この本は私の中で、
ドストエフスキーの[死の家の記録」、
オスカー・ワイルドの「獄中記]、
アレクサンドル・デュマの[モンテ・クリスト伯」
といった監獄を書いた古典の名著に並びます。
刑務所内のことが分からないくて不安な人は
これを読んでください。
↓
鬼才花輪和一による名著。
「刑務所の中」
花輪さんは、1994年に逮捕されました。
違法改造拳銃の所持で収監されたときの記憶を漫画化したものです。
20年近く前の作品ではありますが、
現在の刑務所と大差ない生活
が描かれています。
懲役3年の実刑判決。
私は、当時の銃に対する状況が判決を重くさせたと見ています。
ソビエト連邦が崩壊し、
規律が緩んで金に困ったロシアの軍人が
北海道沿岸で銃器の密輸を頻繁に行っていました。
札幌県警も銃器不所持追放に力を入れていました。
捜査機関も手柄を取ろうと、
花輪さんが持っていた改造銃に
ある程度の武器としての能力がある
として逮捕したのです。
ひとえに、
公共の安全・風俗(公序良俗)のための逮捕
です。
この判決が間違っているとは言いませんが、
当時の風紀・風潮から判決・量刑も変わりうるのです。
S県警の腐敗が明るみに出るのは、
これよりもう少し先の時代ですね。
こうして、花輪さんは服役しました。
判決の状況はさておき、
懲役刑の生活は誰しも同じです。
さて、この作品。
花輪さんが、刑務所内のあらゆる体験を
「マンガ」
という芸に昇華させた作品です。
表紙を見てもわかるように、
現場を知っている人しか書けない作品です。
スーツがハンガーにかけてあることから、
裁判継続中の被告人の独居室です。
札幌拘置所ですね。
右に積んであるのは、下から敷布団、掛け布団、毛布、シーツ及び枕です。
毛布に関しては、自衛隊で使うものと全く同じものが使われています。
ここでは見えないものの、毛布の品質タグに並んで製造年度が書いてあるのですが、
昭和に製造された毛布が多いです。
布団の色はお茶漬けのパッケージのような色
■■■■■■
でしたが、
2005年頃からピンクと桜色のシマシマです。
■■■■■■
(↑この■の並び、色がついているのですが、一部の環境では見えないらしい)
また、背中と奥の壁にあるパイプは
壁際にあるスチームヒーターの蒸気が通過する管です。
雪国の札幌ゆえに、収容者が死なない程度の空調があります。
こうして、表紙だけでも、刑務所のたくさんの状況がわかります。
読み始めると、それ以上の情報量に驚きます。
食事に関すること、
動作時限に関すること、
懲罰の体験、
出所前の受刑者の心情、
悪巧みをする雑居室、
刑務官に好かれるメリット、
軍隊行進のときの掛け声、
たまに与えられる甘い物の美味しさ。
現在刑務所の各部屋に置かれている冊子
「被収容者の生活の心得」
よりも、収容生活に関して詳しくなれます。
かと言って、この本は「生活マニュアル」ではなく、「コミック」です。
滑稽で笑える作品です。
活字で読む刑務所の話はよくあります。
それを原作に漫画化したものもあります。
テレビドラマでも刑務所の映像は出てきます。
それらを超える、よりリアルなものとして、この漫画があります。
刑務所内でも喜怒哀楽があり、生活があります。
塀の中という「狭い世界」の奥ゆかしさを感じる本です。
これを手にとって読むことで
「刑務所に入るようでは
人生終わってしまう、
死んだほうがマシ」
という考えが消えますように。
中の人へはコンパクトな文庫判があります。
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中古ですが、初版発行はこちらの青林工藝舎の本です。
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