1982年全米1位(Human League の "Don't You Want Me" からトップの座を奪い、Steve Miller Band の "Abracadabra" に取って代わられた)、ミリオンセラー。さらに、全英、全豪、アイルランド、ノルウェー、フィンランド、カナダでも1位、フランス、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、スペイン、デンマーク、スウェーデン、ニュージーランドでトップ10入りし、日本でもオリコンの総合チャートで10位(洋楽チャートとオールジャパンポップ20では1位)となった世界的大ヒット。もちろん、映画『ロッキー3』のテーマ曲で、83年のグラミー賞では最優秀ロックパフォーマンス賞(デュオ/グループ)を獲得しました。Sylvester Stallone は、『ロッキー3』の制作にあたって、テーマ曲を第1作の "Gonna Fly Now" のようなオーケストラによるものから「ナウなヤング」(笑)にウケるロック色の強いものにしようと考え、最初は "Another One Bites The Dust" を使おうとしたものの、Queen 側の許可が得られず断念。その後、彼は、友人の Tony Scotti(Sylvie Vartan の夫)から、彼が経営する Scotti Bros Records に所属していた Survivor の曲を聴かせてもらって気に入ったので、彼らを起用することとし、直接メンバーの Jim Peterik と Frankie Sullivan に電話をかけて曲を依頼します。Peterik と Sullivan は、Stallone の "Another One Bites The Dust" を「ノックアウト」する曲を、との無茶ぶりに、そりゃ、キツイな、と思ったそうですが、それでも音楽の方は1時間足らずで出来上がり、続いて歌詞にとりかかったものの、こちらはなかなか捗りません。Stallone から当初渡されたビデオテープには、「(彼らに依頼した曲を)ここで使いたい」というシーンしか収められていなかったため、彼に頼んでフィルムの全体を見せてもらい、Apollo Creed が「You lost the eye of the tiger. You got to get it back.」と言って Rocky を叱咤するシーンに、これだ!となって一気呵成に完成させたとのこと(以上の経緯は主に Songfacts ® といくつかのインタビューの記事を基にして私なりにまとめたものだが、インタビューにおけるメンバーの証言にはところどころ食い違いがあったり、同じ人物が前の記事と後の記事で違うことを言っていたりするので、正確であるかどうかは保証の限りでない)。そして、Stallone に聴かせたところ、彼は、こういうのを探していたんだ、とご満悦だったそうです(ただし、もっとドラムの音を大きくしろ、とか3番の歌詞を追加しろ、などとあれこれ注文を付けている)。

 

こちらはアメリカ盤シングルのジャケット。

 

 

日本版シングルのジャケットも。

 

 

そして Paul Anka によるカバー。

 

 

この曲をスイング風にアレンジしてビッグバンドで演っちまうのは Paul Anka ならでは(笑)。

 

この人のパロディも。

 

 

ジワる(笑)。

 

続く『ロッキー4』のテーマソングも Survivor のナンバー(もちろん、"Eye Of The Tiger" に満足した Stallone が再び彼らに発注したもの)。

 

 

1986年全米2位(1位は Dionne & Friends の "That's What Friends Are For")、全英5位。その他、アイルランド、フランス、オランダ、ドイツ、オーストリア、スイス、スウェーデンでトップ10入りを果たし(日本でもオリコンの洋楽チャートで1位)、"Eye Of The Tiger" と比べるとだいぶ小ぶりながら、「2匹目のドジョウ」となりました(笑)。なお、タイトルは、当初 "The Unmistakable Fire" というものでしたが、Stallone からダメ出しされたため変更されたとのこと。そういえば、この映画は友人に誘われて映画館で観たんだけど、当時はまだソ連があって、東西冷戦が終わってなかったんだな・・・ただし、ゴルバチョフが登場して、変わりそうだという期待感が確かに醸成されつつあった・・・とはいえ、あのエンディングには、あまりにもお気楽だな、と呆れたものですが、それから5年でまさかソ連がなくなってしまうとは、夢にも思いませんでした。

 

ところで、前回の記事には今回の記事の伏線を忍ばせておいたのですが、もうおわかりですね(ヒントは、スタローンよりデカい(笑))。