以前の作品紹介記事を引き続き

ゴシック文字をウロウロしていれば当然目のあたりにする
聖書の数々を彩る数多の写本書体ときらびやかな装飾の数々。
丁度それらのイルミネーションを練習し始めていたので
装飾イニシャルやフィリグリーを使って構成した作品です。

2013年秋のユザワヤ作品展出品
'September' (9月)
September

写本技術はまだまだなので憧れの聖書写しではなく、
この時は19世紀の印刷資料から題材を選んで
字体起こしから始めて作品構成しました。

ネタ元は1881年発行のリトグラフ本
"Princess Beatrice's A Birthday book"1881

当時バースデーブックが流行っていて
これは有名な流行英国作家12名の詩で12ヶ月を構成した絵入りブックレット。
Francis Ridly Havergal (1836-1879 英国女性詩人)が
9月'September'について歌った詩です。
残念ながら私はこの詩人については全く知らなくて、調べも付かなかったのですが、
他の月にはMiltonなど大御所の詩が載っています。
英国ヴィクトリア女王の王女:ベアトリスを冠したバースデーブックですから
王室人気にもあやかるベスト・セラーのイラスト本だったらしいです。


では、以下制作過程の記録。

Victorian romantic gothic調で印刷された文字が可愛らしく、
ペンでくっきり書きたくなりました。

見やすい大きさに拡大コピーしたうえで
サイズや角度を測って法則性を見出し、一つ一つ書き出します。
今回はピッタリの模写では無いので、
そこに自分の好きな傾向を加味して
26文字アルファベットを作ります。
この場合、自分と他の人では元が同じ字でもやはり違った好みが出て、
別の印象に出来上がるところも面白かったです。

作品は文章の段組や配置も、周囲の装飾デザインも自分で考えます。

装飾イニシャルは金泥の塗りで悪天苦闘。繊細さ(力の抜き方)が足りないようですしょぼん
色絵具の上に重ねる装飾の白いぼかし加減もむずかしかったです。

四隅のパターンやカスプを入れるのも
均一な濃紺と金色にくっきりの白と
気に入った質感になるまで何度もなんども重ね塗りして時間をかけました。
ゴシックというよりはロマネスク系の模様になると思います。
逆に線描のエッジフィリグリーは即興でしあげました。
思ったより時間がかかったので、
結果佳作をいただけたことは励みになりました。
はぁ~嬉しかった。。

最後に詩の紹介
'September'
The fairest time of all may be
September's golden days prefs on,
Though Summer waneth,
And falter not for fear,
For GOD can make the Autumn
The glory of the year.
 by Francis Ridly Havergal
過去作品 前後しますが Love シリーズ

ユザワヤは年に2回、春と秋にそれぞれの芸術院教室を会場にして
作品を発表するチャンスが来ます。
その中で、2年に一度 外部からの公募も入れて
ユザワヤ大賞作品展を銀座の交通会館で行います。
会場にはすべてのジャンルがすべての教室から集まるので
本当に迫力があって見飽きません。

こちらは昨年2014の秋に提出した作品。
2014秋ユザワヤ大賞展 出品連作ケイドゥルL
ケイドゥル装飾大文字 'L' を使った
Love 連作4枚

大文字'L'を画面いっぱいに展開して
それだけより単語にしたくて
'OVE'をバスタード・キャピタルで小さく添えました。

春の作品展 Love の続き・仕上げです。
ケイドル L

ケイドゥルは文字の基本骨格に内側から外へ複数の線を加えて行き
ラインや文様そして装飾を増やします。

今回は前年末から何パターンも'L'を書いて書いて
大筋が決まっても、角度を変更してバリエーションを探りました。
出品作品も実は'L'の縦横の交差角度は135度と130度の2種類で書いています。
角度変更に伴いすべてがずれますので、コンピューターなら簡単でしょうが
手書きになるとアナログヘッドには煩雑な作業となりました。
あんなに何回も長い間書いたのに飽きなかったのは自分でも奇跡です。

出品したのは4枚ですが、余りに愛着があったので
作品としては色を替え、装飾を変えてまだ何枚か書いてしまいました。

なぜあきなかったのか?
その理由の一つは装飾に付けるライン・フィリグリーの即興性が
楽しくて面白かったからです。
なんだろう、一本一本息を殺してひく細い線が楽しくて飽きない
ランナーズ・ハイ状態に入っていたのだと思いますドンッ
頑張った甲斐があって佳作を頂きました。
あ~楽しかった。



良い天気に思い立って東西線浦安駅で降りて富士塚巡りをすることに。

駅を出て境川へ南下すれば数分でまず清瀧神社にたどり着きます。
清瀧神社狛犬 ウン親子 清瀧神社狛犬 ア親子 
両方の狛犬が子犬連れで、向かって右の「阿」の子供が下から覗いているのがかわいい。
親もオスメスはっきりわかるってのが珍しい気がしますが、、

本殿は江戸時代に村人の長年に渡る積立の寄進で建てられた木彫刻が見事です。
清瀧神社社殿木造三間社流造り 清瀧神社 彫刻

境内裏に堀江富士 高さ5m 
綺麗なコニーデ型。すべすべした石で積み上げられている。
山道、碑、祠や富士山を模した石や大雪崩の再現が熱心な信仰を忍ばせます。
かつては登れたそうですが、崩落を防ぐためでしょうか、きれいに竹の柵に囲われています。
植木などは無く石ばかりですが雑草がちらほら。
清瀧神社の堀江富士 清瀧神社 堀江富士

清瀧神社を出て通りを渡り、向かいの道に入ります。
江戸・明治と呉服商・郵便局・病院となった商家の旧宇田川家が無料で公開されていて、
係のご婦人に建物だけでなく町のお話も伺え、手書きの散策地図をいただきました。
旧宇田川家 奥に清瀧神社
この道が当時は一番の繁華街。奥に清瀧神社がみえます。


フラワー通りの銭湯1   フラワー通りの銭湯2
浦安は沢山銭湯が有る印象。   こちらもかつての繁華街・現フラワー通りにあって営業中。

境川沿いにある漁師の旧大塚家や洋館の浜の医院など綺麗に整備されたフラワー通りを散策して10分も歩かずに豊受神社へ。
猫実富士  豊受神社 左に猫実富士 
                             社殿左に写っているのが大正時代に作られた猫実富士。高さ7m
あちらこちらにそびえる墨石(富士山の溶岩石)のゴツゴツさが印象的。
登るのは禁止なので天狗像、お胎内を手前から眺めてお終い(胎内巡りが昔はできたらしい)。
夕日がまぶしい。
細い民家の路地に入り込んで左右天尊弁財天や庚申塚をうろうろして今日はここまで。
浦安駅より北側の稲荷神社にあるもう一つの富士塚・当代島富士はおあずけで後日に。

村とその歴史、そこに住む人々の力に思わず触れた一日でした。
遥か彼方中世ヨーロッパ(ゴシック)に浸かった頭を切り替えられたかな。

今週の作品制作は
手芸品としてカリグラフィー作品をバザーに出そうと
画策しているからですあせる
一点では少ないので、別のアレンジを考えました。
作品 回廊2012
聖書の言葉は一つだけで控えめに。

But one thing is needful.(St.Luke15-16) 英文King James Version
無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである。(ルカによる福音書10章42節)
オリジナル文字 回廊作品

文字が大胆にもゴシック風オリジナルデザインです。。

ごめんなさいドクロ
いや、何をやってるんだと
カリグラフィーを広めようと
古典に忠実に勉強されている先生方にしかられそう。
本当はもっともっとちゃんと歴史を学んで、
字体練習の鍛錬を積まないと行き詰まるのは薄々感じてます。
楽しむばかりではいけないと、ここに記して自分への戒めの記録とします。
はい、がんばります。。。。。


前の作品シリーズ

今年書き直した元の作品

2012春ユザワヤ作品展出品作
2012春作品展 標語聖句 準佳作
憧れていたゴシック文字を書きたくて
修道院の回廊のような写真の周囲に聖書の言葉をちりばめました。
インクは2種類 証券用黒インクと胡桃インクを使いました。

文字の幅も高さも揃えることが難しくて、文字数を入れこむのに精一杯でした。
今見ると、文字は言うまでもなく、レイアウトもガタガタで治したい所だらけ。
コンピューターで作画するなら簡単にいろいろ出来るでしょうが、
アナログな頭でアナログに手書きで探るので時間取りました。
でも、その手間が'めんどくさい' を上回って、大変だけれどもとても楽しい作業でした。
準佳作をいただけてとても嬉しかった。

展示会場の様子
2012春作品展会場