世界迷作劇場 偽作 三羽の鴉 7 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい









   松明は 赤々と 燃え上がっています、


   十字架に縛りつけられた妻の足元に積まれた 


   油を たっぷりかけられた処刑用の薪に、

  
   バイロンが 意を決して その松明の火を付け 、、、、




























   ようとした、

 
   まさに その時です。







  <<< ブ ォ ォ ォ オ オ オ ~~~! >>>
















  遠くから 角笛の音が 聞こえてきました。



「 なんだ ? なんだ ? 」


「 敵襲か ? 」


「 休戦になったはずだが ? 」






  皆が 音の方向を見ると、

  鴉の羽のように 黒い馬に跨った 三人の騎士が、

  風のように 城めがけて 駆けてきます。

  三人の騎士は 漆黒の 鉄の鎧を着て、

  カラスの紋章をつけた盾を 持っています。

  そして どの騎士も、美しい幼い男の子を 抱いていました。






「 その、処刑を 止めてくださ~ぁぁあい ~! 」


  騎士たちは、大声で叫びました。






  バイロンは、いったい何者が来たのか 分かりませんでした。

  松明の火を待ったままで、騎士たちを見つめました。







  



  三人の騎士が バイロンの前に、ひざまずきました。




「 魔女というのは偽りです ! 」


「 騙されてはいけません ! 」


「 妹ショールは、無実です ! 」



  城主バイロンは松明を 地面に放り捨てました。



「 それは、まことの事か ? 」


「 はい、罪無き妹 ショールの命を お救い下さい 」


「 全ては 義母マリスボマー様の 偽計でございます 」


「 妹の産んだ 子供達を見てください、普通の子どもです 」



  


「 あぁぁ、何ということだ ! 

  危うく 愛しい妻を

  火あぶりにしてしまうところだった

  その後、美味しいバーベキューパーティの予定だった 」



  兄達は 十字架に縛り付けられていた 妹の縄を切りました。




「 ああ、間に合ってよかった、可愛い妹よ、オニキスだ ! 」


「 ジェットだよ、三年ぶりに戦地から故郷に戻った 」

 
「 オブシディアンだ、お前の話を、

  森の老婆から聞いて、慌てて此処に来たのだ 」



  そして兄達は抱いて来た男の子を見せました、



「 この三人の子供は、お前の息子たちだ、

  赤子の時、森へ捨てられそうになっていたところを、

  森に住む老婆が救い、大事に育ててくれたのだよ 」



  と、三人の兄は、子供達を、妹ショールに渡しました。




「 あぁ 会いたかったわ、私の 愛しい子供達 ! 」


  三人の子供達を抱きしめ、

  思わずショールは 声を出してしまいました。

  夢の中での約束を 破りました。

  でも、もう、そんな禁は 必要ないのです、

  兄達は 無事に人間の姿で 帰って来たのでした。









  城の庭では、召使、使用人たちが、喜びの声をあげました。

  皆、小心者であっても、悪人ではないのです。

  今、義母マリスボマーによる悪巧みが、

  白日のもとに晒されたのです。



 「 まさか みんな生きていたとは 何と、喜ばしいことだ 」



   本当の事を知った城主バイロンは、

   妻に疑念を抱いた事を侘びると、

   妻と子供たちを力強く抱きしめました。





 「 その義母、マリスボマー様は 御子様たちを亡き者にして、

   バイロン様の血統を絶やそうと企てておりました 」


 「 敵国と密かに、内通しておりました 」


 「 領地を簒奪し、国王に反旗を翻そうとも画策していたのです 」


   三人の騎士達がバイロンに言いました。

   

   そこに 森の老婆が現れて言いました。


 「 わたしは、国王の命を受け 長年にわたり、

   この地で、諜報活動をしています、

   色々と情報を掴んでいます、証拠、証人もいます。

   その、マリス、ボマーなる女は 色々と問題のある、

   ぷんぷんと悪臭漂う ” 悪意 ” の人物のようですね

   バイロン様の お父上様を亡き者にしたのも彼女です ! 」


   老婆は、マリス、ボマーを指さしました。




 「 なんと言うことだ ! 

   薄々、そうではないかと感じてはいたが。

   そうか 分かった ! 義母を 捕縛せよ ! 」



   城主バイロンは 命じました。










    続 く