松明は 赤々と 燃え上がっています、
十字架に縛りつけられた妻の足元に積まれた
油を たっぷりかけられた処刑用の薪に、
バイロンが 意を決して その松明の火を付け 、、、、
ようとした、
まさに その時です。
<<< ブ ォ ォ ォ オ オ オ ~~~! >>>
遠くから 角笛の音が 聞こえてきました。
「 なんだ ? なんだ ? 」
「 敵襲か ? 」
「 休戦になったはずだが ? 」
皆が 音の方向を見ると、
鴉の羽のように 黒い馬に跨った 三人の騎士が、
風のように 城めがけて 駆けてきます。
三人の騎士は 漆黒の 鉄の鎧を着て、
カラスの紋章をつけた盾を 持っています。
そして どの騎士も、美しい幼い男の子を 抱いていました。
「 その、処刑を 止めてくださ~ぁぁあい ~! 」
騎士たちは、大声で叫びました。
バイロンは、いったい何者が来たのか 分かりませんでした。
松明の火を待ったままで、騎士たちを見つめました。
三人の騎士が バイロンの前に、ひざまずきました。
「 魔女というのは偽りです ! 」
「 騙されてはいけません ! 」
「 妹ショールは、無実です ! 」
城主バイロンは松明を 地面に放り捨てました。
「 それは、まことの事か ? 」
「 はい、罪無き妹 ショールの命を お救い下さい 」
「 全ては 義母マリスボマー様の 偽計でございます 」
「 妹の産んだ 子供達を見てください、普通の子どもです 」
「 あぁぁ、何ということだ !
危うく 愛しい妻を
火あぶりにしてしまうところだった
その後、美味しいバーベキューパーティの予定だった 」
兄達は 十字架に縛り付けられていた 妹の縄を切りました。
「 ああ、間に合ってよかった、可愛い妹よ、オニキスだ ! 」
「 ジェットだよ、三年ぶりに戦地から故郷に戻った 」
「 オブシディアンだ、お前の話を、
森の老婆から聞いて、慌てて此処に来たのだ 」
そして兄達は抱いて来た男の子を見せました、
「 この三人の子供は、お前の息子たちだ、
赤子の時、森へ捨てられそうになっていたところを、
森に住む老婆が救い、大事に育ててくれたのだよ 」
と、三人の兄は、子供達を、妹ショールに渡しました。
「 あぁ 会いたかったわ、私の 愛しい子供達 ! 」
三人の子供達を抱きしめ、
思わずショールは 声を出してしまいました。
夢の中での約束を 破りました。
でも、もう、そんな禁は 必要ないのです、
兄達は 無事に人間の姿で 帰って来たのでした。
城の庭では、召使、使用人たちが、喜びの声をあげました。
皆、小心者であっても、悪人ではないのです。
今、義母マリスボマーによる悪巧みが、
白日のもとに晒されたのです。
「 まさか みんな生きていたとは 何と、喜ばしいことだ 」
本当の事を知った城主バイロンは、
妻に疑念を抱いた事を侘びると、
妻と子供たちを力強く抱きしめました。
「 その義母、マリスボマー様は 御子様たちを亡き者にして、
バイロン様の血統を絶やそうと企てておりました 」
「 敵国と密かに、内通しておりました 」
「 領地を簒奪し、国王に反旗を翻そうとも画策していたのです 」
三人の騎士達がバイロンに言いました。
そこに 森の老婆が現れて言いました。
「 わたしは、国王の命を受け 長年にわたり、
この地で、諜報活動をしています、
色々と情報を掴んでいます、証拠、証人もいます。
その、マリス、ボマーなる女は 色々と問題のある、
ぷんぷんと悪臭漂う ” 悪意 ” の人物のようですね
バイロン様の お父上様を亡き者にしたのも彼女です ! 」
老婆は、マリス、ボマーを指さしました。
「 なんと言うことだ !
薄々、そうではないかと感じてはいたが。
そうか 分かった ! 義母を 捕縛せよ ! 」
城主バイロンは 命じました。
続 く