

  ヘビー級の体重で重なったところを

  首根っこをモップで押さえつけられ

  膝もひねり したたか床にぶつけたので 

  じたばたするだけで なかなか立ち上がれませんでした



「 うぎゃぁああ 痛いぃぃいいい~ ! 膝関節がぁ ~!  」

「 膝の靭帯を 痛めたかもぉおお ~!

  あぁ とっとと 始末しておけば良かった ~! 」


「 はい はい 恨み事はそこまで

  母娘三人とも 逮捕します ! 」

  と 女性捜査官


「 よし 早く捕縛しろ ! 」

  と 男性捜査官が 駆けつけてきた警吏たちを 家に入れました


「 何すんのよう ~! 

  乙女の柔肌の どこ触ってるのよう ~! 」


「 この変態 ~! 

  無辜な あたしの身体に触らないで ~!

  いやあぁ~ん ! 」


「 ふざけんな 化け物ども !

  さぁ きつく ふん縛れ ! 」


「 キィィイ~~ ! 」

「 ガルゥゥゥウ~! 」


  継母と義姉たちは 警吏たちに

  縄で ぐるぐる巻きにされ逮捕されました


「 お前らの 縛られた姿は

  まんまチャーシューだぜ わははっ 」

  男性捜査官は 笑いました

  警吏たちも つられて苦笑しました

  娘は 複雑な表情で 見つめていました


「 お嬢さん お見事でした 

  三人を 生きたままで捕えることができました 」


  女性捜査官が 言いました 


「 至近距離では あなたも傷つける恐れがあったので

  犯人制圧用の銃を 使用することが出来ませんでした 」


「 お后候補を 蜂の巣にするわけにはいかないからな 」


  男性捜査官の手には 鈍く光る 

  携帯用に銃身と銃把を切り詰められた

  大口径の実弾が込められた 散弾銃が握られていました



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                                   ウィキペディアより


「 でも あなたなら 切り抜けられると思っていたわ

  素晴らしく 軽やかなステップで 

  舞踏会の観衆の視線を 一身に浴びていたそうね 

  うわさ通りの 見事なフットワークでした 」

  女性捜査官は 笑みを浮かべました


        続 く