はい。前回の記事の最後に出てきた超高級個別指導塾

について少し掘り下げた記事を書いてみたいと思います。こうした超高級個別指導塾の一つに勤める知人とのコンタクトに成功しました。会社名を明言しないことを条件にインタビューに応じてくれました。
忖度なしのガチンコ取材になります。


首都圏におよそ100拠点を展開する某高級個別指導塾。
そこのマネージャー職男性へのインタビューに成功した。

おお、久しぶりだね〜

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はい。もう10年ぶりぐらいですかね~

と、今回、インタビューに応じてくれたのは、私が某塾で働いていたときの後輩。今は某高級個別塾の校舎責任者をしている。


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たまに〇〇塾時代の同期とか先輩づてに鎌ケ谷大仏先生の近況は聞いてましたよ。

個人事業主講師+塾コンサルみたいなのやってるって。


まあ、ほそぼそとね。趣味レベルだよ。

俺はビットコイン売り抜けた資産をFXでちまちま生活費作ってる方がメインだし。

完全に社員になっちゃうと言いたいこと言えなくなるから個人事業主で講師やってるけどまあ月商は600万がいいとこだね。いつ契約終了になるか分からないしな。

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自由にやって、それだけ稼げれば充分じゃないですか。

そんな話はいいんだよ。今日は君の勤め先の高級個別塾の中について教えてくれ。謎に包まれてるんだよ。業界的に。

まず授業料ついて教えてください。ホームページにも公開してないし、資料もらいに行ったけど料金表入ってなかったからな。





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うちは料金表ないんですよ。多少前後しますけど、ざっくり1授業1万円です。最低月に4回は来てもらうので、最低授業料は月に4万円前後です。高3とかだと4万円後半位になりますね。


ほほう。塾業界相場の大体2倍だな。そりゃ界隈で高い高い言われるわ。そんなにすごい授業をやるの?

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いえ、普通だと思いますよ。

ただし、完全に一対一で教えます。

一対二や一対三のような授業はありません。

場所も個別にブースで区切っていて

各ブースに大きなホワイトボードがあります

集団指導塾の授業を目の前にいる生徒1人のためにやるイメージですね。


なるほどね。授業は1回60分位?

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いえ、1回80分です。80分間、人間を1人拘束するわけですから、まあ1回1万は妥当かなと思っています。

お陰様で、難関大学の学生やベテランのフリーランスの講師の先生が魅力を感じる授業給を設定できています。

ただ、社会人プロ講師だと1回の授業がざっくり15000円位になりますね。


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とはいっても、講師の割合はどこの校舎も7割〜8割学生ですけどね。高時給でベテラン講師を集めまくって合格実績を出しているわけじゃないですよ。


え、違うの?

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当社は授業の力だけで子供の成績をひっくり返すことができると考えるほど傲慢ではありません。故に高品質な授業を追求しているわけではありません。子ども1人1人の現状能力に寄り添うこと、子ども1人1人が成績を上げるために必要な授業量と家庭学習量を適宜管理すること、なるべく早いタイミングで過去問学習に入ることが軸と考えています。

だから授業は中品質程度で充分なんですよ。

なるほど。達人の授業を1回受けるよりも、有段者から何度も指導を受けたほうが良いという理屈だね。なるほど、理にかなってるなー。結局、学習成績は勉強時間に比例するし、達人級に授業が上手い人ってそうそういないからなー。達人の授業を待って授業受けないよりは、有段者、師範代レベルの授業を何度も受けたほうが結果的に成績は上がるよね。


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そういうことです。集団塾にいた時は、講師は授業の達人を目指さないとなかなか目の前の生徒の成績はあげられませんでした。

それは、月に行える授業数が決まっていたことと、生徒が複数いるクラス授業だったことが大きいと思いますよ。

でもさー、それだと授業をたくさんやらないといけないよね。そうすると料金はかさむよねー。


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そうですね。それが弱点と言えなくもないですが、当社はなるべく教育費を安く上げようという方針の方をターゲットにしてないんです。

無駄なものにお金は払わないのは当然ですが必要なものにはお金をかけようという方針の方がメインターゲットです。

ただ、顧客を入口では断りませんので、入ってみて、安く成績を上げたいと考えていた方がお辞めになるケースはありますよ。もちろん、入口でしっかり説明はするんですけどね。

なるほど。まあ、入口でいくら説明したところで、「そうは言っても辞められたら困るだろうから、いろいろ面倒見てくれるでしょ。」と勝手に助平根性で考える人はどこにもいるからなー。で、引き止めずにスパッと辞めてもらうと、「あんな高い金払ったのにあそこは面倒見がわるい」とか方々で言う人は集団塾にもいるからなー。


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実は子ども毎に成績が上がる授業の量というものがあるんですよ。これはホントに個人差が大きいのですぐに分かるものではないんですが。ある生徒はニ〜三回授業を受けただけで整数問題の大半をマスターしますが、別の生徒は10回やっても三分の一程度しか理解ができない。こういうことはよくあるんです。集団指導塾だと、全員決まった回数しか授業を受けないですから、できるようにならない子は、一向に成績が上がらない。

うーん。目から鱗だわ。言われてみれば、学校にしろ集団指導塾にしろ、同じだけの授業を受けてるのに成績が上から下まで必ず分布するもんね。成績が悪い生徒はひょっとすると、テストで点をとるのに充分な授業回数を受けていない可能性もあるよね。昔はそれを生徒個人の責任にして、「やる気がない」とか「家庭学習をサボっている」と捉えてる教師や講師が多かったよね。あとは講師が自分の授業に問題があると考えてひたすら悩んで、あれこれ改善してみたりとか。


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そうですね。ただ、当社で働くようになって私もできるようになるために必要な授業の量に注目するようになりました。

SAPIXの万年低位クラスの生徒が週1回SAPIXの算数授業のフォローとして、分からない問題や授業で扱われなかった問題を当社で授業として受けていたんですよね。なかなか成果に繋がらないので、この回数を週2回に増やして、2回目の授業をSAPIXのフォロー授業の復習として使うようにしました。

するといきなりマンスリーテストで偏差値が50を超えました。こうしたことが結構頻繁に起こるんです。

こういう出来事を何度も目の当たりにしているうちに、成績が上がるために必要な授業の量に個人差があることの確証をえましたね。

なるほどね。つまりSAPIXの授業1回に対して2回分の復習授業を一対一で行ったわけね。そりゃ効果ありそうだな。特にSAPIXの成績下位の子はとにかくSAPIXの授業が何をやってるか分からないし、内容を理解するのに時間がかかるので、気がついたらカリキュラムから置き去りになったまま1年が経過しているなんてことはよくあるからね。


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だから当社では成績を上げるために、まず授業回数を増やしてみることを提案するんですよ。ただ、そうすると、授業数を変えないで、授業の質を上げろという方が一部いらっしゃいます。

基本的に講師は毎回、一生懸命授業をしているので、簡単に授業の質はあがらないです。

これで急に授業の質が上がったとなると普段の授業で手を抜いていたということですよね。大切なのは量なんですよ。質の高い授業をしてくれる講師はそうそういませんし、いたとしても、すでにどこかの塾で授業をやってます。

うーん。聞けば聞くほど筋が通っている。界隈の噂だと、やたら金を取られるとか高い割に授業はたいしたことないとか、学生に授業をさせて暴利を貪っているとかいろいろ言われてるが、結構、いい塾だな。

もっと質問をしたくなってきたよ。




続く