UFC FIGHT NIGHT感想(2024.3.3)と、メジャーMMA団体中東進出について。 | 銀玉戦士のアトリエ

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本日行われたUFCファイトナイト大会は、本来であるならばサウジアラビア🇸🇦で行われる大会だったらしく、どうやらサウジ側から対戦カードが弱いと現地での開催を突っぱねられた事情があったようで、それでいつものUFC APEXでの開催となっております。そのためか、メインカード開始時間は欧州時間に合わせて、日本時間の朝6時からのスタートとなりました。

 

 

カードを見てみると地元サウジアラビアの選手は有力な選手が育っていないので一人も居ないにしろ、イスラム教徒の多いダゲスタン共和国出身のファイターが何人か出場しているという構成です。

ナンバー大会のような豪華なカード編成ではないにしろ、ご当地ファイターを多数出場させるいつものファイトナイト大会のクオリティと言ってもいいでしょう。

ただ、UFCは4月に記念大会であるUFC300が控えていて、その前後の大会のカードに力を入れているので、サウジアラビア大会に豪華なカードを投入できないというのが大方の事情なのでしょう。これは致し方ないところです。

 

で、先週の話になりますが、そのサウジアラビアで行われたPFLとベラトールの対抗戦興行をU-NEXTで後追い視聴しました。

PFLとベラトールのチャンピオンクラスの選手同士で対抗戦を行うという豪華なカード編成で、これも投資元であるサウジアラビア側からの意向があったのでしょう。

対抗戦の戦績は5勝1敗でベラトール側の圧勝という事で、何はともあれ後追いで観ているぼんやり層の側からすれば、一方的な試合が多くてサクサク観られて良かったと思います。

特にベラトールウェルター級王者🇺🇸ジェイソン・ジャクソンは、塩レスラーが王者になって打撃に目覚めるという、UFCウェルター級王者時代のカマル・ウスマン的なルートを辿っていて、面白い選手だなと思いました。あれは特有の身体能力の高さがあってこそ成せる業です。

 

ただ大会を動画で観ていて気になった点が1つ。

PFLとベラトールのチャンピオン同士の対抗戦という事で、ベラトールを買収したPFLが現状提示し得る最高峰のカードをズラリと並べてきたわけですが、アリーナ会場の2階席側は広く空席が見られており、動画越しから聞こえてくる歓声は静かで、対抗戦の熱というものがあまり感じられませんでした。

インスタの英語圏のMMAコミュニティでも、この大会はあまり話題にはなっていませんでした。

 

近年、格闘技興行にも大型投資をするようになった中東諸国ですが、サウジアラビアはMMAが未だ盛んな地域ではなく、サウジアラビア出身で世界的に有名なプロMMAファイターはまだ一人も出てきていない状況どころか、自分の記憶でもサウジアラビア出身のプロMMAファイターで知っている選手は1人も居ません。

 

そういう事から、あの大会の会場に集まった観客の姿と歓声を動画越しから見たり聞いたりした限りでは、勝手な解釈をすれば、PFLとベラトールのチャンピオン同士が対抗戦を行うという重要性を観客があまり理解出来ていないように思えるのです。何だかタダ券バラ撒いた招待客の匂いがしたんですよね(笑)。

 

ビジネスの世界でもそうですが、投資家や銀行は羽振りの良い時はとにかくお金借りて投資しよう、それでガンガン儲けて会社を大きくしていきましょうと煽るわけですが、儲からないと判断したらシビアに投資から撤退していくわけです。

 

中東もバーレーンのBRAVE CFやアラブ首長国連邦のUAE warriors等の自国の団体が盛んな国もあるのですが、今回行われる予定だったUFCサウジアラビア大会を「カードが弱い」と突っぱねたり、今のPFLの100%のカードを注ぎ込んだPFLとベラトールの対抗戦の会場の熱量を見る限りだと、どうもサウジアラビアの投資家はMMAというコンテンツに対して深い愛情を持っておらず、金儲けと道楽のための手段にしか思っていないように見えるんですね。

 

そういえばUFC代表のデイナ・ホワイトが以前に「私は中東の連中と何度か仕事をした事があるが、彼らは狡猾で厄介な連中だ」とインタビューで話していた事がありました。

近年、海外メジャーMMA団体にも積極的に投資を行うようになった中東諸国でありますが、羽振りが良いので乗っかるのはアリにせよ、中東マネーにあまり依存し過ぎると後が怖い感じがしますね。と、俺😝の血に宿るサダハル・タニガワの魂がそう叫んでおりました。K-1最高😝👑👑👑‼️‼️‼️‼️

 

まぁ何にせよ、MMAでも巻き起こる中東バブルとはいえ、そのバブルが仮に弾けてしまったとしても、何ら問題なく他の食い扶持を繋いでおく事が何よりも大切なのかな、という事で、本来サウジアラビアで行われる予定だった今回のUFCファイトナイト大会の感想です。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

メインイベントはヘビー級マッチ。

元キックボクサーでRIZINファイターの🇸🇷ジョルジーニョ・ホーゼンストライクと、UFC2戦目にしてメインイベントに抜擢されたダゲスタン共和国出身でバーレーン国籍の🇧🇭シャミール・ガシエフが対戦しました。

 

オーソドックスに構え、左ジャブと時々右ローキックを中間距離でヒットさせるホーゼンストライクに対し、じわじわとプレッシャーを掛けてホーゼンストライクをケージ際へと追い込み、TDを狙っていくガシエフ。

ガシエフは1R終盤にTDに成功しトップコントロールに成功します。

しかし2R開始直前になるとガシエフは既に息が上がっている状態。ラウンドが始まるとホーゼンストライクが左リードジャブを顔面に次々とヒットさせて試合のアドバンテージを取り、反対にガシエフはTDを防がれ、手が出せなくなっていきます。

顔面が出血し後が無くなったガシエフは4R、意を決して前に出てTDを狙っていきますが、金網際でシングルレッグを防いだホーゼンストライクは組み際にカウンターをヒットさせ、左ジャブに加えて右オーバーハンドを打ち込んで倒しに行く体勢へ。ラウンド終盤にはホーゼンストライクの左フックを被弾しガシエフがマウスピースを吐き出す場面も。

ジャブを被弾しながらも手が出せないガシエフ。4Rが終了し、5R開始直前にドクターチェックが入り、打たれ過ぎたガシエフは戦意喪失状態となりドクターストップ。

 

 

 

🇸🇷ジョルジーニョ・ホーゼンストライクが4RTKO勝利で、無敗のシャミール・ガシエフを下しました‼️‼️

 

直近では1勝3敗だったホーゼンストライクですが、今日の試合は彼の良い所が出ていたと思います。

調子が良い時は一発で相手を倒せる武器に昇華させていた左の拳から放たれるリードジャブを堅実にヒットさせながらもじわじわとガシエフを追い込んでいき、自分のペースの試合に持ち込む事が出来ました。

ガシエフのガス欠に助けられながらではありますが2R以降はケージ際でTDをしっかりと防ぎ、右ボディストレートや左右インローの打ち分け、組み際のカウンターも上手く決めていました。

 

反対に、MMAキャリア無敗、2019年IMMAF世界選手権準優勝、ダゲスタン共和国出身、ハビブ・ヌルマゴメドフのチームメイトと、まさに幻想の塊のようなキャリアでUFC2戦目にしてメインイベントに抜擢されたガシエフですが、現在の彼にはちょっと荷が重かったように思います。

今日の試合はホーゼンストライクがUFCでは先輩格の威信を見せ付けた試合内容でありました。

 

 

 

 

アンダーカードではフライ級無敗のプロスペクト、🇬🇧ムハンマド・モカエフがランカーの🇺🇸アレックス・ペレスに辛くも判定勝ちを納めてこれでUFC6連勝。

負けたペレスもモカエフのレベルチェンジのタックルによく対応していて、もし四点膝OKのルールだったら・・という場面も何度か見られました。

レベルの高い試合でした。


同じくUFC3戦目の🇦🇺スティーブ・アーセグも、ランカーの🇺🇸マット・シュネルに打ち合いの末に左フックのカウンター一撃で失神させ、2RKO勝ちを納めています。

ここ2、3年はランカー陣の顔ぶれに大きな変化が無かったUFCフライ級戦線ですが、ようやく新陳代謝が始まりました。


ハビブ・ヌルマゴメドフの従兄弟である🇷🇺ウマル・ヌルマゴメドフも、1Rにダウンを奪われながらも大差判定で勝利を納めています。