朝、「願いごとー」と叫びつつ、作業工場や居室棟を回る担当の刑務官。
それに対し、受刑者は手を上げるなりして要望と、
願箋が欲しい旨を伝える。
願いごとのうち、殆どの要件は願箋を提出する必要がある。
刑務所という枠の中での「願いごと」であるため、
通常の人が抱くような「願いごと」は、一切叶わない。
法務省の管轄である拘置所と刑務所は、
ほぼ同じルールで運営されている。
未決勾留の拘置所でも居室棟に担当刑務官が毎朝「願いごと」を聞きに来る。
自分の称呼番号と苗字を言い、
「特別官本貸与願い2枚、
同封願い1枚ください。
信書に同封するものは切手です。」
と、告げる。
施設によってまちまちだが、
願箋がもらえる日は種類によって曜日が違う。
特別官本貸与願いなら金曜日、
同封願いなら月・水・金曜日と言った感じ。
その初日の日中に、文庫本サイズの用紙「願箋」に右手人差し指で指印を押す。
初日の作業を終え、夕食後の余暇時間にそれに記入する。
二日目朝、担当刑務官にそれを提出する。
二日目夕方、その願箋の許否判断が告知される。
許可なら、4日目か5日目あたりの次の発信申請該当日の朝に切手を同封して手紙を発信できる。
願箋願箋願箋願箋願箋願箋願箋願箋願箋。
すべて刑務所の要望はこれがないと進まない。
一日に願箋を10枚位もらうと、
他の受刑者から「願箋魔」の称号が得られる。
ちなみに、10枚もらうときはこんな感じ。
同封願い1枚、
面会時宅下げ願い1枚、(面会者に自己所有物を渡す手続き)。
特別完本貸与願い2枚、(月2冊まで貸与が許可されるため)。
挿絵挿入許可願い1枚、(便箋小口にイラストを書きたいとき)。
英語使用許可願い1枚、(HAPPY BIRTHDAYなど英語を使うとき)。
面会時物品携行願い1枚、(面会室にノートやボールペンを持ち込むため)。
面会時間延長願い1枚、(訴訟用務であろうが、一般面会の延長は許可制となる)。
特別購入許可願い1枚、(切手その他、緊急か学習用に必要な物品を購入するため)。
領置金特別使用許可願い1枚、(自分で持っているお金「りょうちきん」を使って特別に物品を買う支払いにも許可がいる)。
また、刑務所には文字の読めない人、
文字を書くのがすごく苦手な人がいるが、
かんたんに刑務官による代筆は認められない。
受刑者は他国で育っていたり、視力が弱かったり、
小学校に通える家庭環境ではなかったりするのだ。
よって、文字の書けない人は願箋をかけない。
受刑者も、字を書くことが苦痛ゆえ、願うことから諦める。
それこそ、7つの玉を集めて神龍を呼び出すくらい難題な願いごとである。
