逆転裁判4 プレイ日記③ | Trashy Discovery

Trashy Discovery

Going my wayなゲームプレイ日記&感想がメインです。

成歩堂さんの首にかけられているペンダントと、

はずされた被害者のペンダント。

ここに何か重要なつながりがあるのだろうか。


ポーカー勝負の最中は、かけられていたという被害者のペンダント。

その勝負に、秘密が隠されているのか?


逆居は、勝負の内容について証言する様に求められた。





証言~真剣勝負~。


「お互い、チップで3500点の持ち店で勝負は始まりました。

チップはお店の物で、大小2種類の物をご用意しました。

ゲームに勝っていたのは・・・そう、被害者様のほうでした。

被告人の方。最後の勝負をしかけて、やはり負けてしまいましたの。

負けが決まった瞬間、被告人の方は、傍らのビンを握り締めて・・・」



う~~ん・・どこか怪しいところ、あるのかなぁ・・・。

オレはチラリと先生の方を見た。

いつも通りの涼しげな横顔からは、何も読み取る事が出来ない。




勝負は一方的に被害者が勝っていた。

被告人はそれが悔しくて発作的に殴りかかった。

勢いあまって殺してしまった。

と、亜内検事の説明が続けられた。



そんなの!ありえないッッ!!!

成歩堂さんは、ハッキリ言った。『7年間、負けた事が無い』と。

・・・この証言には、絶対何かあるはずだ!





尋問開始。


オレは法廷記録の「チップの写真」を確認した。

成歩堂さんと被害者のもの全て合わせて、

大きいチップが10枚、小さいチップが6枚写っている。


何かがひっかかる・・・。

成歩堂さんが持っていたのは、大1枚と小4枚。

被害者が持っていたのは、大9枚と小2枚。


オレは逆居に、チップについての詳しい証言を求めた。


「・・・・とおっしゃいますと、何を言えばいいのでしょうか?」


オレは言葉につまった。

ひっかかるというのは、何となく違和感を感じるだけなのだ。

上手く説明が出来ない。


「・・・・えと。例えば・・・そのチップは、『円』ですか『ドル』ですか?」

我ながら、マヌケな事を・・・。

横にいる、牙琉先生の視線が痛い。


「・・・先程も申し上げた様に、ギャンブルではございませんの。

チップは“1000点”と“100点”の2種類。お金ではございませんの」

眉尻を下げて説明する逆居。


あ・・・ちょっとバカにされた・・・。


「オドロキ君・・・・」

牙琉先生が静かに口を開いた。


う!マヌケなゆさぶりをしたって怒られるのかな。


「はいッ!」

内心ビクビクしながら、返事をする。


「今の証言・・・。ちょっと面白いですね」

そう言う先生の表情は、確かに楽しそうに見えた。


「え・・・」


「私ならば・・・そう。証言に加えて頂くところですが」



・・・牙琉先生がそう言うんだったら、加えて貰った方がいいのかな。

オレは裁判長に、チップの説明を証言に加えるよう申し出た。



加えられた証言は、

「チップは100点と1000点の2種類でした」というものだ。



牙琉先生は、この証言が重要だと言ってたけど・・・。

どうってこと無い様な気もするんだよな。

とりあえずゆさぶりをかけてみるか。

でも、いったい何を言ったらいいんだ・・・。


「待った!!」

そう言っただけで、中々発言しないオレを裁判長が窘める。


「弁護人・・・言いたい事を整理してから、手を挙げて頂けますかな。

小学生じゃないのですからね」


「あ!はい!大丈夫ですッ!」

こんな事言われて、オレ激しくカッコ悪いよな・・・。


「ええと・・・。2種類のチップの事ですけど・・・」

オレは喋りながら、質問を考えていく。


「なんですの・・・?」


「あの・・・小さい方が100点で、大きい方が1000点・・・

でいいんですよね?やっぱり」


・・小学生の算数セットのコインかよ・・・・。


「フン!聞くまでもないでしょう」

亜内検事が、横だけ(しかない)の髪をかきあげる。


「はぁ・・・」

うう・・・オレってば、何をしょうも無い事聞いてるんだ。

顔が熱くなる。


でも、これは牙琉先生のせいでもあるよな!


「オドロキ君・・・・」


牙琉先生から発された、静かな声にハッとする。


「は・・はい!」


「私に恥をかかせないで貰えますか?」

ニッコリと微笑む牙琉先生。


「えッ!オレがですか!」

そんな・・・元はと言えば先生が・・・。


「今まで集めた情報の中に、致命的な矛盾があるんですよ」


何だって・・・?


「簡単な計算です。やってみる事をオススメします。

小学生じゃないんですからね」


小学生じゃないって・・・裁判長と同じ事を言われた・・・。

でも、牙琉先生に言われると余計にショックだ。

先生を・・・失望させたくない・・・。



計算か・・・・・。

あれ?そう言えば、

逆居の証言には、チップの持ち点の合計も含まれていた。


そうか!そういう事か!

オレはもう一度「チップの写真」を確認する。


チップは大が10枚で小が6枚。

勝負の際に与えられた持ち点は、二人合わせて7000点。

チップの種類は、100点と1000点の2種類。


そうか・・・・・・

大抵の人間は、点数と形の大きさを比例して捉えてしまう事が多い。

そこが落とし穴だ。

大きいチップは10枚ある。

もし大きいチップが1000点だとすれば、10000点以上になってしまう。

逆に小さい方が1000点だと捉えれば、チップの合計と持ち点の合計は一致する。



は!!!

チップの写真・・・。

成歩堂さんのチップは、小4枚と大1枚。

被害者のチップは、小2枚と大9枚。


成歩堂さんは、勝負に勝っている!!!




「異議あり!!」

オレは、逆居にチップの写真をつきつけた。


「ゲームに勝ったのは、被害者の方だった・・・

間違いありませんか?」


「・・・・・・・・・・」

押し黙ってしまう逆居。


「異議あり!」

亜内検事のか細い声が遮る。


「それは、先程から言っている事でしょう。

その写真に何の問題があるんですか?」


「気になる事は一つ。

大きいチップと小さいチップどちらが1000点だったのでしょう」



オレは先程頭の中で組み立てた計算を発表した。

2人の持ち点は、成歩堂さんが4100点、被害者が2900点。

明らかに逆居の証言と矛盾している!!



「そうです・・・オドロキ君。

その“理由”が全てをひっくり返すのですよ」


せ・・先生!!やっぱり凄い人だ!!



「・・・被告人が、被害者を殺害するはずは無かった!

だって・・・その・・・勝ってたんですから!!!」

オレはビシッと人差し指を突きたてた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

亜内検事の絶叫が響き渡る。

大丈夫かな?(横の)髪の毛。ショックで抜けたりしないかな。



「そして、証人。貴女がそれを知らなかったはずは無い。

その場に“居た”んですから。

いかがですか、証人ッ!」

バンと机を叩き、逆居を見る。


「あ・・・・きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

逆居は絶叫し、小鍋を放り投げた。




「静粛に!静粛にッ!」

裁判長が木槌を打つ。


「どうやら、被告人には・・・・“動機”が消えてしまった様です。

検察側の主張していた“敗北”は、存在しなかった」


「くぅぅぅぅぅぅ!!」

裁判長の言葉に、唸るしか出来ない亜内検事。


「それどころか、け・・」


「待った!!!!」


裁判長の更なる発言を遮るように、勢い良く待ったをかけたのは・・・

逆居?



「な・・・なんですかな?証人」

驚いて証言台を向く裁判長。


「これは・・・本当は、申し上げたくなかったのですが・・・

実は・・・実は・・・最後の勝負にはイカサマがあったのです」


イカサマだと・・・。

ざわめきだす法廷。


「最後の勝負に“イカサマ”があった為に、

勝負のチップが動かないまま、ゲームは終わってしまったのです」


なんなんだよ・・・。

負け勝負の次はイカサマだなんて。



「どうやら・・・法廷が大きく動き出した様ですね。

・・・面白くなってきました」


牙琉先生・・・・。



「証人!証言をお願いします!

最後の勝負・・・そのイカサマについて!」

裁判長の声が響き、法廷内は静まり返る。







証言開始~最後の勝負~


「最後の勝負・・・お二人とも“フルハウス”という役で勝負に。

トランプは、AからKまで、それぞれ4枚ずつしかありません。

だからお二人のカードを見れば、イカサマはいっそアカラサマです。

次の瞬間、口論になりました。イカサマのバレた被告人様は・・・。

手元にあったボトルを手に取って、浦伏様を・・・」



何故そんな事を黙っていたんだ!!

絶対におかしい!!!!



「証人ッ!何故、最初から話してくれなかったんですか!」

オレは感情のまま机を叩いた。


「・・・・・・・・・・・・・」

押し黙る逆居。


最初から怪しいと思っていたんだ!あの証人・・・。

この沈黙の裏には・・・何かある!必ず!



「ふむぅ・・・」

声を発したのは、逆居ではなく裁判長だった。


「“フルハウス”というと、随分高い手段ですな。

私の経験から言っても、簡単には作れません」


アンタ・・・経験者なのか・・?


「その通り。その時点でイカサマのニオイがしますな」

ペチペチと頭を叩く亜内検事。


オマエ・・・絶対便乗しただろ・・・。



でも・・・フルハウスって・・・・・・・・・



何?







「ええと・・・牙琉先生?

何ですか?“ふるはうす”って」


「やれやれ・・・最近の若い弁護士はポーカーも知らないのですか」

と亜内検事。


「そんな事では苦労しますぞ、この先」

と裁判長。


黙れ。ハゲども。




「・・・オドロキ君。

“ワンペア”や“ツーペア”、“スリーカード”は知っていますね?」

呆れた様子も無く、優しい微笑みを浮かべる牙琉先生。


「あ、はい!それなら大丈夫です!

同じ数字のカード2枚がペア、3枚がスリーカードですよね!」


「その“ワンペア”と“スリーカード”を、組み合わせたものが

“フルハウス”なのですよ」




確かに・・・そう簡単に作れそうもない手段だ・・・。


法廷記録の「チップの写真」に二人の持ち札が写っていた。

二人とも・・・フルハウスだ。



「7年間も無敗を誇るなど不可能でしょうなぁ。

・・・イカサマでもしない限りは」

亜内検事が、被告人席の成歩堂さんに視線をやった。



裁判長が木槌を打った。

「それでは、弁護人。尋問をお願いします」







尋問開始。


最後の勝負にイカサマがあったとして・・・疑問がある。

勝負の結果は・・・成歩堂さんが“負けている”。

成歩堂さんは、自らをポーカーの《プロ》と称していた。

イカサマをした上、負ける《プロ》が、いるか・・・?




ゆさぶりをかけてひき出された証言は、

「浦伏さまが3枚、被告人様が2枚・・5枚目のAが使われたのです」

というものだった。


違和感を感じた・・・。確か手札は・・・・。



「オドロキ君。気付いていますか?

彼女の証言は、先程から二転、三転している」

牙琉先生が、オレにそっと耳打ちする。


「はいッ!確実にアヤシイと思います!」


「まずは、彼女の言う“イカサマ”の正体を見極めましょう」

そう言うと、いつもの柔らかな微笑みを向けた。


「はいッ!任せてください!」




逆居の証言によると、

浦伏のフルハウスは、Aが3枚(ハート・スペード・クラブ)、Kが2枚。

成歩堂さんのフルハウスは、Aが2枚(スペード・ダイヤ)、7が3枚。


だが、法廷記録の写真に写っているのは・・・

浦伏のフルハウスは、Aが2枚(ハート・クラブ)、Kが3枚。

成歩堂さんのフルハウスは、Aが2枚(スペード・ダイヤ)、7が3枚。


矛盾はここか!!!



「異議あり!!」

オレは、チップの写真を逆居につきつけた。


「どうやら・・・証人は、勘違いをしている様です」


「勘違い・・・?」


「貴女の証言は、この証拠品と決定的に矛盾している!」


オレは、先程頭の中で整理した、

写真と証言の決定的な矛盾点を示した。


「雅香さん、貴女は先程こう証言しましたね。

被害者の手札は、Aが3枚に、Kが2枚であると。

しかし、こちらの写真をご覧下さい!

この通り!被害者の手札に、Aは2枚しかありません!!」


「えええッ!そ、そんなハズは・・・・・」

逆居は顔面蒼白になっている。


「異議あり!」

亜内検事が机を叩く。


「し・・証人の勘違いかもしれませんぞ!

3枚目のAがあったのは、被告人の手札の方だった」


フ、そう来ると思ったぜ!


「異議あり!!

もう一度写真をよく見て下さい!

この通り、被告人の手札にも、Aは2枚・・・」

オレはバンッと机を叩いた。


「つまり・・・イカサマがあったという証言こそ、

イカサマだった可能性がある!!」



ざわめきだす法廷内。



裁判長が木槌を叩く。

「ふむぅ・・・確かに、二人の手札のAは、合わせて4枚。

イカサマがあったという証拠はありませんな・・・」


「ま、待って下さい!ワタシ・・・見たんです!5枚目のAを。

確かに、イカサマはあったのです!」

逆居は今にも泣き出しそうに、プルプル震えている。




・・・何だろう。あの証人の態度・・・

今までとは違う“本気”を感じる。


「“直感”と言うのは、中々バカに出来ません・・・」


「牙琉先生!」


「・・・何かあるのかも知れません。この先にまだ」


牙琉先生は裁判長に向き直ると、

「裁判長。提案があるのですが・・・」


「何でしょうか。牙琉弁護士」


「もし、よろしければ・・・

実際に二人のカードを調べさせて頂けませんか?」


「カードを・・・?」

意外そうな声を出す裁判長。


二人のカードって・・・・。

それを確認して何か意味があるのか・・・?


「・・・亜内検事。

当然二人の手札は証拠品として保存されているはずですね?

弁護側は・・・そのカードの提示を求めます」

凛とした牙琉先生の声が響く。



裁判長の木槌が鳴った。


「それでは、カードを提出して頂きましょう!

被告人のカードと被害者のカード・・・

どちらを調べますかな?」


裁判長の視線は、オレに向けられている。


・・・え!?オレが決めるの?

せ・・・せんせぇ!!オレ、ちょっと泣きそうなんですけど。


・・・カードを調べて“イカサマ”の証拠を探す・・・

怪しいカードはどっちだ・・・?(両方じゃダメなの・・?)


証言と証拠品に違いがあったのは・・・被害者のカードだ。

だとすれば・・・。


「それでは、浦伏さんのカードをお願いします」





証拠品「被害者の手札」を入手した。


「それでは・・・早速調べてみましょうか」


「は・・・はいッ!」

牙琉先生に促され、オレはカードを細かく調べた。

縦にしたり、斜めにしたり、裏返しにしたり・・・。


あ!!これって・・・カードの裏側が!!

5枚の内、4枚は赤なのに、1枚は青い!!


「勝負に使われていたカードは、“青”のイメージがあったのに・・・。

ね、牙琉先生」


「ん?あ、あぁ・・・そうでしたっけね・・・」


あれ・・・?珍しく歯切れの悪い態度だ。


「裁判長!見て下さい!被害者のカードには、1枚・・・

裏の色が違うカードが紛れ込んでいますッ!」


「え・・・・えぇぇぇぇぇぇ!!!!」

オレの言葉に驚愕する亜内検事。


え?アンタ気付かなかったの・・・?


「そ、そんなバカなッ!

アタシが仕掛けたのは、成歩堂の方なのに・・あ!」


え・・・・?

慌てて取り繕うとする逆居だが、もう遅い。


「・・・今、何と言いましたか、証人」

牙琉先生の口調、穏やかだけど、どこか威圧感を感じる。


「い・・・いえ・・・その。アタシ・・・わ、ワタシは、ええと・・・」

しどろもどろになる逆居。


「・・・裁判長」


「な・・何ですかな?」

あは、裁判長、牙琉先生に気押されてる。


「最も簡単にイカサマをする方法とは、何でしょうか」


「イカサマを・・・」


「答えは、一つ。カードを配る人間・・・。“ディーラー”を味方につける]

牙琉先生はチラリと証言席に視線をやった。


「あ・・・・ッ!」

裁判長は、牙琉先生の言わんとする事に気付いたようだ。


「じゃ、じゃぁ・・・。この証人・・・逆居雅香さんは・・・」

オレは、証言席の逆居を見つめた。


「イカサマ師、ですね。おそらく・・・プロの」

牙琉先生は、キッパリと言い切った。




ざわめきだす法廷内。




裁判長が木槌を打つ。

「静粛に!静粛にィィッ!!!」



今だ、王泥喜法介!・・・一気にたたみかけろ!!

牙琉先生が道を作ってくれたんだ!無駄に出来るか!!

オレは自分自身を鼓舞した。


「裁判長!只今の証言・・・もう一度思い出して下さい!

『そ、そんなバカなッ!アタシが仕掛けたのは成歩堂の方なのに・・・』

・・・つまり!逆居雅香と組んでイカサマをしていたのは・・・

被害者・浦伏影郎の方だったのです!」


オレはビシッと人差し指を証言台に向けた。


「うぅ・・・・ッ!」

逆居は反論出来ずに居る。


「しかも彼女は、そのイカサマを失敗していた様です!

それならば!!被害者との間に“何か”あっても、おかしくない!」


そうだ!!小部屋にいたのは、被害者の浦伏、そして成歩堂さんと、

この逆居雅香の3人なのだから!!!


「な・・・なんですとぉぉぉぉ!!!」

驚きの声をあげる亜内検事。


「それでは・・・弁護人ッ!

あなたは・・・逆居雅香さんを告発するつもりですか!」

興奮した様子の裁判長。


今こそ、チャンスだ!

成歩堂さんが、犯人でないとすれば・・・消去法でいっても・・・


「・・・はい。

弁護側は、この証人を真犯人として告発します!!!」

オレは逆居雅香を指差した。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

悲鳴をあげ、逆居はドサッと後ろに倒れこんだ。









「・・・亜内検事。証人・・・逆居雅香さんは?」

裁判長が亜内検事に尋ねた。


「その・・・只今、意識を失っておりまして・・・」

亜内検事は、平伏するように答えた。


「ふむぅ・・・王泥喜君」

裁判長がオレに向き直った。


「はい!」


「貴方は、ある“可能性”を提示したようです。

この証人と、被害者・浦伏氏との隠された“つながり”を・・・」


「そ、それじゃぁ・・・」


「現時点で、この被告人に判決を下すことは出来ません!」


「な・・・なんですとッ!」

冷や汗タラタラの亜内検事。


・・・この場は凌いだって事か。

でも、逆居が犯人だとオレは確信している!

だって、成歩堂さんは、“殺していない”のだから!!!




裁判長が木槌を叩く。


「どうやら本日は、これ以上の審理は不可能であるようです。

検察側は、更なる調査を・・・」


「異議あり!!!」


裁判長の言葉を遮り、異議を唱えたのは・・・・




「な・・・成歩堂さん・・・・?」



「・・・ここで、審理を終了する事は出来ませんよ、裁判長。

まだ、ね」

そう言うと成歩堂さんは、顔をコチラに向けた。


「なんですか!被告人!!これは、いったい・・・」

唖然とする亜内検事。


「1枚だけ、色の違うカード・・・

その意味、もう少し考えてみませんか」


成歩堂さんの意図が全く分からない・・・。

だって今のまま行けば、

次の法廷で無罪を勝ち取れるかもしれないのに。



「ひ・・・被告人は、自分の立場が分かっているのですかッ!

裁判長!こんなのは、その・・・メチャクチャですぞッ!」

亜内検事の声は裏返っている。


「ふむぅ・・・亜内検事。貴方もよくご存知でしょう。

彼の立つ法廷は・・・メチャクチャになるコトを!!!」


裁判長の言葉に、成歩堂さんは片眉を上げた。



ざわめく法廷内。




裁判長の木槌が鳴った。


「どうやら・・・ここで一度、あの夜の“ゲーム”について・・・

整理しておいた方がいいようですね」

裁判長の厳かな声が法廷に響き渡る。





「あの夜・・・僕達は、2組のカードを交互に使っていた。

そのことは話しましたね」


「とっくに聞いておりますぞ!」

横槍を入れる亜内検事。


「そして《ボルハチ》では、裏が“青”と“赤”・・・

2種類のカードを使っている、とも」


そこも腑に落ちない。


「2種類・・・何故そんな事を?」


「同じ色では、2組のカードが混ざってしまう危険があるからね」

オレの質問に淡々と答える成歩堂さん。


実際・・・被害者のカードは混ざっていたワケだけど。


「最後のゲームで使っていたのは、“赤”のカードでしたね」


「なるほど・・・しかし。ちょっと妙な感じがしますな。

何となく・・・“青”のカードが使われたという印象があるのですが」

と裁判長。


あ!オレもそう思ってた!

誰かが、そんな様な事を・・・そう言っていた様な・・・・


「とにかく、1枚だけ色が違うという事は・・・

イカサマがあった、という事なのでしょう」

亜内検事は、腕を組んだ。


「すり替えられたカードは、その時のモノ、ですね。

しかし・・・このカードには、大きく2つ問題がある。

・・・オドロキ君。」

成歩堂さんは、オレに呼びかけた。


「は・・・はいッ!」

意図しなかったところで話を振られ、少し慌ててしまった。


「まず、一つ目の問題を考えてみようか。

最後の勝負。カードは・・・いつすり替えられたのか・・・?」


“いつ”・・・・・・?


「簡単に分けるならば、次の3つだ。

《事件の起こる前》か、あるいは《起こった瞬間》・・・・

そして、《起こった後》」

成歩堂さんの表情からは、何を考えてるのか読めない。


「そんなの、決まってるではないですか!モチロン・・・」

得意気に横だけ(しかない)の髪をかきあげる亜内検事。


「・・・おっと。

コトはそう単純ではないかもしれませんよ、亜内検事」

ニヒルな笑みを浮かべる成歩堂さん。


「むぐ・・・!」


「オドロキ君。・・・よく考えてみるんだ。いったい、いつだと思う?」


まるで、子供になぞなぞを出しているかの様に問う成歩堂さん。

カードがすり替えられた“タイミング”・・・それは・・・


考えろ・・・成歩堂さんが酔狂でこんな質問をするはずがない。

事件の核心に迫る重要なことかもしれない。


事件の起きる前は・・・アリエナイ。

ポーカーってよく知らないけど、

最初からオープンしてるワケじゃないよな。

カードの裏が自分にも相手にも見えるはずだ。


事件の起こった瞬間・・・・これもアリエナイ。

そんなコトしてる場合じゃないだろ。


「事件が起こった・・・“後”でしょうか」


「異議あり!!」

オレの発言を亜内検事が遮った。


「な・・・何を、バカな!

イカサマは、手札を開く前に行わなければ意味が無い」


「異議あり!!」

今度はオレが亜内検事の発言を遮った。


「でも!ゲーム中にカードをすり替えるなんて・・・

不可能じゃないですかッ!!」


「異議あり!!」

亜内検事がまたしても異議を唱えた。


「この世に“不可能”など、ないッ!・・・それほどには」


おいおい・・混乱してきたのか、このハゲ。

オマエの死んだ毛根はもう生き返らないだろ!

その言葉を飲み込み、


「いやいや!だって・・・裏の色が違うんですよ?

ゲーム中にすり替えられたら、アッという間にバレてしまう!」


オレの言葉に、成歩堂さんは肯いた。

「その通り。つまり・・・この青いカードは、カードが開かれた“後”

即ち、事件が起こった“後”・・・すり替えられた事になる」


「異議あり!!」

しつこいってのハゲッ!!


「バカげている!・・・勝負が終わった“後”、イカサマをした・・・

そんなの、何の意味もナイッ!」

亜内検事はそう叫んだ。


「そう。・・・それが一つ目の“謎”ですね」

意味ありげに含み笑いをする成歩堂さん。


「ま・・・まだあるのですか?」

裁判長は、状況についていくのに必死な様子だ。


・・・ってオレもなんだけど。


「簡単な・・・そして決定的な疑問ですよ。

“誰が”この赤いカードをすり替えたのか?」

そう言うと成歩堂さんは片眉を上げた。


「だ・・・“誰が”・・・・?」

オレは少し混乱した。


誰って・・・・・・。

小部屋には、被害者と成歩堂さん、逆居しかいなかったんじゃ・・・


「《事件が起こった後》・・・つまり、被害者は既に死んでいます。

部屋にいたのは、残った二人。

被告人・成歩堂龍一と、逆居雅香ですね」

冷静に告げる牙琉先生。


でも・・・それなら・・・・

成歩堂さんがこんなコトをする意味が無い。


赤いカードをすり替えた人間・・・よく考えるんだ!


・・・何故、部屋にいたのが二人だけだと決め付けられる?

逆居の証言だけで、何の証明もされていない。

だとすれば・・・もう一つの可能性・・・。

オレは口を開いた。


「すり替えたのは・・・モチロン成歩堂さんじゃありません。

そして、おそらく・・・逆居雅香さんでも無い様な・・・・・

(これは、ちょっと自信ないんだけど)」


法廷内にざわめきが起きる。



「な・・何を言うのですか!」

裁判長も、オレの発言に驚いている。


「・・・それは論理的ではないでしょうね。弁護側としては・・・

イカサマ師である、逆居雅香の名前を挙げるべきでしょう」


そう言う牙琉先生の言葉には、どこか冷たい響きを感じる。


・・・・う・・・失望された・・・?


「確かに、そうなんです!

でも・・・彼女、カードを配った本人、ですよね・・・?

カードの色を間違える、なんて・・・信じられないんです・・」


オレは牙琉先生を、すがる様に見つめてしまった。


「それに・・・裏の色が違ったら、ゲーム中にバレてしまうでしょう」

オレの発言を弁護するかのように、裁判長が続けた。





「ふっ・・・・・・・・ふっふっふっ・・・・」

成歩堂さんの含み笑いが聞こえてきた。


「どうしましたかな?被告人」

イキナリ笑い出した成歩堂さんに、驚いて問う裁判長。


「いや失礼、裁判長。

何か、楽しくなってきたもので・・・ふ」

成歩堂さんはニヤリと笑い、オレを見る。


「異議あり!」

この異議は、カスれた亜内検事の声だ。


「弁護人の主張は、全く意味不明ですぞッ!

すり替えたのが、被告人でも逆居雅香さんでもなければ・・・

誰もいなくなってしまう!」

亜内検事はペチペチと頭皮を叩く。



「は、はぁ・・・まぁ。そうなんですけどねぇ」

オレは頭をかいた。


「その通り・・・」


その通りって・・・成歩堂さん?


「ここに至って、初めて・・・・この事件の新しい局面が見えてくる」

そう言うと、成歩堂さんは不敵な笑みを浮かべた。


「新しい局面・・・・」

唖然とする裁判長。


成歩堂さんは、更に続ける。

「事件の後、ある人物によって・・・

被害者の《フルハウス》の手札が、1枚すり替えられた。

・・・その人物は、2つのミスを犯している」


「1つ目は、カードの色・・・という事でしょうね」

牙琉先生は、無表情に言った。


「すり替えた人物は、2つのカードが使われているのを知らなかった。

そして、もう一つは・・・カードの“数字”だ。」

牙琉先生の発言に、付け加える様に説明する成歩堂さん。



あ・・・そっか・・・

「確かに・・・5枚目のAが消えて、Kになっている訳ですからね」

オレはポンッと手を打った。


「まさか、“5枚目”のAがあるとは、思わなかったのだろうね。

《フルハウス》という役が印象に残っていた、その人物は・・・。

テーブルの上のカードから、Kを選んで、入れておいたんだ」


成歩堂さんは、自分の推理した状況を説明した。


「し・・・しかし!そんな人物など・・・・。

我々の捜査では、存在していない!」

亜内検事の声が震えている。


「ところが・・・たった今、その可能性が浮上した。

あの晩。現場には、もう一人・・・そう。

まだ、誰も知らない“第三者”がいたのですよ」


「なんですってぇぇぇぇぇ!!!!」



成歩堂さんの発言に、法廷内は騒然となった。



「・・・裁判長の言葉は正しかった様ですね。

彼が立つ法廷は、メチャクチャになる。・・・必ず」


そう言って成歩堂さんを見つめる牙琉先生は、

いつも通り柔らかい微笑みを浮かべていた。




裁判長の木槌が鳴った。


「本法廷は、1つの前提のもと、審理をしてきました。

“事件当時、現場には3人しかいなかった”という前提です」


「前提は覆る・・・そんなモノでしょう?」

ニヤリと笑う成歩堂さん。


「・・・問題は、それを貴方が黙っていた事です」

裁判長は、厳かに言った。


「・・・・・・・・確かに、それは問題ですね」

そう言っているが、成歩堂さんに悪びれた様子は無い。


「これより休憩に入ります!

牙琉弁護士は休憩中、私の執務室に来るように!」


「・・・・・了解しました」


「それでは!20分後、審理を再開します!」













「・・・勝手な事をしてくれましたね、成歩堂。

事件現場に“第三者”がいた・・・急に言い出すとは。

あれは・・・本当の事なのですか?」


牙琉先生は、中指で眼鏡を押し上げた。

そんな普通の動きすら、どこか優雅に見えてしまう。


「さぁね・・・それは、君にも分かっているんじゃないのかな?」

成歩堂さんは、意味ありげに微笑んだ。


牙琉先生はやれやれという風に首を振ると、


「・・・謎かけに付き合うつもりはありません。

とにかく、弁護は私達に任せてもらいたいですね。

それが出来ないのであれば・・・結果は保証出来ません」


「やれやれ・・・相変わらず、カタい男だな、君は」

成歩堂さんは、そう言って片眉を上げた。


「オドロキ君」


牙琉先生に名前を呼ばれ、ハッとした。


「は・・・はい!」


「私は裁判長に呼ばれている。依頼人のお相手を頼みますよ」


「はい!」


牙琉先生は、微笑むと裁判長の執務室に向かって行った。





「王泥喜君。中々よくやってくれたよ」

成歩堂さんは、オレに労いの言葉をかけてくれた。


「あの・・・・ちょっと聞いてもいいですか?」

この機会に、オレは自分の疑問をぶつけてみる事にした。


「なんだろう?」


「その、首のロケットですけど・・・

本当に成歩堂さんの物なんですか?」


「あぁ・・・・消えた“被害者のロケット”ね。

見せようか?僕の娘だ・・・本当だよ」


成歩堂さんは、首のロケットの蓋を開け、中を見せてくれた。

カワイイ女の子の写真が入っていた。


「・・・成歩堂さん。本当に娘さんがいたんだ・・・・」


あれ?何かオレ、ショック受けてる??

オレじゃなくて、違うもう一人のオレか???


「・・・まぁ、ね。その内、紹介出来るかもしれない」


「あと、もう一つだけ。

勝負の時、やっていたんですか?その・・・“イカサマ”を」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」

オレの質問に、押し黙る成歩堂さん。

しまった!!ストレートすぎた!!!


「・・・君はどう思う?」

逆に問いかけられてしまった。


「え?」


「・・・7年前、あんな事件を起こした、成歩堂龍一だ。

イカサマをしてもおかしくない・・・そう思っているのかな?」


「そ、そんな事!でも・・・」


7年間、イカサマ無しで勝ち続けるなんて事・・・出来るのか?・・・


「いいコトを教えてあげよう。

一晩中、最悪のカードを配られても勝てる、唯一のゲーム・・・

それがポーカーだ」

不敵な笑みを浮かべる成歩堂さん。


「え・・・」


「ポーカーの本質は、心理を“読み合う”ところにある。

・・・そうだな。ある種、法廷戦術に通じるものがあるね」


「ポーカーが・・・法廷戦術!」


「相手が何を考えているかを知る。それが出来れば、勝つ」


「そりゃそうですけど、そんな事出来るはずが・・・」


「出来るんだよ」

ニヒルに笑う成歩堂さん。


「・・・・!」


「人間の思考・感情というものは・・・必ず。

身体から“情報”として発信されている」


「そ、そんなバカな・・・」

声が上ずってしまった。


成歩堂さんは、今回の裁判の証人である逆居雅香を例にして説明してくれた。

彼女は、ある証言をする時に必ず“首筋をさする”と言うのだ。


「クセ、コトバ・・・それらが発する情報を読み解くこと。

それが、勝負に勝つ鉄則だよ、オドロキ君。

まぁ・・・僕も“ある人物”に教わったんだけどね」


「でも!オレには無理です!そんなの、見えるハズが・・・」


「いや、君には出来るんだ」

成歩堂さんは、真っ直ぐにオレを見つめた。


「え・・・」


「君自身はまだ、知らないかもしれないけどね」


ど・・・どういう事だ・・・。


「いずれ、分かるさ。あぁ、それからもう一つ。今回の事件だけどね。

僕はまだ、誰にも“本当の事”を話してないんだよ」


「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!(やっぱり)」


「モチロン、“理由”がある。これから明らかになるだろう。

そして、僕の作戦には・・・君が必要なんだよ。

君の“能力”が、ね」


「オレの・・・能力・・・・?」


声のデカさ、か・・・・?


「・・・そろそろ時間だ。

これからが本番だ。よろしく頼むよ」



なんてこった・・・・。

質問して「納得」するどころか・・・疑問が増えたぞ・・・・・。













ここまで、読んだ方いますかね・・w

流石に長すぎた・・・・w

第1話が思った以上に長くて・・・・・・・・(ノД`)

これで、前編は終了したんですが、後編もあったりして・・・w



でも、第1話は何としても書きます!

単なる自己満足なんですけどねσ(^_^;)