☆2023年8月 月間MVP☆
👑🇺🇸ショーン・オマリー🇺🇸👑(UFCバンタム級王者)
【UFC292 VSアルジャメイン・スターリング戦 dif2RTKO勝利】
天才的な打撃スキルを持ち、オクタゴンの外では奇抜な髪型と風貌でファッションリーダーとしても人気を博しており、コナー・マクレガーに続く次世代のスーパースターの呼び声も高いショーン・オマリーが遂に、UFCバンタム級タイトルマッチの頂に挑戦。王者アルジャメイン・スターリングと対峙する。
オクタゴンの風雲児はMMAの歴史を塗り替えられるのか。
1R、王者スターリングが足を上げてスイッチし、オマリーが下がって距離を取る。
オマリーは右ミドルを繰り出し、続いて右ボディストレートをヒットさせる。
カーフキックを蹴ってゆくスターリング。オマリーも右ミドルを蹴ってゆくが、両者の距離は遠く、入りは浅いか。
手数の少ない探り合いの展開ながらも、フェイントを出し合って駆け引きを繰り広げる両者。
オマリーがスイッチや踏み込みのフェイントを出すと、スターリングが反応するシーンが時々見られる。オマリーの見えないプレッシャーと遠い間合いに、スターリングも得意のタックルを切り出せないか。
ラウンド終盤、オマリーがケージ際に近付いたところへようやくタックルへ移行するスターリング。しかし時間が無い事もあり、TDは出来ずケージに押し付けて初回を終える。
2R、王者スターリングが左ミドルを放ち、1Rの反省を踏まえて圧力を掛けてゆく。
オマリーは右ミドルで突き放そうとするが、蹴った直後にスリップ。スターリングはその隙を逃さずにタックルを仕掛けてゆく。
オマリーをケージに背負わせ、シングルレッグで片足を取るスターリング。しかしオマリーは上手くバランスを取りながら片足を外し、スタンドに戻る。
オーソからサウスポーにスイッチしたスターリング。オマリーが右ミドルを放った直後に、スターリングが踏み込んでの左ストレートを放つ。
オマリーはバックステップしながら左ストレートをかわしつつ、オーソドックスの前足を軸にピボットで身体を旋回しつつ、やや半身の体勢になった絶妙な角度から右ストレートを打ち抜き、ダウンを奪う。
倒れたスターリングは引き込みを狙うが、オマリーは捕獲されないようポジションを変えつつ、上から的確にパウンドを打ち落としていき、スターリングが効かされてうつ伏せになったところへレフェリーストップ。
まさに、コナー・マクレガーがジョゼ・アルドをKOしたシーンを彷彿とさせる、バックステップからの技ありの右ストレートでダウンを奪い、パウンド連打でトドメをさしたショーン・オマリーが、UFCバンタム級新王者に戴冠。
大観衆の祝福と共に、新時代の扉を自らにこじ開けた。
16歳の頃からMMAファイターになる事を志していたオマリーは、ホイス・グレイシーの弟子であるジョン・クラウチの指導の下、2015年、20歳でMMAデビューを果たす。
長身から繰り出されるロングリーチの打撃と、トリッキーなスタイルを武器にデビュー戦から連勝記録を重ねていったオマリーは、2017年にUFCへの出場権を賭けて、デイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズに出場すると、1Rに右ストレートで相手選手をKOし、観客席で観ていたデイナ・ホワイトが思わず興奮しながらそのパフォーマンスを絶賛。オマリーは晴れてUFCとの正式契約を結ぶ。
甘いマスクにアフロヘアー、ヒップホップやレゲエを意識した格闘家らしからぬ奇抜な出で立ちとセンス溢れるファッションで、早くもファンの注目を集める存在となったオマリーは、UFCデビューから2連勝を飾るも、2018年に薬物違反が発覚(実際は汚染サプリによる検出だった)。オマリーは実質2年間、試合から遠ざかる事となる。
復帰戦となった2020年3月のホセ・キニョネス戦にて、右ハイキックでダウンを奪い1RTKO勝利を飾ると、続くエディ・ワインランド戦でも右ストレート一発で相手を失神させ、KO勝利を上げるなど、UFCデビュー当時のひ弱さが鳴りを潜める、ある種の覚醒を感じさせる活躍を見せ、7勝1敗の成績でUFCバンタム級タイトルマッチに挑戦。
王者アルジャメイン・スターリングを圧巻のパフォーマンスで下し、UFCバンタム級新王者に戴冠した。
身長180cm、リーチ183cmと、バンタム級では大型の体格でありながらも、伝統派空手のような軽やかなステップとスピード感溢れる打撃が持ち味で、ガードを下げた脱力した構えから、スイッチやフェイントで相手を撹乱しつつ、ノーモーション系のパンチや、スピンキックやバックハンドブローといった変則的な蹴り技を独特のタイミングで繰り出しながら相手をKOするストライカーだ。
最も威力があるのは伸びのある右ストレートで、細身の身体からは信じられないような破壊力で相手の意識を一瞬にして刈り取る。
独特の身体操作に基づいたボクシングテクニックに定評があり、相手の隙を見つけては下がりながらの状態といった難しい体勢から、下半身から上半身へのうねり動作に基づいた的確かつ威力のあるカウンターやコンビネーションは、立ち技競技も含めて唯一無二のスキルと言っても良い。
https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12719464463.html
仕留める打撃を打ち込む嗅覚と、コンビネーションを打っている合間でも相手をよく観察しながら、適材適所でスキルを選択しフィニッシュへと繋げる能力は、UFCでトップクラスのものを持っている。
天性のパンチ力はグラウンドでも生かされ、打ち下ろしのパウンドも強烈な威力があり、こちらも相手が喰らったら失神KOさせるだけの威力を秘めている。
反面、下がりながら戦う事が多いため、相手にプレッシャーを掛けられてTDを奪われると厳しくなるという欠点はあるが、グレイシー柔術門下生ならではの引き込みの強さと、長い手足を活かしたラバーガードからのサブミッションも狙う事ができ、柔術大会クインテッドでは実質2階級上の五味隆典に一本勝ちを納めている。
一部では人気先行で実力が疑問視される声もあったようだが、UFCバンタム級で3度の防衛と9連勝中の王者スターリングを下した事で、自らの実力を結果で見事に証明してみせた新王者ショーン・オマリー。
次なる目標はバンタム級王者として防衛戦を積み重ねる事で地位を不動のものとし、華と実力を兼ね備えた真のスーパースターへの覚醒に期待したい。