11冊目。「累犯障害者」山本譲二著。塀の中は最後の福祉施設? | 楽に生きられるお手伝い 心理カウンセラー 岩崎風水 

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12冊目。「累犯障害者」山本譲二著。

私が購入した本は既に手元にないので、この画像は借りた本。



罪を犯した障害者を、地域で支える活動をする「東京TSネット」。
この本は、東京TSネットの本拠地、飯田橋にあるPandA法律事務所の本棚にあったもの。
そこの浦崎弁護士からお借りした。浦崎弁護士は、私の元国選弁護人でもある。




今思えば、浦崎さんに弁護してもらったことが誇らしい。
最初に選任された国選弁護人を解任し、
二人目の浦崎さんに決めた自分は運が強いと思っている。




自分のことはさておき、
この本は、福祉の行き渡らない現場にスポットを当てたルポルタージュである。




何度も服役を繰り返してきた「下関放火事件」の爺さん、現在は82歳になる。




彼は74歳だった2006年1月7日、下関駅に放火して焼失させた。
被害額は5億円以上で、懲役10年の判決を受けた。




判決は
「軽度知的障害で、かつ高齢でありながら、刑務所を出所後、格別の支援を受けることもなかった。」
と指摘した。





当時、男性は放火の前科が10件あり、22歳以降の40年以上を刑務所で過ごしていた。
過去の裁判で6回も知的障害などを認められたが、一度も障害福祉サービスにはつながらなかった。




下関駅の事件は、男性が05年12月30日に福岡刑務所を出所した8日後に発生。
男性は事件までの間に、警察に保護されたり、福祉事務所に連れて行かれたりと、八つの公的機関に接触。生活保護を求めるなどしたが、公的支援は受けられなかった。




そして、下関駅で警察官に退去を求められた末に放火に至った。


「刑務所に戻りたかった」



との理由で。

その男性(84)は昨年8月に刑期を終えた。
今は、福岡県内の施設で暮らしている。



これが、一番理解された「累犯障害者」の代表的事例である。
下関駅放火事件は、本「累犯障害者」の序章に書かれている。




私は、この本に書かれている司法と福祉の現場について馴染み深い。
今まで歩いてきた現場が多く書かれている。
福祉作業所、閉鎖病棟、刑務所、保護施設、更生保護施設などなど。


自分の講演も、大体が司法と福祉の分野である。
そのとき行われたグループトーク中に、この下関駅放火事件の話題になり、矯正施設の職員の持論を聴く機会があった。



矯正施設職員の彼は、
「北九州市でホームレス支援などを続けるNPO法人『抱樸(ほうぼく)』の理事長である牧師の奥田知志さんが、彼を支えた。奥田さんは素晴らしい人だ。」


という話をした。

NPO法人『抱樸(ほうぼく)』理事長で牧師の奥田さんは、確かに素晴らしい人だ。
その事件を知った直後から下関駅の放火犯である彼に関わり、彼を支えてきた。


でも、それを語るこの矯正施設の職員を見ていて、ふと気づいた。

「ああ、ここにも課題があるのだな。」

と、違和感を感じた。

その後も矯正施設職員の話を聞いて、その違和感が浮き彫りになっていった。


私の講演は基本、その場にいる参加者全員に守秘義務を約束してもらい、
ソーシャル・マイノリティー(社会的少数派)の正直な話を分かち合うスタイルだ。


その席で矯正施設職員の彼は話。

意味するところだけを要約して以下にまとめる。



「薬物に溺れ、犯罪に手を染め、刑務所に服役し、今も福祉と医療の制度で治療を続けている君たち。
君たちは、頑張って早く社会復帰してまっとうな人間になって欲しい。」

これは、この支援者自身の理想だ。


素晴らしい支援者をもてはやす支援者がいる。
自身の目指すところだけを見て、
当事者を置き去りにして。



当事者自身の現実や目指すところと、
支援者自身の目指すところが、
ズレているのだ。






支援者がなって欲しいその人ではなくて、
その人がなりたい自分にどれだけ近づけるようにするのが本物の支援だ。




支援者としてのエゴや驕りを排除できてこそ良い支援ができると思う。
ピアサポーターってそういうこと。




支援職の人たちには、就労なりの実績を出す義務が伴う。
基本的に実績を目に見える形として欲しがる。

ピアサポーターの私とは、視点が違う。


私が情状証人をした事件の累犯窃盗の受刑者があと半年ほどで出所する。


「刑務所に戻りたかった。」


と、言わせないためにはどうすればいいのか。


「刑務所に二度と入りたくない」


ではなく、


「社会でまっとうに生きるほうが楽しい」


という私のメッセージを届けるに尽きる。

このメッセージが刑事施設経験者だけでなく、矯正施設職員にも届けばと思う。

 

 

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