アメリカ家庭医療(ファミプラ)、臨床留学通信 -3ページ目

高校生と妊娠

今週は半日、CEYF(Continuing Education for Young Families)といって高校内に設置されているクリニックにて乳児・小児検診および予防接種を行ってきた。クリニックといっても、保健室と大差ない施設だが、診察台や必要な道具は最低ある。。デイケアも併設されていて、子供らが10人程度走り回っている。ここで見る子供の親は皆高校生で、授業中ということなのだ。母親は授業から呼ばれ、このデイケアに預けている子供を連れて来院する。


この学区地区1200人程度のうち、100人は子持ちまたは妊娠中らしい。衝撃的な現実だ。さらには授業の選択科目として、母親学級のようなものがあり、授業の一環として育児法などを指導されている。


自分の高校は一学年2000人もいたが、出産したいう話はもちろん聞いたことない。振り返ってみても高校生の自分が父親になることは考えられないし、子育てなどまともににできないであろう。アメリカの教育水準が低いからこういうことになっているのだろうか?貧困層と関係するのか?単にアメリカでは若年層の性が乱れているのか?色々考えさせられる一日であった。










レジデントの休暇・労働時間

今日は当直明け。アメリカの研修プログラムでは原則当直明けの午後はオフをもらえる。結局は家に帰って寝るだけなのだが、休みはもらえるだけありがたい。


今は法律も代わり、アメリカでは研修医の労働時間に関しては様々な規制がある。例えば、週に80時間以上働いてはいけない。そして30時間以上連続して勤務してもいけないのだ。これに反する研修プログラムは厳しく罰則され、プログラムを閉鎖された例もあるらしい。家庭医プログラムは、どちらかというと最も労働時間が少ない方なのでそこまで関係ないのだが、やはり外科系のプログラムにとっては大きな打撃だったようだ。緊急オペ中にも帰宅しなければならない例もあり、これでは十分な教育を受けられないとの声も多い。


レジデントの休暇日数はプログラム・施設により様々だろうが、私の属する施設では年に3週間の休暇をいただいている。これに加えて5日間のクリスマス休暇、さらに1週間のCME休暇というのがある。来年から働くことが決まっている就職先ではなんと6週間もらえるということなので、楽しみである。


上で述べたCME休暇とはつまり学会休暇であり、好きな学会・カンファレンスに出席できるのだ。そして嬉しいのは、1200ドルまで学会費として支給される。

私は今年の春、この学会休暇を利用してLasVegasのカンファレンスに参加してきた。Primary Care Updateと題されたカンファレンスで内容的にもかなりよく、内分泌・感染症・腎臓内科の領域に関する講義が中心でとても勉強になった。このような観光地でのカンファレンスは午前で講義が終了するようになっており、午後からは観光などに時間を使える。

次のカンファレンスは来年2月に行こうと考えており、どこに行くか今検討中である。有力なのがコロラド州のスキーリゾートでのDermatologyConferenceだが、やっぱり暖かいハワイあたりがいいのではないかと悩んでいる。


Coast


Nursing Home (老人ホーム)

研修教育の一環としてNursing Home(老人ホーム)の患者を数人、研修2年目より担当するようになる。そして月に1回、回診を行う。


私は現在2人の患者の主治医である。一人は慢性の心不全、COPDの既往歴を持つ80歳の女性である。彼女は肺炎や心不全・COPDの増悪のため頻繁に病院の方への入退院を繰り返しているのだが、もう既に1年半の付き合いだ。だいぶ彼女のことを理解できるようになったのか、病態もだいぶ安定してきた。


もう一人は、最近Floridaより移ってきた95歳の男性である。脳梗塞を起こし、左半身麻痺の状態が続き、今は懸命にこのNursing Homeでリハビリを行っている。彼が再度歩く可能性はないに等しいのだが、彼は再び歩けることを信じてリハビリに取り組んでいる。


ここで問題になったがCode Status。Code Statusとは、緊急事態において心配蘇生を行うかどうかという取り決めだ。彼はずっとカルテ上、Full Codeと記載されているのだ。つまり何かあった際は、心肺蘇生を含めすべて行うことになっている。しかし彼の病状、年齢を考慮すれば心肺蘇生を行っても生還できる可能性はとても低い。逆に、その手技・行為における侵襲の方が大きいだろう。

そこでこの事に関してどう考えているのか話を持ちかけたのだが、どういうわけか我々回診チームを看護学生だと勘違いしたらしく、我々はだいぶ不利な状況にあったのだが 彼は“脅す気か?”と怒ってしまった。自分たちが医師であることを説明すると、彼も落ち着きを取り戻した。そして、十分長くいきため満足していると話しているではないか。しかし、自分はギャンブラーであり賭け事も大事だと話し出した。直接はYES/NOとの返事はもらえず、結局よくわからないまま回診は終わってしまった。


こういう場合は患者本人に決断を迫るのではなく、家族会議を開いてもらい、最終的に決断してもらうのが大事だ。彼の息子さんが、しばらくの間彼と話し合ったくれることになった。そして今晩ポケベルがなり、最終的な決断の連絡が入った。