不定期でお送りしておりますバーチャルコンソールレビュー。
52回目の今回はマスターシステムのエンデューロレーサーをお送りします。
それでは
エンデューロレーサーは1986年にセガがアーケードで発売したレースゲームで
翌87年にマスターシステムに移植されました。
アーケード版はアウトラン・スペースハリアーに続く体感ゲーム第3弾として登場。
擬似3Dのレースゲームで体感ゲームですから当然派手な動きのある筐体であります。
で、どこら辺が体感かといいますと本作はハンドルに特徴がありました。
なんとハンドルが持ち上がります。
自らの手で自らの手でウィリー走行出来るというのが売りの筐体で
ジャンプ台目前でウィリーすると大ジャンプ出来ましたので
ジャンプ台が見えてきたらタイミング計ってハンドル引きまくりであります。
シットダウン筐体のハンドルもなかなか重くプレイ後は腕がパンパンでしたが
DX筐体に至ってはほぼ実車仕様という半端ない重さで
ハンドルと共にシートも傾くのでそれはもう重労働www
セガの体感筐体の中でも屈指の疲労度。
これとヘビィウェイトチャンプは相当な運動量だったよなあ。
ゲーセンでちょくちょく遊んでいたにも関わらずゲーム画面をいまいち覚えてなくて
なんでだろうなと思い返すと、やっぱりハンドル持ち上げるのに必死で
ゲーム画面を楽しむ余裕がなかったからではないかと思いますw
でもそれなりに楽しかったですよ。
人気はどうだったかな。
設置店舗数はそこそこあったような気がしますが
ハングオンに比べるとちょっと劣るような気がします。
とはいえセガの体感ゲームといえば当時は一大ブランドでしたから
当然家庭用にも、となるのは自然な流れでしょう。
さてさて、ここらでエンデューロレースとはなんぞや。
という話でもしましょうか。
まずwikiでエンデューロレースを調べてみると
エンデューロレース wikipedia
ということらしいです。
当時アーケードで遊んでいたみなさん、エンデューロレーサーは
ジャンプが楽しいモトクロスゲーだと思っていませんでしたか?
僕も遊んでる当時はそう思っていました。
だから家庭用にアレンジされた作品の画面を見て
なぜ公道や雪道走ってたりするんだろう?
なんてこと思ってたんですけど
エンデューロレーサーのエンデューロというのは
バイクレースの名称だったんですね。
VC配信が決まった時に調べてみて初めて知りましたよ。
これを知ってるか知らないかで本作のシステムに関する納得度がまるで違いますので
ちょっと紹介してみました。
まあなんといいますか、タイムを競うバイクレースとはまた違った競技で
いろんなコースを走破できるかどうかを試される、
バイクのトライアスロンといった印象です。
そうかそうか、こういうレースならあのゲーム性も理解できるわ。
ということで移植の際大胆にアレンジされた
家庭用エンデューロレーサー説明と行きましょうか。
視点がクォータービューになったのが一番分かりやすい変更点ですが
それ以外にもエンデューロレースを再現すべく様々な要素が盛り込まれています。
アーケードから倍増の全10ステージからなり、公道、雪道、砂漠に海岸等
変化に富んだコースが用意されていまして
各コースを規定時間内に走りきればクリア。
逆にここが0になるとゲームオーバー。
それから本作にはバイクにダメージポイントがありまして
悪路に突っ込んだり対向車にぶつかったりして転倒すると
ポイントが加算されていき、99の時に爆発炎上してもゲームオーバーになります。
クリア時の残り時間は次のステージに持ち越されますので
早くゴールすればするほど有利な展開になります。
チェックポイント通過時、タイムと共にレース中抜き去ったライバル達もカウントされまして
この台数がそのままボーナスポイントとして加算されます。
リザルト画面後に表示されるチューニング画面で
このポイントと引き換えにマシンの性能アップや
ダメージリペア用のアイテムと交換できる仕組みであります。
普通のレースゲームならば、転倒したときのタイムロスだけで
ペナルティとしては十分な気がするんですが
本作はエンデューロレースですからね。
マシンコンディションのマネージメントも意識した走りが必要なわけですよ。
いやいやどうして、なかなかよく考えられたシステムではありませんか。
システムが思ってた以上によく出来てるのは分かった。
しかしゲームは遊んでなんぼ、レースゲームは走ってなんぼ。
走りが気持ちよくなければ意味ないじゃん。
ということでココからはプレイした印象。
まず操作から。
2ボタンでアクセル、1でブレーキ。
アクセル押しっ放しで勝手に加速していきます。
十字キー左右で移動、そして下に入れるとウィリー走行。
来ました、ウィリー。
アーケードではこの操作を全身運動にすることが売りだったのですが
家庭用でもウィリーは重要な要素であります。
本作には岩やオイル、悪路等路面に数々の障害が設置されています。
そのまま避けるのは大変なんですが時々登場するジャンプ台を利用する事で
これらの障害を華麗に一気にパスする事が出来ます。
で、ジャンプ台は多くのレースゲームに登場するジャンプ台がそうであるように
本作もそのまま突っ込むとしょぼいジャンプしか出来ず
しかもバイクのスピードも殺されてしまってかえって邪魔なのですが
ここでウィリーしながらジャンプ台に乗り飛ぶ瞬間にウィリーを止めると
大ジャンプする事ができまして速度を維持したままジャンプが出来ます。
ここでもうひとつ昔話、マスターシステムの連射機能のお話でも。
ファミコンでは、コントローラの連射機能はサードまかせでしたが
セガはマークⅢ用に自らラピッドファイアユニットと称して発売してまして
(たしか1500円)
海外向けに開発され国内でも販売されたマスターシステムは
連射機能は標準装備でした。
しかも連射スイッチ本体側に付いてたんですよね。
連射スイッチだけじゃないな、ポーズボタンも本体側でした。
ゲームやってて急に鼻が痒くなったりしたとき
どうやってポーズしてたんだろうか。
あ、足か、ギターのエフェクターのように足操作かwww
昔は兄弟・友達集まってワイワイ遊ぶのが基本だったような気もしますので
ひょっとするとポーズ係・連射係をさせられた弟くんなんかもいるかもしれません。
うっかり蹴ってプーっとかいう悲劇に見舞われたチビッコもいたかもなあ。
で、エンデューロレーサーに話を戻しまして。
エンデューロレーサーにはこの連射機能を使ったテクニックが存在します。
そうそうVC版の連射機能は
WiiリモコンだとA+Bボタンで連射オン。
操作のまどろっこしさはマスターシステムに負けてないかもしれませんw
しかしパッドが進化した現在、クラコンを使うと
Rボタンはアクセルボタン連射、Lボタンはブレーキ連射
と振り分けられてますのでこちらを使えば通常のアクセル&ブレーキ操作と
難なく使い分ける事ができますよ。
ということでエンデューロレーサーはクラコン推奨でお願いします。
ジャンプ中に連射すると(ボタンはどちらでも可)
ジャンプ時の滞空時間を延ばす事ができまして
その間は時間のカウントも遅くなります。
Wiiで表示される説明書には若干と書いてありますが
実際はめちゃくちゃ伸びます。
そうだな、最もスピードが乗ってる時に最高のジャンプ決めて連射すると
体感で通常よりさらに2~3画面分は伸びてるような印象。
これは相当な違いです。
中盤以降沼や崖等危険な場所も出て来ますが
この連射ジャンプがあれば一気にパスすることができる重要テクニックであります。
ということでやっぱりクラコン必須でお願いします。
敢えてマスターシステム時代を懐かしみたい方はWiiリモコンでどうぞ。
さてさて、ファミコンvsマークⅢ&マスターシステム時代。
これはもう明らかにセガ劣勢、ファミコンが天下統一してた時代でありました。
本体はスーパーなどで5000円以下の投げ売り商品としてよく見かけたので
持ってたという人も意外に多いのでは。
かくいう僕もその一人。
探せど探せどソフトを扱ってる店はごく僅か。
しかも被ってるタイトルも多い。
中古屋さんもそんなになかった時代、ハード末期に本体を手に入れた僕。
マークⅢ作品の名作と呼ばれるものの多くは幻のまま今まで来てしまいました。
エンデューロレーサーもそんな作品のひとつです。
ゲーセンのより面白いとの話も聞いていたので非常にわくわくしながら
配信の日を待ちました。
いやあ、ほんとまさかこんな形で出会えるとは思ってなかったよなあ。
でまさかのこんな形、任天堂のハード上で
マスターシステムソフトと夢の初顔合わせであります。
まずグラフィックに驚く。
色数豊富でよく描き込まれたドット絵。
観客も背景もバイクも生き生きしています。
そして驚くほどスムーズに動く斜めスクロールのコース。
そういえばマークⅢは斜めスクロールも得意技でしたな。
ファミコンより勝っていた性能を遺憾なく発揮している素晴らしい出来。
すごいなあ、グラフィックだけでも一見の価値アリですなあ。
そして肝心のゲーム性でありますが
要所要所にいくつか設置されるジャンプ台を上手に使って
連射ジャンプ決めながら進んでいく、わりと淡白なゲーム内容。
これはエキサイトバイクやジッピーレース等
昔のレースゲームは大体こんな感じでしたね。
思えば布にコース描いて、奥から手前に布巻き取りながら展開されるコース上を
ハンドルの先にくっついたミニチュアカーを左右に動かして
スコアを競うエレメカがレースゲームの始祖ではないかと思うので
あれの血を色濃く受け継ぐ初期のレースゲームはそんなに複雑にはなりませんよね。
障害を避けて完走する、至ってシンプルなゲーム性であります。
まあそんな感じで淡白なゲーム展開ではあるんですが
ここでものを言ってくるのが家庭用に移植する際大胆に変更された視点であります。
もしも本作が、アーケードを忠実に移植すべく疑似3D画面を採用していたら…
疑似3Dの視点はエレメカレースゲームから次のステップに進化した
画期的なアイデアではありましたが、残念ながらこの時点でこの画面を
忠実に再現出来る家庭用ハードはありませんでした。
いや、出来なくはなかったかもしれませんが無理に移植しても
非常に寂しい出来になっただろうことは容易に想像がつきます。
ハングオンでも苦しかったのに、これにジャンプが加わりますからね。
そこでセガはエンデューロレーサーを再構築します。
まずクォータービュー視点。
前にも書きましたがマークⅢは斜めスクロールも得意技としていたので
かなりスピード感のある画面を作る事に成功しています。
そしてエンデューロレーサーの肝であるジャンプも
トップビューやサイドビューとは比べ物にならない臨場感で
ものすごく気持ちよくジャンプしていきます。
これは背景までよく描き込まれているグラフィックがあればこそですね。
砂漠の町並みや悪路続きの山道、そしてそんな中応援してくれてる観客等
ほんとよく描かれてまして臨場感アップであります。
そしてエンデューロレースを楽しむべく用意されたポイントシステム。
これによってレースへの意気込みが違って来ます。
単にタイムを競うのではなく、1台でも多く抜いてやろうという気分になりますし
稼いだポイントでマシンの性能上げるのか
ダメージリペアに使うのかというマネージメントの面での楽しさも加わります。
淡白なゲームを面白くしようとしているアイデアに溢れてるんですよね。
これはアーケードより評価が高いのも頷けるな。
と大満足の出来でした。
でもタイトルが一緒なだけでまったく別のゲームなんで比べるのはあんまりか。
旧世代のゲームには変らないので飽きるのは早いと思いますけど
VCコレクションには是非とも加えてもらいたい1作。
幻のまま終わらなくてよかった。
この幸運に感謝したいと思います。
と、ここで締めたいのですが最後に一言。
画面フリーズ警報発令!
連射で大ジャンプ可能な本作でありますが調子ぶっこいて
大ジャンプしたままチェックポイントを通過すると
プーっというビープ音と共にフリーズしちゃいます!!
のでご注意を。
でもあのプーって音が僕には懐かしくてですね。
画面上部がちょっとずれてバグってますし。
昔パッドと体が連動してケーブル引っ張ってしまい
本体ひっくり返して止まってた悲劇が思い出されて
なんだかニヤニヤしながらしばらく画面を見つめてビープ音聞いていました。
バグが楽しめるなんて大人になったなあ。
昔なら30分はふて腐れてたなあw
ほんとに完全に止まってしまいますので
こうなったらWiiのHOMEボタン押して右のリセット選んで
ソフトウェアリセットして復旧させて下さい。
それまでの頑張りは水の泡ですがちゃんと再び遊べるようになりますんで。
ではでは、一人でも多くの人に遊んでもらえますように。
エンデューロレーサー(セガ)
マスターシステムソフト・2008年10月21日配信開始
DLに必要なニンテンドーポイント:500
僕のおすすめ度 80%