「誠人~~~!!!」

僕はずっと待ち焦れていた誠人の胸に飛込んだ。
昼休みで廊下には他の生徒達が溢れていたけれどそんなの僕は気にしない。
だって誠人は僕のものなんだから。
父親の仕事の都合で長年住み慣れたアメリカをから日本に移り住み、誠人と離れ離れになってしまってもう会えないかもしれないと思っていたのに春の知らせは僕の心を一気に温かくした。

『春から俺も日本に行くよ。そして俺も虎と同じ学校に通うから。』

この知らせを受けて誠人との再会を心待ちにしていたんだ。
けれど誠人は春になっても日本に来なかった。
その理由は大体予想できたけれどやっと再会できた誠人の胸に顔を擦り寄せてこの悦びを満喫していた。

なのに―

背後から僕らの世界を邪魔する気配を感じて僕はこの上ないくらい睨みつけるように振り返った。

「何?」

「俺を呼んだっ…だろ。」

こいつ確か…朝から昇降口のとこでもたもたしてたよね?それで名前は僕の誠人と同じ名前の……。
僕はそれだけでそこに怯えるように佇むその『マコト』とかいうやつに一気に嫌悪感を抱いた。
そしてどうして僕に話しかけてくるのか瞬時に悟った。
僕には好きな人がいる―「誠人」


僕には嫌いな奴がいる―「麻琴」



誠人と麻琴―。



僕は誠人が大好きだ。


僕が誠人と出会ったのは幼稚園の頃でハーフの僕は誠人と同じ日本人学校に通い始めた。
そこで僕は日本人のクラスメートに宇宙人を見るような目で仲間はずれにされ、いじめられていた。


だけど誠人だけは違ったんだ。


誠人だけは一緒に帰ろうと、言ってくれた。

誠人だけはこの蒼い瞳をきれいだねと、言ってくれた。

誠人だけはこの外見に不釣り合いな名前をかっこいいねと、言ってくれた。

誠人に言われると学校での疎外感が不思議と和らいだ。
嫌だったはずのこの外見も名前も不思議と嫌いじゃなくなった。
誠人が義母の事で苦しんでいた時も傍にいれるのは僕だけだと思っていた。


誠人だけ傍にいてくれれば何にもいらなかった。




そう、誠人の隣は常に僕の場所だと思っていたのに。




あいつさえいなければ………。


あいつさえ現れなければ………。