格闘技と地上波放送 | 銀玉戦士のアトリエ

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2003年から運営している老舗格闘技ブログ「格闘技徒然草」様より、14年前の記事になるのだが、興味深い記事を発見したので引用しておく。

 

⭐️「PRIDEの放映権ビジネス」🔜http://yunta.hatenablog.com/entry/20051112/1131757749⭐️

 

PRIDE全盛時代、当時のDSE榊原社長が、早稲田オープンカレッジ講座で、当時のPRIDEのTV放映権料について語った内容である。

 

以下抜粋↓

 

8月GP決勝のPPV購入件数はおよそ7万件で、価格は平均3000円くらいなので売り上げは約2億1千万円。そのうちの70%くらいがDSEに入ってくるので、収入は1億4千万円くらい。

この大会の地上波は2日後夜7時から放送したが、その時の放映権料は約1億円。

 

現在、放映権料が1億円のスポーツコンテンツは格闘技をのぞけば野球とサッカー日本代表の試合くらい。

巨人戦はそれでいて6~7%くらいしかとらないのだから、フジとしてはPRIDEで13~14%とれれば十分満足ということだ。

 

ちなみに当日放送にすると放映権料はだいたい倍になるが、当然PPVのバイは落ちる。

2ndラウンドのPPV件数は値段2100円で4~5万件だった。

 

 

 

 

この話によると、ゼロ年代格闘技バブル期の格闘技ゴールデン中継で、TV局から貰っていた放映権料は1興行につき1億円だった。

それプラス、ゲート収入、スポンサー収入、PPV収入、グッズ売上等が加わる。

ちなみに全盛期のK-1やPRIDEは、アリーナやドームクラスの会場で5万人前後の観客を集めていた。

この豊富な収入源があったからこそ、ゼロ年代格闘技バブル期でK-1、PRIDEが、当時の世界最高峰レベルだった選手を呼んで、アリーナクラスの大規模興行が打てたというわけだ。

 

ただこれはあくまでも、民放TV局の景気が良く、格闘技中継で20%台の視聴率が取れていた時代の話である。

動画サイトの普及によってTV離れが進み、地上波放送のTV視聴率が軒並み下回っている現在では、民放TV局も放映権料を渋るようになり、視聴率15%台を獲得しているフィギュアスケート選手権の放送でさえ、放映権料は5000万円くらいであると言われている。

2015年大晦日から放送されているRIZINは、視聴率的には毎回6%前後なので、放映権料は恐らくフィギュアスケート中継の半分程度であると予想される。

放送局であるフジテレビの番組全体の視聴率がゴールデン帯で軒並み一桁台を連発しているので、辛うじて地上波ゴールデン放送はキープしているものの、それでも何時TV放送が打ち切られてしまうのか、未だ油断のならない状況下にある。

 

放映権料が下がっている時代とは言え、地上波ゴールデン放送の放映権料はBS、CS、インターネット中継の放映権料と比較すると、かなりの額であると言われている。

また、TV離れが進んでいる時代とはいえ、地上波TVが世間に及ぼす影響力というものはまだまだ大きいものがある。

大谷翔平、錦織圭、大阪なおみ、羽生結弦といったトップスポーツ選手の名前を日本国民の老若男女誰もが知っているのは、地上波放送のニュースや新聞で彼らの活躍が毎日のように取り上げられるからである。

 

RIZINとしては団体を大きくしていくためには、是が非でも地上波ゴールデン放送をキープしていかなければいけない。

だが、そのためには視聴率アップが何よりも条件となる。

打ち切りギリギリのデットラインに居る現状、1%でも視聴率を上げるためには・・・実力関係なく数字の取れる選手、タレントを呼んでマッチメイクを組み、数字の取れない選手の試合はいくら世界的に強い選手だろうと、TV放送をカットする事である。

よくRIZINファンから「何で大砂嵐VSボブサップとか、ギャビ・ガルシアVS神取忍なんか組むんだ💢」とか「何でキックボクサーの天心やRENAばっかり贔屓するんだよ💢」という批判を耳にするのだが、全てはRIZINの地上波ゴールデン放送をキープさせるためである。

 

ただ、数字の取れるカード、話題性を集めるカードというものは、とにかくお金が掛かる。

昨年大晦日のRIZINで行われたメイウェザーVS那須川天心のエキシビジョンマッチで、メイウェザーに支払われたギャラは10億円相当と言われているが、収入よりも支出の額が大きくなると当然の事ながら団体側としては経営的にも苦しくなる。

一時的に選手のギャラの羽振りが良いメジャー格闘技団体は悉く消滅しているのは、これまでの歴史の中でも証明されている。

 

 

PPVを7万件売り上げれば、1億円の放映権料に匹敵する。

ならば地上波ゴールデン放送を捨てて、有料放送であるPPV収入に頼るシステムに移行すべきかと言うと、そう簡単には行くはずがない。

日本はアメリカと比較するとPPVが文化として普及しておらず、基本TVのスポーツ中継は「タダで見る」のが当たり前とされている。

それに、動画サイトで試合が即座に違法アップロードされてしまうこの時代、よほどファンの興味をそそるカードを提示しなければ、PPVを多く売り上げる事は出来ないだろう。

アメリカでもPPVをビジネスにできる団体はUFCと、メイウェザーやパッキャオのようなボクシングのトップスター選手のみである。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

ちなみに世界最高峰の格闘技団体UFCの収入源の7割は、年間500万件近くを売り上げるPPV収入と、ケーブルテレビ局であるESPNから支払われている年間300億円近い放映権料によって占められている。

格闘技をメジャーにし、ビックビジネスにしていくためには、会場に観客を多く集める事は勿論必要だが、実はそれ以上に・・・莫大なTV放映権料とPPV収入の確保が何よりも求められるのだ。