2021年1月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2021年1月 月間MVP☆

 

🇺🇸マックス・ホロウェイ🇺🇸(元UFCフェザー級王者)

 

【UFC FIGHT NIGHT VS カルヴィン・ケイター戦 dif5R判定勝利】

 

一昨年12月にアレックス・ヴォルカノフスキーに敗れてフェザー級王座から陥落し、リマッチでも敗れ王座奪還を果たせなかった元UFCフェザー級王者マックス・ホロウェイが、UFCでもトップクラスのボクシングテクニックを誇る強敵、カルヴィン・ケイターを迎えての再起戦に挑む。

 

 

1R、共に180cmの身長があり、フェザー級の選手としては高身長のホロウェイ、ケイターの両雄がオーソドックスに構える。

ボクシングが得意で、腕のリーチが長いという共通点のある両者はまず、中間距離でリードジャブ、ワンツー、カーフキックを繰り出し、相手を探ってゆく。

ワンツーの右ストレートを顔面、ボディへとそれぞれ散らしてゆくホロウェイ。ケイターの伸びのある右ストレートに左のカウンターを合わせ、ジャブの差し合いの中でもポジションを左に移動し左リードを当ててゆく。

そしてジャブのフェイントを入れてケイターを下がらせ、そこからバックスピンキックをボディにヒットさせる。

 

ケイターのパンチに2度目のバックスピンキックを合わせたホロウェイ。攻撃と受けと返しが上手く連動したボクシングに加え、カーフキック等の蹴り技も散らしていった事によって制空権を掌握しつつあるホロウェイが、1Rで早くも試合の主導権を握る。

 

無駄な力みが無く、相手選手から見たら予備動作が察知しづらいパンチを小気味良くヒットさせてゆくホロウェイ。右ストレートでフラッシュ気味のダウンを奪い、サウスポーにスイッチしてから関節蹴りを放つなど、多角的かつ多彩な攻撃を織り交ぜていく事によって、ケイターのガードが間に合わずに攻撃が当たる。

逆にケイターが左右のロングのパンチを繰り出すも、距離と攻撃の筋を把握した事によりスウェイバックで相手の拳を一つ分かわしたホロウェイが、その後にリターンでカウンターをヒットさせる。

2Rには左ガードを上げるケイターに対し、ワンツーのタイミングで踏み込んでガードの上から強烈な右のエルボーを振り下ろすホロウェイ。

そこからコンビネーションで一気に仕掛け、再度エルボーでケイターの顔面を出血させ、たまらず組んできたケイターのクリンチの離れ際に再度エルボーをヒットさせる。

ラウンド終盤、ホロウェイはサウスポーにスイッチし、ワンツーのフェイントから左ハイキックをヒットさせケイターをぐらつかせる。

 

https://twitter.com/streetfitebncho/status/1350595353293312000

 

これまではスロースターターの印象だったのが、パンチにキレが増しエルボーという新しい武器が追加され、蹴りもパワーアップした事で2Rで既にケイターに対し横綱相撲を展開するホロウェイ。

だが、ホロウェイの打撃をいくら浴びようとも諦めないケイターは、3Rにホロウェイの右エルボーをバックステップで避け、前のめりになったところへ強烈な右アッパーをヒットさせる。

この攻撃が効いたのか一瞬下がるホロウェイ。他のファイターならば倒れてもおかしくないレベルの右クロスカウンターをヒットさせるが、打たれ強いホロウェイは左ジャブから右ミドルをボディに当て、ケイターがそれを嫌がり右回りでステップを踏んだところへ左フックをヒットさせる。

 

https://twitter.com/streetfitebncho/status/1350672151913885696

 

3R終盤にはガードを下げ、上体を振ってウィービングでケイターのパンチを避けるパフォーマンスを披露する余裕も見せるホロウェイ。

 

https://twitter.com/streetfitebncho/status/1350672275859714051

 

4Rもホロウェイの猛攻は止まらず、ケイターが1発当ててもホロウェイが5、6発のコンビネーションを返していくといった展開で、ケイターをケージに追い詰めたホロウェイが左右のボディブロー、エルボー、ワンツー、右ストレート、アッパーと、コンビネーションの有酸素運動とも言うべき止まらない波状攻撃で、いつ試合が止められてもおかしくない位に一方的に攻撃を浴びせ続ける。

 

https://twitter.com/streetfitebncho/status/1350585018846949376

 

試合の決着が決まったも同然となった最終5R、ホロウェイの猛攻を喰らいながらも最後まで立ち続けていたカルヴィン・ケイターのタフネスぶりは賞賛されるべきだが、「僕がUFCで一番のボクサーだ‼️」と相手を挑発しつつ、強引に前に出て振っていくケイターのパンチをノールック(よそ見)をしながらウィービングとステップワークで避けるという驚愕のパフォーマンスを見せるホロウェイに対しては、あまりにも格の違いを見せ付けられた試合だったか。

 

https://twitter.com/streetfitebncho/status/1350595434474045440

 

フェザー級MMAボクサー対決として戦前から注目を集め、一部ではホロウェイ不利の予想も囁かれていた両者のマッチアップは、終わってみればスコア3者のうち1者が50-42の大差を付け、5R合計にして445発の有効打をヒットさせたマックス・ホロウェイが、「MMA版ワシル・ロマチェンコ」と形容しても何ら誇張は無いMMAストライキング技術で圧勝した。

 

 

 

ハワイ出身。20歳という若さでUFCデビューを果たすものの、初期の頃はコナー・マクレガー、ダスティン・ポイエーといった、後のビックネームを相手に敗北を喫していた。

だが、若さゆえの成長度合いの早さと、持ち前の高い打撃技術を武器に、段階を踏んだマッチメイクを次々とクリアしていくと、2014年以降破竹の9連勝を果たす。

その実績が認められ、2016年12月、UFCフェザー級暫定タイトルマッチを、前ライト級王者アンソニー・ペティスと争い、得意のボディブローを効かせて3RTKO勝利で暫定王者のベルトを巻く。

2017年6月、当時フェザー級正規王者だったジョゼ・アルドと、敵地ブラジルで王座統一戦に挑み、3RTKO勝利で王座統一を果たし、2019年12月に現フェザー級王者アレックス・ヴォルカノフスキーに敗れるまで、通算3度の王座防衛を果たしている。

ボクシングスキルが非常に高く、高身長とロングリーチという、自身の強みを最大限に生かした距離感の良さと制空権の支配力を持ち併せており、左右どちらでもスイッチで戦える事で、あらゆる打撃スタイルに対応した試合運びが出来る。

特にジャブ、右ストレートといったノーモーションのストレート系パンチは相手選手にとっては反応しずらく、正確無比に当てる技術と、蹴りも織り交ぜた上下左右の打ち分けを組み合わせる事で、的を絞らせない。

パンチに無駄な力みが無く、テンポの良いコンビネーションを打ち込む事によって、打ち合いの展開においても一方的に優位に立つ圧倒的なボクシングテクニックを備えている。

更にはムエタイレジェンド、サーマートの指導を受けた事によって、エルボー等のムエタイ技術の習得にも貪欲だ。

近年は練習におけるスパーリングの回数を抑えた事で、キャリアと共に蓄積していく脳へのダメージのケアに務めると同時に、豊富な試合経験とリモートによる練習で培われたポジショニングと基礎動作の反復練習を重点においた「頭を使った練習方法」によって、ディフェンス技術も格段に向上しつつある。

 

まさしく「僕がUFCで一番のボクサーだ‼️」と試合中に自ら鼓舞した通り、圧巻のMMAボクシングテクニックで、カルヴィン・ケイターとのMMAボクサー対決を制したマックス・ホロウェイ。

UFCフェザー級のステイタスをこの一戦で大きく押し上げた元王者は、現王者アレックス・ヴォルカノフスキーとのリベンジと王座返り咲きを狙う。