アメリカ家庭医療(ファミプラ)、臨床留学通信 -4ページ目

シカゴ学会の旅

たった今シカゴから帰ってきた。


今回、シカゴを訪問したのは学会のためで、Cleveland Clinic主催のHematology & Oncology Update. 血液・腫瘍内科のカンファレンスであった。

最新の抗癌剤や治療法に関するもので、さすがCleveland Clinicと思わせる内容であった。ただし、プライマリケアでは正直あまり使えないないものが多かった。もっとも勉強になったのは、Palliative Care 緩和医療に関する講義であった。 ターミナル患者の吐き気・食欲不振・呼吸困難および疼痛管理法をアルゴリズム形式で学べたのはとてもためになった。来年から働く病院ではホスピス・緩和医療も担っていくため、今後もPalliative Careに関連するカンファレンスには参加しようと思う。


学会の後は、シカゴ郊外のArlington Heightsへ向かった。ここは日本人が密集している地域であり、日本食店やスーパーがたくさんある。シカゴを訪れる際は、たいていここのホテルに宿泊する。また私は、この隣町のHoffman Estatesで小学校時代を過ごしたため、いつ訪れてもなんとなく懐かしいところである。


その夜は、現在私の住んでいるK町の大学を卒業してシカゴで音楽療法士として活躍している友人Yとその友人K夫妻と居酒屋で飲んだ。居酒屋で飲んだのなんか、1年振りだろうか。シカゴ生活は羨ましい。


今朝は、かかさず山頭火ラーメンを食べてからミシガンに戻ってきた。

帰る際ダウンタウンを抜けてきたので少し買い物でもと思ったのだが、外の気温はマイナス7℃。ダウンタウン探索はこの寒さのため断念した。


先月はずっと病棟業務、しかも夜勤のNight Floatだったが、明日からはしばらく外来だ。





臨床留学対策伝授

今回より臨床留学対策に関して少しずつ記述していこうと思う。


私は2004年3月に大学医学部を卒業し、2004年7月よりアメリカにてFamily Practice Residencyを開始することができた。Residencyのポジションを獲得するに当たって、私がもっとも大切だと思うのはきちんとしたStrategy & Planをたてることである。

USMLEの合格さえすればよいと安易に考えている人もいるみたいだが、私にとってUSMLEに合格することは、このレジデンシーポジション獲得に当たってもっとも楽な項目であった。というのも勉強さえすれば、USMLEは誰でも受かるからである。


アメリカResidencyポジションを確実に得るためには、以下の項目をクリアしなければならない。

実際チーフレジデントとして採用する側になった現在、外国人をマッチの上位ランクするには以下のことを重視している。


1)英語力

2)アメリカ臨床経験

3)推薦状(アメリカの医師:できれば教授・助教授クラスを3通用意しなければならない)

4)コネ

5)USMLE点数


英語力に関してであるが、これは日本人の先生にとっては最も難しいところだと思う。しかしアメリカ臨床留学を目指した以上、まず一番最初に対策をたてて勉強を開始しなければいけないのだと思う。英会話学校など方法は様々だが、TOEFLで最低250は取得できる実力はつけたい。私は帰国子女のため、幸い英語はNativeであり特に困ることはあまりなかったのだが、それでも在学中はテレビはすべてスカパーの英語の番組を見るなどした。


一応米軍病院での期間もアメリカでの臨床経験とみなしてくれる場合もあるらしいが、できることなら学生中にアメリカで実習して、推薦状をもらっておきたい。というのも医師になってから受け入れてくれる施設は本当に限られてくるからだ。それに対して学生には、結構オープンな病院が多い。Mayo ClinicはVisiting Clerkship Programがあり、この選考に合格すれば、世界トップクラスの病院で1ヶ月実習ガできる。

http://www.mayo.edu/mms/vis-clerk.html



Mayo Logo

有料になるが、Harvard大でもClinical Clerkshipが可能である。親友はこのプログラムをを通じて、6年次にMGHで神経内科実習を行っていた。


私の場合は、大学神内の教授にお願いしてアイオワ大 Department of Neurologyの日本人の教授の下で4週間、5年生の夏休みを利用して実習した。このとき教授に高く評価され、すばらしい推薦状もいただくことができた。そして6年生時には、選択実習期間を利用してイリノイ大、ピッツバーグ大、ミシガン大などで家庭医療実習を行い、最後はMayo Clinic家庭医療科で1ヶ月サブインターンとして実習した。このようにして学生時に計4ヶ月間アメリカで実習を行こない、推薦状も各施設の先生方より得ることができた。さらには卒業後もレジデンシー開始前の期間を利用して、野口財団を通じてハワイ大で内科実習を行った。

そして実習中のコツであるが、やはり熱心に質問したり、頻繁に患者さんの病態ををチェックした。アメリカ人の学生は5時にはすぐに帰ってしまうが、私はなるべく病棟に残り、少しでもアメリカ人学生と同レベルになれるよう努力した。知識の差は特には感じられなかったので、とにかくレジデンシー開始前に習得しなければならないのはH&P特にhistory takingであり、そしてプレゼンテーション方である。









就職決定!!J1 Waiver


病院との交渉が合意に至り、本日契約書にサインを済ませ、ほぼ正式に就職先が決定しました。


私はJ1ビザという医療従事者・研究者用の特殊なビザで現在研修中である。このビザの問題は、2年間の帰国義務があるという点であり、本来なら研修終了後にはアメリカにて就職することはできない。ただし、J1Waiverというこの義務を免除してもらうオプションがある。この条件としては、医療過疎地域で3年間働くことである。日本人の場合は、帰国してしまう人が大半であり、このJ1 Waiverに関する情報は極端に少ない。


8月頃から就職活動を開始し、なかなか難しいものなのかと予想していたのだが、先輩の強い推薦もあり、サウスダコタ州の大学付属病院も担う最王手病院の関連クリニックに先月面接に呼ばれました。

もちろんレジデンシーの面接とは違い、家族も含めて招待してくれます。飛行機代・ホテル代さらにはレンタカー代まで出してくれます。

このクリニックは、人口17万人のスーフォールズより南40分ほどに位置する、15床の小さな病院・クリニック。ど田舎の診療所といった感じだが、実際スーフォールズに住めるという条件はうれしかった。というのも、今住んでいるミシガン州の町より倍近く大きい町である。ま~田舎なことには変わりないのだが。。

この施設は人口1000人の町, 1万人のCounty唯一の病院・診療所であり、Nursing Homeも併設されている。
赤ちゃんから老人までの診療を行いますが、主にはFarmerや老人が中心になると思います。

当直は週1回、そして週末当直というのが月に1回ある。当直中は、救外(ER)および病棟を担当。なんともうれしいのが、休暇が年に6週間もあることだ。これなら、年に1~2回日本に帰れそうだし、旅行もたくさんできそうだ。給料・Benefit面も申し分ない。また大学でClinical Facultyとして医学生・レジデントのteachingができ、さらには日本からの医学生・医師の病院見学・実習もできそうだ。この大学の家庭医療科はU.S. News and World Report にて上位にランクされている。



Us News Best Graduate



US News Best Hospital






外科医や循環器医などの専門医は週にもしくは月に1回程度しか来院しないので、アメリカに学びに来た“家庭医療”の理解をさらに深め、実地していけるのではないかと思う。
しばらくは腕を磨くためにも、この病院で頑張っていこうと決心した一日であった。