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2004年2月
私が、自分のダンス仲間や生徒たちをセネガルに連れて来ることが出来れば…。
妄想が広がった。
去年セネガル人主催のセネガルツアーをお手伝いした時に事務的に何をすればよいかはだいたい分かったし、こういうことを企画するのは嫌いじゃないことも分かった。
後はツアーの内容をどうするか。
日本人として、ダンサーとして、女の子として、私が一番参加したいと思うセネガルツアーをもう一度思い描いてみた。
1、現地の人に騙されないこと。
2、海外進出目当てで女子を口説いてくるセネガル人たちをブロックする。
3、1日にレッスンはいくつも詰め込まない。
4、レッスンの内容。
5、絶対にお手伝いさんを雇う。
6、持ち物リストを作ってあげる。
この6項目。
まず、1は読んで字のごとくそのまま。
そして、2の海外進出目当てで女子を口説いてくるセネガル人たちをブロックする。
これはこういうことだ。
私も2000年に参加したセネガルツアーで口説いてくるセネガル人に熱を上げてしまったことがある。
セネガルのことをなにも知らなかった私は日本に行きたいという彼の申し入れにうっかり喜んでしまった。
しかもツアー企画者側がそれを斡旋していたような気がする。
現地で暮らすセネガル人たちは海外に出ることに憧れを持っている。
とくにアーティストなんかは海外に出て仕事すれば、そのお金で家族全員を養うことが出来ると思っている。故郷に錦を飾れると。
現実はそんな簡単じゃないが、誰もが海外に出ればその夢が叶うと信じている。
でも実際、アフリカでは海外に出るためのビザ(査証)を取得することは難しい。しかもエアチケットなんて彼らの収入からは簡単に出せる金額ではない。
彼らにとってビザ(査証)の取得と、エアチケ代を工面する一番手っ取り早い方法としては外国人女性を落とすことだった。
だから、彼らにとって私たち外国人女性は大出世につながる大チャンス。
猫もしゃくしも求婚してくる。
彼らは愛の力は強いことを知っている。
外国人女性が自分に夢中になってくれれば、それに勝る手段はない。
私たちを夢中にさせるために、彼らはどんなことだってする。
一日中お姫様抱っこだってしてくれる。
目を見つめて、髪をなでながら何百回も「愛してる」と言ってくれる。
私たちのことを「マイベイビー」といって世界一美しいと絶賛してくれる。
そして私たちは、帰国後もそんな彼と過ごせたら幸せだろうな。なんて想像してしまう。
そう、バカンスで脳みそが緩んでる私たちは彼らの戦略にいとも簡単に落ちる。
セネガルに行く前に私はそういう事情を、旅の先輩たちから予習していたため、頭では分かっていたつもりだった。
どんなに脳みそが緩んでも、そんなマヤカシには乗るまいと思っていた。
だけど実際に、イケメン顔のセネガル人から口説かれると悪い気はしない。
彼らのストレートな愛のアプローチは日本ではなかなか拝めないし、超スウィートな抱擁は拒むにはもったいない。
ここはセネガル。
ちょっとくらい、いい思いしてもバチは当たらないだろう。
そんな風にどんどんハマっていく。
こんないい思いが嘘だとは思いたくなく、しまいには「この人だけは違う。」なんて都合のいい解釈をしてしまう。
よく、セネガルから帰って来た人で「すごいモテまくってぇ。」とはしゃいでる人を見る。
実際にモテる人とそうでない人と2パターンいるはずなのだ。
そうでない人とはもちろんビザ(査証)目当てでチヤホヤされた人。
できたら、自分はそこは勘違いしたくない。
でも、どうだろう。満天の星空の下でイケメンに本気で愛を語られたら。
判断力は完璧に鈍る。2週間のツアー中に結婚を決めてしまう人だっているだろう。
私は2000年に参加したセネガルツアーで、その悪魔のささやきにハマってしまったひとりだ。
でも、その時、偶然セネガルで出くわした日本人に厳しく忠告され目を覚ました。
「その人は、あなたが好きなんじゃなくて、日本に行きたいだけですよ。」と。
その時はショックと同時に恥ずかしかった。
だけど、その人の忠告を聞き入れてなかったら、今ごろ泥ぬまだったかもしれない。
彼の家族を助けるためにダンサーという夢を捨て自分の人生を捧げてしまうところだった。
危なかった。
もし、自分がセネガルツアーをやったら・・・。
私が連れて行く日本人は絶対に守る。
恋愛は大いに結構だが、冷静な判断ができなくなったら、そこは忠告を入れるべし!!
そして3の1日にレッスンはいくつも詰め込まない。
まず、アフリカツアーしようとしている参加者はツアーを選ぶ時にパンフレットを熟読する。
すごく魅力に感じるパンフレットはレッスンの数が充実している。
レッスンが多ければ多いほどお得に感じるから、ツアーを選ぶ基準はレッスンの多さが決め手になる。
でも、実際、ツアーに参加してみて実感したが、アフリカの地を踏むと、気持ちは変わるのだ。
アフリカには日本では見たことのない、聞いたことのない、触れたことのない、経験したことのない新しい刺激がたくさんある。
ツアーの2週間で日本では味わえない経験をしたいなら、レッスンに丸一日時間を費やすのはもったいない。
ぶっちゃけ、レッスンなんて日本でもできる。
今、ここアフリカでしかできないこと。それは必ずしもレッスンではないことは、アフリカの地を踏んでみないと気づかない。
その土地の人としゃべったり、一人で散歩したり、バスに乗ったり、値段交渉してみたり、自分でお菓子を買ってみたり、子供とあそんだり。洋服を作ったり。
そして本気でダンスの技術を習得したいなら、1日1回のレッスンを復習することに尽きる。
違うプログラムのレッスンを1日に何回やっても、数をこなした充実感だけで、知識は垂れ流しで身につくことは絶対に、ない。
レッスンは1日に1回に尽きる。
そして4のレッスンの内容。
まず先生に、日本人がサバールの音を理解できないことを説明する。
どこをどう教えれば日本人が理解できるかをまず先生たちにこちらからレクチャーする。
日本人の問題点を理解しないまま教えれば、それは本当に無駄な時間になるだけ。
それは、私が今までずっと体験してきたことだからよく分かる。
次ぎに5の絶対にお手伝いさんを雇う。
バケツを使って自分の手で洗濯をするのもアフリカ文化に触れるいい体験かもしれない。
でも、それは一日経験すれば充分。
時間を有効に使うなら、絶対お手伝いさんに洗濯や掃除をお願いした方がよい。
ツアーは2週間だけだから。
最後に6の持ち物リストを作ってあげる。
2000年のツアーで「持ってくればよかった。」と思うものがありすぎた。
逆に持ってこなくても良かったというものもありすぎた。
私がツアーをやるなら、最低でもこの6つの条件は揃えたい。
逆にこんだけの条件がちゃんと揃って入れば、私は絶対に参加する。
そんな妄想をしていた隣では、ヤマが私のケータイでゲームをやっていた。
「ねぇ、このケータイ日本で使えないんでしょ?」
と、ヤマは私に話かけた。
「使えない。」
海外専用で買ったGMSのケータイは日本では使えない。
「ねぇ、このケータイちょうだい!」
と、ヤマが切り出して来た。
「はっ?」
あげるものか!
今回、セネガルで使うために秋葉原で14000円も出して買ったのに。絶対あげられない。
セネガル人は口癖のようにすぐ「ちょうだい。」と言ってくる。
「いいよ。」と口約束だけで実際あげないのが、セネガル人流の断り方のようだが、まだ上手に使いこなせない。
ここはストレートに「イヤだ」と答えてみた。
「じゃあ、来年帰ってくるまで1年貸して。絶対大切に使うから。神に誓います。」
とヤマは空を指さした。
神に誓われても信用できない。
「絶対、絶対、大切に使うから。お願い。」
とヤマが懇願してくる。
「絶対?」

「絶対!」

私はヤマを試すことにしてみた。
ケータイを貸して、ヤマが本当に大切に使い、私が来年セネガルに戻って来たらキレイな状態でケータイが戻ってくるかどうか。
それが出来たら、ヤマの信用度はかなり高くなる。
「いいよ。」
私は答えた。
第38話へつづく
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