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再発見ジャケットアート [第八回] King Crimson

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King Crimson/In the Court Of The Crimson King

またまたパーラ a.k.a.ウワサの謎のCD屋 ピックアップの店長・
森山さんに原稿をいただきました!

今回のジャケのように一度見たら忘れられないジャケって
そうそう無いです。そんなジャケを今回も
パーラさんの鋭い視点で書いていただいてます。
それでは、どうぞ!

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今回紹介するジャケットは、音楽好きなら一度は
見たことがあるであろう、キング・クリムゾンのデビューアルバム
「クリムゾンキングの宮殿」です。

私もこのアルバムについては最初はジャケだけを知ってました。
実際の音を聴いたのは後から・・・というパターンでした。
ジャケからは想像もできない美しいサウンドに
呆気に取られた記憶があります。


このキング・クリムゾンというのは
イギリスのロック・バンドで、 ジャズやクラシックなど
高度な演奏技術を取り入れた音楽性で注目されたグループです。

一般にはそういうジャンルをプログレッシヴ・ロックと呼びます。

もともとロックというのは黒人のブルースが発展してできたもので、
わりと演奏が簡単なロックンロールが主流でした。


しかし、そこに高度なジャズやクラシックを取り入れることで、
より高次元なレベルにロックを持っていこうとした勢力が現れます。
この勢力をプログレッシヴ・ロックと呼びました。
キング・クリムゾンはその代表的な存在です。


このアルバムについてですが、
決してジャケのインパクトだけに終わらず
サウンドも歌詞も大変によく練られた名盤として知られています。
私の学生時代の後輩でこの「クリムゾンキングの宮殿」の
歌詞をテーマに取り上げて卒業論文を書いたというヤツもいました。
キング・クリムゾンにはポエム・詩を書くだけのメンバーが
いたりして歌詞ひとつをとっても非常に奥深いものがあります。

より進歩的な(プログレッシヴな)ロックの完成を
目指していたことがわかります。


ジャケの話題に移りますが、

このアルバム・ジャケットを手がけたのは
イギリス人の画家バリー・ゴッドバーという人でした。

バリー・ゴッドバーは、キング・クリムゾンの音楽を実際に聴いて、
そこから膨らんだイメージでこのジャケットを描いたのだそうです。
歌詞にもきっと感じるものがあったことでしょう。

このアルバムは


画家
詩人
音楽家


それぞれが一体となって取り組んだ壮大な作品なのです。
トータル・コンセプチュアルなアルバムだったのです。
すべてが一体となった共通のテーマを持っている。
だからジャケットのインパクトが決して一人歩きしたりしない、
音楽.歌詞との均衡を保った名盤でした。


ですから、若い音楽ファンの皆さん。
どうかお願いですから
このジャケを一見して

「キモイ」

の一言で片付けてあげないでください。(笑)
名盤と呼ばれているのにはそれなりの理由があります。


大変残念なのはジャケ画を描いたそのバリー・ゴッドバーは、
このアルバムのリリース直後に亡くなっているということです。

バリー・ゴッドバー氏が生涯で手がけた音楽ジャケットは、
「クリムゾン・キングの宮殿」 この一枚だけ
ということになりました。

他には似たものがないインパクトをもつアルバム・ジャケットですが、
それはこれを描いた当事者が、二枚目を手がけることがなかった、
できなかったという事実にも起因しています。


20世紀は激動の時代で、特にこのアルバムがリリースされた
1969年は ウッドストックやベトナム戦争、黒人運動の高まりなどで
大きく社会が変動したときであり、
同時期にはビートルズの「アビーロード」、
ジミ・ヘンドリックスの「エレクトリック・レディランド」、
マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」などが
リリースされています。
社会の混乱.混沌を背景にしていかにすごいパワーで
音楽が生み出されていたかがわかります。

このキング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿」も、
まさしくその時期を代表する1枚なわけですが、
このジャケットは



1960'sの混乱。
そこに生きた人々の戸惑い。



そういう不安というか怯えというものを映し出したものであり
同時に絵そのものが持つ力強さで、そこに生きる人たちの
リアリティというかリアルな切実さをよく表現した
デザインであると思います。


それにしても・・・・・
リリースから40年が過ぎましたが、このインパクトだけは不滅だと痛感します。

アイドルジャケ

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Method Man feat. Mary J Blige/You're All I Need To Get By

アラサーB-Boyには永遠のアイドルでしょう。
メスです。このポージング、高校生の頃とか鏡の前で
こっそりマネした人も多いハズ。

僕はこれ買ったのも確か高校生の頃。
池袋のHMVだったかな。渋谷までの電車賃が無くて
泣く泣くレコ屋があまり無い池袋でよく買ってました。

思い出話はさておき、このジャケのスッキリ具合は
今見ても気持ちいいです。フィルムのフレームを
そのまま使って雰囲気を出しながらも下部分は
潔く真っ白に小さい文字。プラス、メスのタグ。

こってりイカついメスのかっこ良さが
スマートに表現されてると思います。

再発見ジャケットアート [第七回] DJ Shun

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DJ Shun/4th Coast

おなじみなりました、
パーラ a.k.a.ウワサの謎のCD屋 ピックアップの店長・
森山さんに原稿をいただきました!
今回はレコードではなくmix CDのジャケです。

東京が熱いなんて言ってられないほど熱い
東京以外のシーンが垣間見れます。
それでは、どうぞ!

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今回紹介するのは日本語ラップのMIXCDのジャケットです。
ここ数年でリリースされたCDの中で、
極めてユニークなジャケのひとつだと思います。
四国・愛媛県で活動するベテランDJ、DJ SHUNが、
四国のラッパーの音源だけを集めて作ったというご当地ものミックス。
タイトルは「4TH COAST」です。

中身はすべて日本語のラップなのだからジャケットも
日本語で表記すればいいようなものですが、
このジャケはすべてを英字・英語で表記してあります。

そして、とても面白いのは四国という小さい島を、
大航海時代の海図のように見立ててデザインし、
EHIME-CHUYO、EHIME-TOYO、KOCHI、KAGAWA、TOKUSHIMA
という表記がされていることです。
もしこれを愛媛・高知・香川・徳島と書いてしまったら、
なんだかそっけないというか、あまりに普通すぎる。
ちなみにCHUYO、TOYOというのは愛媛県(伊予)の
中部地方・東部地方を指した言葉で本来なら中予・東予と書きます。

コロンブスやマゼランが活躍した大航海時代。
そこには未だ見ぬ未開の土地、新大陸への夢やロマンがありました。
古い海図にはそういうドキドキ感みたいなのがあります。

あまりに面積の小さい四国という島をわざわざ
海図に見立てて英字表記にするというデザインは、
一見、滑稽にも思えてしまいますが、
それによって日本語ラップの未開の土地、
ラップの新大陸というメッセージをまったく押し付けがましくなく
表現できているジャケットだと思います。
日本語・漢字にしなかったのは大正解だったのではないでしょうか。

実際にここに収録されているラッパーは、
ほとんどオリジナル音源のCDが無く、このミックスで初めて
名前を知るという人がほとんどです。
そういう地域のご当地ラッパーを紹介するというだけでも
大変意味がある企画だと思いますし、ぜひまた第二弾、第三弾の
リリースに期待したいと思っています。