暗闇の果てで君を待つ クリア後感想 | Trashy Discovery

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暗闇の果てで君を待つ(限定版) 特典 キャラクターインタビューCD付き

暗闇の果てで君を待つ(限定版) 特典 キャラクターインタビューCD付き



全キャラのTrue Endを一通り見終わりました。

う・・・む、何と言えばいいだろう。


これ程の衝撃を受けた乙女ゲームは初めてです。


真相に一番近い所にいるであろう某キャラのルートを一番最後にしていた訳ですが(それはある意味正解だった訳ですが)、此れ迄自分が乙女ゲームに抱いていた概念を見事に覆す内容でした。


女って怖ぇ・・・女って怖ぇよ・・・


とりあえず、これを乙女ゲームとは考えない方がいい気がします。いや、何気ないところでふっと甘さが入る事もあるんですが、基本的に微糖なので。←但し、エピローグはこれでもかってくらい甘いですけど

・・・んが、このゲームの面白さは、そこでは無いのですよ。


極限状態に置かれ剥き出しになった、普段は虚飾の仮面に隠された本性。


猜疑心、憎悪、嫉妬・・・

様々な負の感情をぶつけ合う登場人物達が織り成すドロドロの人間模様は見応え充分。


そして、正体の分からない、もしかして隣にいるかもしれない殺人者の影に怯えつつも生き残る為に必死に足掻く、まさに生死を賭けたサバイバル・・・そこにこの作品の魅力がギューッと詰まっているのです。

ちなみに恋愛面は、約1名を除き吊り橋効果と言わざるを得ない(笑)


この手の作品でネタバレは興醒め以外の何物でもないと思うのですが、感想という性質上どうしても触れてしまう部分もありますので、未プレイの方はご注意を。



【ストーリー】

林間学校の最中に体調を崩した主人公は、同級生達とバスでキャンプ地へ戻る途中で事故に遭い、気が付くと見知らぬ廃校に閉じ込められていた。

そこには「死神」と名乗る者からの手紙があり、指令に従って廃校を脱出しなければ死が訪れると書かれていた。

そして、この中に殺人の「内通者」がいると死神は言う・・・・・


主人公は、どうやらイレギュラーとしてここに迷い込んでしまったようですが、それ以外のキャラには仮面の死神により、7つの大罪になぞらえた罪状が与えられます。


傲慢(葵)・憤怒(桜葉)・強欲(風野)・怠惰(穂波)・嫉妬(秋山)・色欲(高坂)


緊縛スチルとの相乗効果もあって、高坂先生の色欲という罪状がハマり過ぎてブハッと吹いてしまったのはさておき、暴食の罪人が居ないんですよね。

・・・という事は、過去に太っていたと自ら語っていた最初の犠牲者、神子元先生がそれなのか。←どうでもいい


で、主人公は残った6人の中からパートナーを選んで、ここから脱出すべく閉じ込められた廃校を探索。

その途中で、殺人鬼@仮面の死神によるレッツ処刑タイムキラキラがありまして、これが本気でハラハラし通しでした・・・


乙女ゲームだし、そうそうキャラが死ぬ事は無いだろうと高を括っていたら・・・普通に死にました・・・

処刑されかかっているキャラを発見し、それを助ける為にはアイテムを見付けねばならんのですが、これがまさかの時限式。

手間取ればタイムオーバーとなり、そのキャラは死亡。


痛い・・・心臓が痛い・・・←意外と気が小さい


もう心臓バクバクしながら、校内を探してましたよ。一度見付けちゃえば位置が変わる事はないので楽なんですけどね・・・初回はあたふたしながらプレイしてました。BGMがまた良い仕事してるんだこれが。


以下、キャラごとの感想。攻略順に書いてます。




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秋山朋(cv:坂口周平)


事件の真相に一番遠そうで且つ顔が好みなので(笑)最初にパートナーに選びました。


実の所、最初はあまり良い印象では無かったんですよね。

朴訥として生真面目な性格なんだけど、時に無神経な発言をする事もあって。

虫が嫌いだとあれだけ喚いていた穂波に、お詫びだと蛍を手渡した時にはもう、こいつアホかと。


それが要所要所で魅せてくれる男前さや逞しさに惹かれ、今ではこのゲーム最愛キャラですよ(笑)

仮面の死神に囚われ、毒ガスの充満する倉庫に押し込められた挙句に枷で手足を拘束された時、一つしかない鍵を躊躇いもせず主人公に使った漢前さに惚れた。


秋山は穂波と対になってるらしく、秋山ルートでは二人の関係が浮き彫りになっていくのです。

テニスの最強ダブルスだが心底仲が良いという訳ではなく、互いに微妙なラインで拮抗していた。

それがこの極限状態で爆発してしまった模様。


『こんなに真面目にやってるのに、何で自分ばかりがいつも損をしてるんだ』


と、要領の良い穂波に心の何処かで嫉妬していた秋山。

自分から目を逸らしていた本心が暴かれ一時は混乱していた秋山だけど、自分の弱い心を認め、克服しようとする姿勢が潔いと思った。

互いに本心をぶちまけた後の、男の友情ってのは良いもんですねキラキラ


ルナというあだ名を初めて聞いた時は、こんな無骨な男にルナ(゚д゚)?と不思議に思ったんですが、由来を聞いて情景を思い浮かべると、中々どうして味わい深い。オータムマウンテンに月2つ
多分、穂波も情景を思い浮かべて彼に似合うと思ったからルナと呼んだんだと思うけど、照れ隠しに茶化すように言ったもんだから、秋山はからかわれたと感じたんだろう。

ま、ルナと呼ばれて喜ぶ男はそういないと思うけど(笑)




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葵水央(cv:高橋広樹)


完全無欠な生徒会長かと思いきや、実はすんごいおトボケキャラだった。何と言うか、天然の域を遥かに超えてる気がする。妖精とか仙人のレベル。


真相を握る人物と近しい関係にある彼を2番目に攻略したのはちょっと失敗だったかなとも思ったんですが、内通者は1周目で判明してるし、先に見たスタッフロールで軽くネタバレもあった(笑)ので、まぁいいや。

キャストのあのキャラ名は伏せた方が良かったんじゃ・・・


葵に絡んで来るのは彼とは何事においても正反対であろう風野。

あんなあからさまに敵意ぶつけなくてもいいんじゃないかと思うけど、その敵意に何処かズレた正論で返そうとする葵にまた腹が立つんだろうな、と想像は出来る。

会長、もう少し空気読んで下さい。と、何度も言いたくなりました。


何事にも素直で真摯だけど、舗装された道しか歩んで来ていないので、こういった不測の事態になると極端に視野が狭くなってしまう。

直前に秋山ルートをプレイしていた所為か、余計その頼りなさが際立ってしまった感があるなー。

その分、主人公の方が彼を支えようという意気込みを感じて漢前でした(笑)

葵の良い所は、その素直さと真っ直ぐさにあると思うんですよねー。

自分の無力さと世間を知らぬが故の無自覚な傲慢さに気付き、向き合おうとする姿勢は健気でした。




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穂波陽介(cv:斎賀みつき)


彼を見て・・・というか、声を聞いて最初に思ったのが、


何で声優が女性なんだろう?


という疑問。

確かに斎賀さんは声質が低くていらっしゃるけど、高校生男子を演じるには若干の無理がある。

個人的な感覚かもしれませんが、乙女ゲーの攻略キャラに女性声優の起用は違和感があるもので。

うーん・・・男性の高い声と女性の低い声は別物に聞こえるんだな~。

だって、ギャルゲーのヒロインを男性声優が演じてるようなもんですよ?いたたまれないじゃないですか(笑)


だけど、彼の出生の秘密を聞いて納得。

まさかその道の権威である生化学者の父親に遺伝子操作されていたとは・・・


穂波は日本人の父とイギリス人の母との間に生まれた日英ハーフだけど、日本人の色素と欧米人の色素では前者の方が優性遺伝なので金髪の子はそうそう生まれない。

しかし、どうしても妻と同じ髪と目の色を持つ子が欲しかった穂波の父親は、遺伝子操作を施した。

色素の他にも、色々と弄ったそうで・・・彼が妙に華奢なのはその影響もあるようなんですよね。


遺伝子操作の副作用で成長に支障をきたしている・・・要するに声変わりしてないって事なんじゃないかな。


色々弄ってるから今後どうなるか分からない、と自嘲気味に語ったのには参った。

傍若無人な振る舞いは、その不安を隠す仮面でもあった訳か。

虫嫌いの理由といい、まさかそんなに重い過去を持っていたなんて(`;ω;´)


同情されるのは真っ平だ、でも引かれて拒絶されるのは怖い、という相反する思いの葛藤が、余計彼を囲う壁を厚くしていた。

自分から線引きをし、本心を伝えようともしないのに、相手に完璧な理解を求めるのは矛盾している。

その事に気付いただけでも、成長したよなーと思います。日数的には1日なのに・・・キラキラ



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風野太郎(cv:藤原祐規)


流石は「強欲」担当と唸りたくなる程、欲望に忠実に見える風野くん。

一応(吊り橋効果で)憎からず思っているだろう女子の前で平然と恐喝を始めるツラの皮の厚さ・・・もとい度胸には恐れ入った。


周りがどちらかというと良家の子息な中、目的の為には手段など選ばないという彼のハングリーさは一際異彩を放っていました。


第一印象は最悪だったんですよね・・・葵に対する態度とか、あんな露骨に憎たらしい顔しなくてもいいだろうにと(笑)

けれど、彼が法のグレーゾーンを驀進するのにはそれなりの理由があって・・・難病に侵された妹の手術費を稼ぐ為だそうな。話してみれば結構イイヤツでかなりの苦労人だった。


しかし。

「俺が人と金が間に入らない約束をする時はもし裏切られたら、信じた自分が馬鹿だと思って相手を責めないっていう約束を俺の心の中で結んでるんだよ。それが、金も絡まないのに俺と約束してくれた人への礼儀というか、対価だと思うから」

――という主人公への台詞は寂しかったな。


これが風野の最大限の信頼の表現だと思うと余計に・・・

裏切られる事が前提の約束ほど虚しいものは無いじゃないですか。

けど、泣きながら反論する主人公を前にオロオロする様子は見ていて微笑ましかった。


True Endはかなり強引な展開でしたが、「俺、本当はもっとまともな人間なんだぜ」と照れ顔で言った時には、初めてこのキャラが可愛いと思えました(笑)




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桜葉克己(cv:岩田光央)


仮面の死神の声が失踪した実の姉かもしれないという複雑なポジションだったんですが、そこで自棄になったり現実逃避しようとするのではなく、今ある事実を受け止めて真実を確かめようとする姿勢はカッコ良かった!

グルグルと悩む場面も勿論あるんだけど基本的に前向きですね、ちょっとヘタレな所がまた良い(笑)


幼馴染みという気安さがある所為か、主人公も彼と話す時は肩の力が抜けてる感じ。

周りがこう、疑心暗鬼に陥って腹の探りあいをする中、彼の存在は一服の清涼剤。

主人公に仄かな想いを抱いていたらしく、恋愛の過程も自然体なので「それって吊り橋効果だよね?」と穿った見方をせずに安心して見守れました。シナリオ的にも一番好き。

主人公の言動に一喜一憂するかっちゃんが超可愛い~(笑)


しかし、あのギミックは無いわ~・・・歯車と歯車の間に首を挟むって・・・犯人は精神異常者としか思えない。

まぁ、こんな廃校に閉じ込めてじわりじわりと殺そうとする時点でマトモな神経じゃ無い訳ですが。

どのルートでも「お前が無事で良かった」なんて台詞を言うもんだから、助けられなかった時のショックは尋常じゃないですよ・・・←初回プレイで助けられなかった人




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高坂貴彦(cv:成田剣)


彼について、多くは語るまい・・・・・


愛ゆえの狂気

禁忌を犯す甘美な痛み

歪んだ愛情

色欲(エロス)


この内のどれか一つでもピーンと来たら、プレイされるが宜しかろう。


・・・いや、どうせだからぶっちゃけちゃいましょうか。

この記事の冒頭で衝撃を受けたと書いたのは、彼のルートに他なりません。


彼は事件の内通者(というか真犯人の一人)にして、愛しい者の命を手折る事に快感を覚える真性の変態です。

んが、そこに衝撃を受ける程、私もピュア(?)ではない。


このルートにおいて主人公は、先生を除く登場人物達を惨殺して行くのです。


実際に手を下すのは仮面の死神ですが、それを“放置”したり、助けられそうなアイテムを隠したり・・・

大抵、ゲームの選択肢で残酷なものを避けている小心者の私は、「あり得ない・・・あり得ない・・・」と終始呟きながらプレイしてました。

特に桜葉を見殺しにした時・・・首の骨が砕けるような鈍い音と共に、彼の笑顔や主人公にかける優しい言葉がフラッシュバックされる演出には泣くしかなかった(T_T)

最初は主人公も躊躇いを見せていたんですが、徐々に何かを吹っ切ったようになり、仕舞いにゃ陶酔の表情を見せた時には、元々そういう性癖があって眠っていた一面が覚醒したと思わざるを得ない。


それ程までに愛していたという事ですか・・・狂気の殺戮に手を染めてまでも、先生の事を・・・


解らない・・・いや、解ったらそっちの方が問題なんですけど、そもそもどうして主人公はそこまで先生に惹かれたんだ?

どう考えてもストックホルム症候群としか思えない。


このキャラをしてエンディングが悲恋じゃなかったのは意外ですが・・・あー、でも退廃的ではありました。

True Endよりも目隠し監禁Bad Endの方に惹かれた(笑)

名前表示は貴彦になってたけど、あれって弟の秀彦の方ですよね・・・声が浜田さんだったし。


兎にも角にも壮絶としか言いようが無い高坂ルートでした。