UFC FIGHT NIGHT感想(2024.2.25) | 銀玉戦士のアトリエ

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本日行われたUFCメキシコ大会の感想です。

 

 

今週土日は、というより、ここ数年格闘技中継のネット配信が充実してからは毎週のように、と言ってもいいのかもしれませんが、供給過多なレベルで国内外のありとあらゆる格闘技興行が行われてはUNEXTやらアベマTVやらで生配信されています。

 

昨日(24日)は佐賀でRIZINランドマークの興行が開催され、両国国技館ではボクシングのトリプル世界戦興行、後楽園ホールではKrush、深夜未明にはサウジアラビアで今年のPFL旗揚げ興行であるベラトールとの対抗戦、そして本日25日昼間には今回レビューするUFCメキシコ大会が開催されました。

 

全部の興行をぶっ続けで観続けるハードコアな格闘技ファンの方も居るでしょうし、自分のように格ヲタから半分足を洗った人間はUFCメキシコ大会のメインとセミの試合だけ生でチェックしておけばいいのかな、というスタンスであります。

もっとも国内外ありとあらゆる格闘技興行がネットで配信されているという、供給過多なこの状況において、全部の興行の全部の試合をチェックするというのはよほどの暇で物好きなヲタクでない限りは無理な話でしょうし、大多数の普通の格闘技ファンにとっては観たいコンテンツを絞って取捨選択せざるを得ない部分はあるかと思います。

 

アニメやゲームやドラマや音楽など、ありとあらゆるコンテンツでもそれは同じ話です。

ちなみに自分は「葬送のフリーレン」と「呪術廻戦」は一度も観た事が無いですし、今から1話目から追い掛けて観ていけばそれなりにハマるのかな❓とは思うのですが、そこまでの時間的余裕が無いのが現状です。

あとは「ONE PIECE」も自分は読んだ事が無い作品なのですが、20年以上も連載が続いている作品を1巻ら読んでいってストーリーを追い掛けていくなんて、40を過ぎたおじじにとっては億劫に思える話です。

長期連載作品は1話完結型の作品でない限りは最初からストーリーを把握しなければいけないので、あまり長く続き過ぎると読者が飽きて途中でドロップアウトしたり、新規でファンを獲得しずらいというデメリットがあります。

 

コンテンツが供給過多なこの状況でも、興行側としては固定ファンを少しでも繋ぎ止めておくと同時に、新規のファンを開拓して未来へと繋げていくという使命があります。

その中でも浮遊層とも呼べるライトなファン層の心を掴むためには、興行の「顔」とも呼べるスター選手の活躍が必要になっていきます。

 

先週行われたUFC298のフェザー級タイトルマッチで、2019年12月から4年2ヶ月の期間に渡ってフェザー級王者に君臨していた🇦🇺アレクサンダー・ヴォルカノフスキーが、🇪🇸イリア・トプリアに2RKO負けを喫して王座から陥落したわけですが、海外のみならず日本でもファンからの衝撃と落胆の声が多く聞こえてきました。

 

https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12841414809.html

 

 

ヴォルカノフスキーは王座戴冠前や王座に君臨して初期のころは、手堅くも地味な試合をする選手、といったイメージで、お世辞にもあまり人気がある選手とはいえませんでしたが、2021年9月のブライアン・オルテガとのタイトルマッチでは、オルテガに2度もチョークで極め掛けられるもそれを凌いで反撃、劣勢を跳ね返し勝利を納めた試合はファイト・オブ・ザ・イヤーと賞賛され、地味強王者と言われていたヴォルカノフスキーの評価を一変させました。

 

https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12700736312.html?frm=theme

 

 

 

また、昨年2月にライト級に階級を上げ、2階級同時制覇を掛けて挑んだイスラム・マカチェフ戦では、体格差の壁を覆して王者マカチェフ相手に激闘・善戦を繰り広げ、判定で惜しくも敗れたものの、負けてなお評価を上げた試合としてファンからは讃えられていました。

 

4年2ヶ月もの間、UFCフェザー級王者として君臨し続け、通算5度の王座防衛に成功し、パウンド・フォー・パウンドランキングの1位に選出され、タイトルマッチの舞台でファンの記憶に残るような試合を多くやってのけた、アレクサンダー・ヴォルカノフスキーという選手は、紛れもなくUFCの「顔」と呼べる選手の一人でありました。

人間的にも礼節を重んじる人格者ですし、Youtubeチャンネルで得意の手料理を披露する姿も魅力的でした。

 

だからこそ、トプリアに敗れてヴォルカノフスキーが王座から陥落した時のUFCファンの落胆たるや大きかったのです。

 

 

UFCは今年に入って、ミドル級とフェザー級の2つの階級で、🇿🇦ドリカス・ドゥプレシスと🇪🇸イリア・トプリアという2人の新王者が誕生しています。

防衛戦を行わずにベルトを長く保持し続けるのも問題ですが、防衛記録が続かずに王座がコロコロと変わり続けるのも、ファンに対するプロモーションの認知という意味でも、それはそれで問題なんじゃないかなと思っております。

 

かつてUFCには、ウェルター級王者として通算9度の王座防衛に成功したジョルジュ・サンピエール、ミドル級で通算10度の王座防衛に成功したアンデウソン・シウバという2人の絶対王者が同時期に君臨していました。

長期間に渡ってUFCのベルトを防衛し続けた彼らの「強さ」と、団体の枠を越えた「認知度」の高さは、今でもMMAファンの間で語り継がれている伝説です。

あの時代と比較するとUFCの選手層も厚くなって、防衛記録を更新するハードルも高くはなりましたが、それでも絶対的な強さを誇示し続ける「王」が現れる事をファンは期待しています。

 

現バンタム級王者🇺🇸ショーン・オマリー、そして現フェザー級王者🇪🇸イリア・トプリアは次世代のスーパースターと呼ばれていますが、王者としては未だ(2024年2月現在)防衛戦は行っておらず、その資質が問われるのはまさにこれからと言えます。

年2〜3回の防衛戦を行った上で、最低2年は王座として君臨する事が、スーパースターになるための絶対条件となるでしょう。

期待したいものです。

 

 

 

今回のUFCメキシコ大会のメインイベントはフライ級マッチ。

元王者🇲🇽ブランドン・モレノと、前回タイトルマッチに挑戦し激闘の末に判定で敗れた🇺🇸ブランドン・ロイヴァルの一戦に、セミではフェザー級で元暫定王者🇲🇽ヤイール・ロドリゲスと🇺🇸ブライアン・オルテガの試合も、メイン同様に5Rマッチで行われました。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

 

⚪️🇺🇸ブライアン・オルテガVSヤイール・ロドリゲス🇲🇽⚫️(3R一本・肩固め)※フェザー級

 

 

 

1R、サウスポーに構え左回りでサークリングするロドリゲスに対し、オーソドックスに構え距離を詰めていこうとするオルテガ。

前蹴り、左ミドルをヒットさせ突き放そうとするロドリゲスは、左ストレートでダウンを奪うと、追撃で連打をヒットさせ、オルテガが組んだところへ膝蹴りをボディに何度もヒットさせてオルテガを追い込んでいきます。

スリップしたオルテガはそのまま引き込むような形で下のポジションを選択しますが、ロドリゲスもグラウンド勝負に打って出て、上からパウンドを打ち落とします。

しかしそれを耐えたオルテガもロドリゲスが立ち上がったところでラウンド終盤にTDを奪い、マウントポジションを取ったところでラウンドが終わります。

 

2R、パンチを打ちながら距離を詰めて、レベルチェンジからタックルを仕掛けるオルテガ。ケージ際でTDに成功すると、ロドリゲスのカウンターギロチンを外し、上から鉄槌やショートエルボーのパウンドを打ち落とし、長時間のグラウンドコントロールに成功すると同時にロドリゲスの右眼の下をカットさせます。

 

3R、初回からなおも距離を詰めてケージに押し込み、外掛けでTDを奪ったオルテガ。パスガードからマウントポジションを奪うと、エルボーを打った隙に肩固めをがっちりとセットしロドリゲスはタップアウト。

 

1Rのピンチを乗り越えたブライアン・オルテガが、見事な肩固めでの一本勝ちで復活の勝利を上げました‼️‼️‼️

お互いリスクを承知で攻めていきながらも、賭けに勝ったのはオルテガだった、という割と紙一重な試合内容でした。

1Rでダウンを奪ってから、柔術が得意な引き込み狙いのオルテガに対し、更に追撃で仕留めようとグラウンドで上になったロドリゲスの選択は良かったですが、その後のオルテガの粘りが凄かったです。

1Rに組まれた後に膝を効かされたにも関わらず、2Rに距離を詰めていって組んでTDを狙っていったオルテガの勇気、そしてグラウンドになって冷静に肘パウンドを打ち落としてロドリゲスの顔面を切り裂き、スタミナ的にも削っていったのが、3Rの一本勝ちに繋がりました。

 

オルテガはこれで2020年10月のコリアンゾンビ戦以来、3年4ヶ月ぶりのUFCでの勝利。いやぁ〜怪我による長期離脱もあったとはいえ長かったなぁ・・・・!おめでとう㊗️‼️

 

 

 

 

 

⚪️🇺🇸ブランドン・ロイヴァルVSブランドン・モレノ🇲🇽⚫️(5R判定)※フライ級

 

 

 

モレノはオーソドックス、ロイヴァルはサウスポー構え。

プレッシャーを掛けてゆく長身サウスポーのロイヴァルに対し、モレノはサークリングで距離を取りつつ、1Rは互いに手数の少ない様子見のラウンド。

2Rになると、右ジャブ、左ミドルを放つロイヴァルに対し、モレノがロングレンジからの右のオーバーハンド、蹴りをキャッチしてからのカウンターのロングの左フックを顔面にヒットさせ、喰らったロイヴァルが少しぐらつきます。

ロイヴァルもモレノが近づいたところへ打点の高い膝蹴りを顎にヒットさせますが、モレノもラウンド終盤にTDに成功し、ロイヴァルの下からの腕十字の仕掛けもディフェンスして両者スタンドに戻ったところでラウンドが終わります。

 

3R、浴びせ倒した形で2度TDを奪ったモレノ。ロイヴァルも直ぐ様立ってスタンドに戻りますが、モレノは組みのアドバンテージを活かしつつ、ロイヴァルの右ジャブやワンツーをガードの高いブロッキングで防いでいきます。

 

4R、ロイヴァルのパンチをブロッキングで防ぎつつ、合間に右のオーバーハンドを打ち込み、パンチから左ローキックへのコンビネーションをヒットさせるモレノ。

しかし攻撃は単発傾向で、逆に手数の多いロイヴァルが所々でブロッキングの隙間にパンチをヒットさせ、コンビネーションからの膝蹴りを効かせてモレノを下がらせ、ダブルレッグでTDを奪います。

モレノも直ぐ様立ち上がりましたが、リーチを活かしたロイヴァルに対しオーバーハンドの打撃狙いはやや見切られてしまっているか。

5R、モレノがケージにロイヴァルを押し付け、TDを狙うもロイヴァルも粘りブレイク。

ラストはお互い近い距離で打ち合いを演じ、互角の内容になったところで判定へ。

 

際どい内容だった試合は、ブランドン・ロイヴァルがスプリット判定で勝利を納めました‼️‼️‼️

 

前回対戦ではモレノが勝利を納めましたが、タイトルマッチでの敗戦を経たロイヴァルは、モレノにとっては相手が長身サウスポーという事で、モレノの生命線である左ジャブを始めとした攻撃が届きにくい、やりずらい相手だったかと思います。

それでもロングで左右のオーバーハンドやカーフキック等をヒットさせ、TDを奪った場面もありましたが、攻撃が単発傾向で、相手を追い込むような決定的なビッグラウンドが作れなかったのが痛かったです。

重量級なら当たれば一発で相手をノックアウトできるようなオーバーハンドのパンチでも、軽量級だと当たってもトップファイター相手だと倒しにくいのが辛いところではありますね。

逆にロイヴァルはパンチがブロッキングされながらも後半は手数を多く出して攻め、4Rにモレノに膝を効かせて下がらせてTDを奪ったのが、この試合における一つの決め手でした。

その後モレノも直ぐに立ち上がったのは流石でしたが、4R後半はスタンドでは手数で押されてやや防戦一方ではありましたね。

5Rは甲乙付け難いラウンドではありましたが、有効打・手数でロイヴァルが勝っていた内容ではありましたので、ロイヴァルに付けた感じだったのでしょうか。

 

勝ったロイヴァルは、現王者アレッシャンドリ・パントゥージャとのリマッチをアピールしていました。

 

 

 

メインとセミの試合は地元メキシコ勢が揃って負けてしまいましたが、アンダーカードでは24歳でプロ戦績15勝1敗の🇲🇽ダニエル・ゼフーバー、28歳でプロ戦績15勝2敗の🇲🇽マヌエル・トーレスがそれぞれ勝利を上げています。